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【投稿者の意見】
政権交代後の民主党の混乱は、起きるべくして起きています。未熟な党の機構整備。明確な綱領もなく、党規則もない。およそ、政党とは言い難い党の運営と組織のあり方。
マニフェストを完全反故にする政治に突き進んでいる野田執行部。それに羊のように追随する多くの中間派議員。消費税増税法案のような、社会福祉の「棚上げ」と国家機構の「改造放棄」、官僚既得権益勢力の利益擁護でしかない「一体改革」法案。そのような、党存立の根幹にかかわるほどの重要法案を、両院議員総会での議決も経ずに、執行部「一任」で討議打ち切り、独裁的にゴリ押しするという、およそ民主主義の原則とはかけ離れたやり方。
こういうことをする政党にも、それを容認する政党人、党員にも、民主主義を語る資格はありません。
国民の夢と期待を担った「政権交代」が、ここまで無様な姿に陥った理由は何でしょうか。下に引用する鳩山由紀夫氏の意見が、参考になると思います。
政権交代後のマスコミによる民主党叩きと苛烈な小沢叩き。マニフェストを捨てろ、公約は守るな、破れ、と叫び続けてきたのは、ほかならぬマスコミです。官僚独裁・大資本・既得権益勢力の利益の「代弁者」兼「当事者」として、マスコミは、民主党正統派を攻撃し続け、政権交代の夢と実を灰燼に帰させたのです。これらの勢力はまた、対米従属推進勢力でもあります。
衆議院での消費税増税法案の採決に際し、小沢グループだけでなく鳩山グループからも、「造反者」(造反=マニフェスト遵守)が、少なからず出ました。容易に推測されることですが、鳩山氏も、野田執行部派にこれ以上政権を牛耳られると日本の民主主義が危ない、このままでは民主党が消える、と考えたのではないでしょうか。おそらく鳩山氏は、民主党の三分裂を想定し、中間派の受け皿となる新党立ち上げを決意したのでしょう。
中間派とは、松下政経塾出身者を中心とする野田政権執行部派の動きにはついていけない、しかしマスコミと検察・司法権力からの集中砲火を浴びている小沢派に行く勇気もない、その中間でおろおろしている人々です。
国民は(少なくとも私は)、そういう日和見主義の議員には期待しません。今の国難は、グローバル化により、日本資本主義が国民にパイを分け与えられなくなったことにあります。冷戦下の特殊な位置では、日本はアメリカ合衆国に依存、従属することで利益を得てきました。しかし冷戦終結とともに、それは終わりました。新興国の台頭とともに、日本のお家芸であった製造業の拠点は、日本以外のアジアや新興諸国に移りました。日本の輸出大企業は、国内ではリストラを進めていますが、海外では大量採用を続けています。国内の雇用は伸びず、内需は縮小しています。所得は伸びず、生活不安に怯える社会では子供は生まれず、少子高齢化と人口減少が進みます。マスコミの攻撃に怯える中間派の日和見主義議員に、この国難を乗り切れる決意と胆力はあるでしょうか。国民生活擁護のための断固とした行動を取れるでしょうか。見ての通り、否です。
しかし、私は、鳩山氏とそのグループの勇気ある反対投票に敬意を表したいと思います。今の状況では、中間派の受け皿となる政党を作ることが、日本の政治の混乱を避ける最良の道だと考えます。全ての人が果敢に行動できるわけではありません。小沢グループと鳩山グループで、役割分担することも必要でしょう。
いずれ「第二の民主党」(党名は何でも可)、ないし「第三極」も含む「政党同盟」が生まれ、「第二の政権交代」が起きることを期待します。
【鳩山氏の声明】
http://www.hatoyama.gr.jp/
社会保障と税の一体改革関連法案採決にあたって
私は6月26日の衆議院本会議に緊急上程される「社会保障と税の一体改革関連法案」の採決において、政府提案の消費税法改正案については、反対いたしました。
3年前の政権交代で国民が望んだのは、これで日本の政治が変わるということではなかったのでしょうか。そして、その多くの声に応えるために、最もしなければならなかったことは既得権との戦いであったはずでした。既得権により身動きが取れなくなっている政治、経済の現状を変え、国民の皆さまが主人公になって、もっと不公平感なく豊かさを感じて生きていけるような世の中にしよう、というのが我々の主張であり、官僚任せの政治から政治主導へ、それも国民が主導する政治にしようということでした。そのために総理大臣にまで押し上げて頂き、国民の圧倒的な支持の下、既得権に甘えた集団にメスを入れる努力をしました。しかし、米国の意向を忖度した官僚、財務官僚、大手メディアなど既得権側の抵抗は凄まじいものがありました。その力に十分抗し得なかったのは私の不徳の致すところと申し訳なく思っています。
私が目指した方向は決して間違ってはいなかったと今でも思っていますが、その後の政権が、私を反面教師にして、「官僚、米国に抵抗したからうまくいかなかったのだ、そこをうまくやればいいのだ」と180度民主党の進むべき方向が転換されました。何のために政権交代がなされたのか、という憤りを強く感じています。再稼働を含む原発問題、TPPも全く同じ発想です。
そしてこの消費税増税法案です。消費税を上げることは、官僚中の官僚組織、財務省の悲願なのです。
この増税法案に対して地元の意見を聞きました。79%の方が反対意見でした。
また、消費税のアップはいずれやらなければならないとも多くの人々が思っています。
しかし、とくに地方にお住まいの方々にとって、一人平均10万円の増税はとても家計を厳しくしてしまうのではないでしょうか。まずは景気を良くすることが最優先です。
私は、「4年間は消費税を上げる必要はない」というマニフェストを掲げて戦った張本人であり、その間に、野田総理も言ったように、シロアリ退治を徹底的にやるべきであり、シロアリ退治をしないで消費税を上げても、甘い汁を吸いに来るシロアリにたかられてしまうことになるのです。
社会保障と税の一体改革と嘯きながら、社会保障の部分がよく見えません。最低保障年金や後期高齢者の問題など、一番強く訴えたことを、これから国民会議にかけるということであれば、国民会議で結論が出た時に、その財源をどこに求めようかという議論をしても遅くありません。
今民主党に必要なのは、原点に立ち返った政権与党としての理念と政策だと思います。
本来であれば今は、昨年3月11日に東北地方が受けた未曾有の大災害を、国民が一丸となって団結と絆の名の下に復興を目指して力を合わせて尽力している真最中の筈です。
それが現実はその教訓を生かすことなくいつの間にか過去のこととして忘れ去られようとしています。政治の責任は3・11を風化させてはならないのです。現執行部は政権与党としての使命を忘れ、先の選挙で国民がNGを出した旧態依然の自民党の姿そのものに成り下がってしまった感すらします。原発事故の影響で今でも16万に及ぶ人たちが放射能の洗浄も行われず避難生活を不本意にも強いられているにも拘わらず、野田内閣は経済活動を優先するあまり、事故原因が究明されず国民の多くが疑問符を感じる中、原発再稼働に踏み切りました。そしてこの渦中に国民に負担を強いる消費税増税を自公民の談合政治で成し遂げようとは言語道断です。
民主党が政権与党として国民の期待を担うべきことは何なのでしょうか。
単なる消費税増税法案採決の数合わせだけをニュースの焦点として取り上げる報道も問題です。今はまだ東北復興の途中であり、福島の原発事故を教訓として今何を論じていかなればならないかに気づかなければいけないのです。マスコミは政局を占っているときではありません。復興に向けて日本が一丸となっている真摯な日本国民の姿に世界の多くの人々が感銘を受けた事実を忘れてはいけません。
民主党の創業者として立派に振る舞ってほしい、という声も党内から頂いています。
私は民主党を誰よりも愛していますし、その思いで今日まで行動してきたつもりです。
今は、民主党を正しい道に戻すことが私の役割であると思っていますし、間違ったことだけは絶対にやらないという覚悟で仕事をしたいと思っています。
6月26日
鳩 山 由紀夫
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