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原発再稼動、消費増税問題と同時期に、国会で一騒ぎを起こしたのが「DL刑事罰化」問題だ。立法仮定の不透明さなどの問題提起は他に譲るとして、この可決の直後、筆者はツイッター上で奇妙な動きを見た。
評論家の小田嶋隆やジャーナリストの津田大介といった“ツイッター著名人”が、一斉に「CDはもう買わない」と宣言し始めたことだ。このツイートを目にした人の多くが、音楽業界に灸を据えるためにもうCDは買うまいと思ったのではないか。露骨にCDを買うなとは言っていないが、彼らの発言はCD不買を励起することになる。しかし考えてみてほしい。あなたがCDを買わなくなったら、本当は何が起こるのか?
企業IRを確認すれば、Avexのような大手音楽産業に外資が食い込んでいることはすぐに分かる。アメリカでは既にCDは過去のもの。彼らはむしろ国内のCD文化を切り捨ててMP3ビジネスに移行したがっているはずだ。CD不買は、結果的にあなたの地元のCDショップやレンタル業を廃業に追い込み、地方経済に打撃を与えるだけで、むしろ厄介払いをしたい音楽産業にとって絶好の助け舟になってしまうことが考えられる。
またCDやリッピングの問題ばかりがクローズアップされることで、別件逮捕や冤罪の恐れ、ニュース映像などの政治的な動画、音声が削除されてしまうとの懸念の声も、相対的に小さくなってしまっている点も指摘したい。高齢者だって、3号機爆発の動画を目にしてから「これすら規制対象になってしまう」と言えば危機感を持つが、「無断でアップロードされた音楽CDのダウンロードが規制される」では取り合うはずがない。あちらの思う壺だ。“暗黙の不買運動”を真に受けてしまった人は、今一度よく考えてほしい。
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直近の例を取り上げたが、似たようなことはツイッター上で頻繁に起こっている。例えば
・小沢裁判で脚光を浴びた江川紹子→反・反原発を唱える。
・消費税を批判する高橋洋一→TPP推進。
・小沢裁判、消費税ともに批判する長谷川幸洋→TPP推進。
・エジプト革命を日本に伝えたモーリー・ロバートソン→反原発運動をこき下ろす。
・反原発、増税反対の河野太郎→TPP、瓦礫推進。
「増税だって財界やアメリカの思惑だろうに、TPPは批判しないのか?」
「権力の横暴を批判する意味で、エジプトと反原発のどこが違うのか?」
「原発は放射能こそが危険なのに、何故、瓦礫は何とも思わないのか?」
悪意ない自発的意見かも知れない以上、彼らがどうしてそういう結論に至ったのかは横へ置く。しかし上記を読めば少なくとも「ツイッター著名人」が常に正しいことを言うとは限らないことが分かるはずだ。むしろある政策で彼らがあなたと同じ側の発言、専門的な発言をしているのを見て自分達の味方だと気を許すことで、本来取るべき行動とは微妙にずれた(そして逆の結果を招きかねない)行動を取ってしまったり、全然別の政策について間違ったことを言っているのに鵜呑みにしてしまったりといったことも当然起こるのではないだろうか。
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なおツイッターとフェイスブックの果たした役割が大きいと言われたエジプト革命について、後に体制派側だけでなく、革命派側にもアメリカのノウハウ援助があった事実が明るみに出たことは指摘しておきたい。情報の錯綜や解釈のねじれ、扇動、さらに…といったことは、何も2ちゃんねるや匿名ブログの専売特許ではない。
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