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17日、東京地裁は、小沢一郎民主党元代表が約4億円の土地取引をめぐる政治資金規正法違反に問われた陸山会事件の公判で、小沢の関与を認めた元秘書の石川知裕衆議院議員らの供述調書の多くを証拠から排除する決定を下した。
このため、有罪とする直接的な証拠は殆ど無くなる事となり、検察官役の指定弁護士側は、間接事実の積み重ねで有罪を立証する方針を表明した。
石川ら小沢の3人の元秘書は、昨年既に4億円の定期預金を担保とし小沢名義で銀行から同額を借入れする等の複雑な金の流れを報告書に記載しなかった事と、土地購入を翌年の報告書に記載した事等で政治資金報告書の虚偽記載により執行猶予付きの有罪判決を受けている。(何れも即日控訴)
この時、判決を下した東京地裁の登石郁朗裁判長は、虚偽記載の動機を水谷建設側からの闇献金を隠すためとしたが、闇献金授受を示す確かな証拠が無かったため、状況証拠からの「推認」を根拠とした。
なお、私見だが、もし小沢事務所に何らかの隠蔽の動機が無いとすれば、定期預金を担保とした小沢名義の銀行借り入れ等は、事務所資金の手元流動性を高めるため、定期預金利息が極端に低い昨今にも関わらず、石川が前任者から引き継いだ資金繰り処理の慣習を惰性で続けていたという以外の合理的な理由を見出し難いが、事実はどうだったのであろうか。
さて、4月下旬にも言い渡される見通しの小沢裁判の判決も、「推認」という言葉を使うかどうかは別として、有罪判決が下される場合は、犯罪事実の実質上の推認が判決理由の根拠となる。
十分な証拠と合理的な反証の余地の無い説明には必ずしも基づかないが、ある程度の蓋然性により「推認」される場合に有罪判決を下す、この「推認主義」は言うまでも無く冤罪を産む可能性を高めるというデメリットがある。
しかし一方では、複雑化して行く社会の中で犯罪を見逃さず、再発防止効果を高めるメリットがある。
もし、小沢裁判で有罪判決が出たら、「疑わしきは罰せず」という証拠中心主義の日本の司法の原則を転換させ、「推認主義」に大きく舵を切る事となる。
それが多くの国民の望む歴史の必然であるなら、過去の基準との不公平感を超えて、当該被告達はこの大きな流れの中で捨石となるのを甘受する以外に無い。
小沢裁判の判決は、日本社会の未来を決める歴史の岐路となる。
(敬称略)
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