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人間はなぜ戦争をするのか
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投稿者 マイナー 日時 2012 年 1 月 19 日 10:58:04: /eqCm4jyka1bA
 

 万物の霊長と言われる人間が、何故戦争という馬鹿げた行為をするのか?多くの人が感じているこの疑問には、残念ながら絶望的な答えが一つあるだけである。
 人間の歴史は戦争の歴史ともいえるもので、助け合う以外生きるすべがなかった原始共同体時代を除いて、兵器・軍隊のない平和な世界など人類はいまだ経験したことがない。
 戦争は昔も今も、より豊な経済を自分の手中に納めるための手段あり、紛争中の一部の地域を除いて比較的に平穏に見える現在も、世界中で熾烈な経済競争が軍事力を背景に繰り広げられている。各国が膨大な軍事費を投じて軍隊を保有するのは、ひとえに経済競争を有利に進めるためであり、競争の激化・摩擦が紛争へと発展する緊急時に備え、世界中の国が戦争の準備を常に整えている。
 国連をはじめとする国際舞台で世界のリ−ダーたちが平和問題の議論を重ねても、それぞれの国益を守るための駆け引きの場に終始し、結局軍隊なき平和実現の道が開かれることはない。また世界中で善意の人々によって行われている平和運動も、軍事力を背景にした経済競争の大きな流れを変えることは出来ず、部分的な成果を上げることはあっても、軍隊なき世界平和の達成などは不可能である。
 もともと戦争の要因となるこの経済競争は、より豊な暮らしを求める人間の進化のための当然の行為であり、自然界存続の原理として生きとし生けるものが共有する、生存競争の自然の摂理にも合致する行為なのである。
 万物の霊長たる人間と言えども、自然の摂理たる生存競争・弱肉強食の遺伝子を受ける一員に過ぎず、この自然界存続の法則から脱することは出来ない。それは国民の総意、人類の総意として軍隊・戦争を容認している現実に見事に反映されている。個々の人間が理性をもって競争本能を制し、戦争反対、平和支持の意思を持つことは出来ても、人類の総意として今ある戦争容認の大勢を覆すことは不可能である。いかなる偉人天才といえども、核兵器を造ることはあっても、世界に平和をもたらすことなどはありえない。
 人間論的な見地からみても、競争本能こそは人間存在の根幹を成すものであり、生存の根源的エネルギーともなっているものである。運動会などで勝ち負けを競う競技に一喜一憂し、オリンピックのコンマ1秒に命を懸ける争いに熱狂的な興奮を覚えるといった些細な日常経験からも、人間がいかに強く競争本能に支配されているかが分かる。競争本能こそは人間に生きる喜びや希望を与えるものであり、これを否定することは人間にとって死を意味するに等しい。結局人間は、弱肉強食・競争本能の遺伝子の支配に従うほかはなく、観念の上で軍隊や戦争を悪とみなす事はできても、現実には軍隊も戦争も容認せざるを得ない。
 個人的には多くの人が軍隊や戦争に否定的な考えを持っているにもかかわらず、摩訶不思議なことに世界中の国が軍隊を保持し戦争容認の道を選んでいる。あなたや私が選んだ国の代表がその道を選んでいるのであり、つまりこの道はあなたと私が選んだ道なのである。すなわちこの道は人類の総意が選んだ道である。
 かくして人間は社会進歩と共に、より優れた兵器・軍隊を保持し続け、紛争の解決手段として永久に戦争を行い続けるのである。これが「戦争を何故するのか」の疑問に対する最終的な結論、絶望的な唯一の答えである。

    余論
 さらに、戦争問題のこの救い難い結論に止まらず、優れた種としての繁栄を極めるため、より豊な暮らしを求め続け、止まることのない開発と引き換えに自らの棲家たる自然を破壊し続け、かって地球上に王者として君臨した恐竜が自ら選んだ肥大化の末に滅亡の道を辿ったように、人間も、果てしない進化、肥大化の末に、宿命的に破滅の道を辿って行くのである。すでに核兵器の存在自体が、破滅の道を予感させるに充分なものであるにもかかわらず、なおも果てしのない進化の道を突き進み、自らの意志で、自然の摂理が与えた進路を、破滅の日まで歩き続ける宿命を人間は背負わされている。
 進化の過程で高度に発達した頭脳を獲得し、今や自然界に最強の王者として君臨する人間であるが、ますます肥大化する頭脳や自らの種が歩むべき未来を自分でコントロールすることは出来ず、草木や他の生き物たちと同様に、その運命はすべて自然の摂理の手のひらの中に委ねられている。
 人類が背負わされたこの宿命をどうすることも出来ないが、人間個々人がどう生きるか、という観点から考えるなら、他の生き物たちとは違い、その優れた頭脳ゆえに、一個の人間としてそれぞれの自覚の段階に応じ、自分自身の納得のいく生き方を選ぶことが出来る。それだけが人間に残された唯一の救いではなかろうか。  

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コメント
 
01. 管理人さん 2012年1月19日 22:52:27 : Master
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