投稿者 ヒューマニスト 日時 2010 年 4 月 03 日 14:11:16: Wn1GIMNLO2fPc
高福祉・高負担の先例、近藤デンマーク大使
民主主義と自由経済のもと、
国民が自ら国づくりの主役に!
今回の政権交代をどう評価するかは国民次第だが、いま最も問わ
れていることは、 国のあり方を国民が自分の問題としてとらえ、国
づくりに能動的にかかわっていく姿勢ではないか。
日本は戦後、欧米をモデルとして経済発展を遂げた。 しかし、それ
を主導したのは政府であり、 国民はひたすら勤勉に働くことで支え
てきた。いま、日本社会は高齢化対策など福祉の充実と低炭素社
会への移行という課題に直面しているが、国民がこうした受け身の
姿勢に慣れたあまり、難問にダイナミックに取り組む力が社会に十
分現れていないように見える。
私が勤務するデンマークは、徹底した民主主義と自由経済のもとで、
高福祉 ・ 高負担のモデルをつくり上げた。
デンマークでは、 企業が比較的自由に労働者を雇用 ・ 解雇できる
が、 失業者には国が手厚い手当を支給しつつ、再教育 ・ 再訓練を
行う。そのため失業者は平均6ヶ月という短期間で新しい職に就くこ
とができる。
一方で企業は、 出産や育児のために休暇をとる従業員を解雇でき
ず、職場復帰時の条件を保障しなければならない。「フレクシキュリ
ティー」と呼ばれるこの柔軟なシステムが、無料の子育てや教育、介
護などを労働市場の側面から下支えしている。
また、デンマークは石油危機の直後から、風力発電の導入など脱石
油への取り組みを始めた。いま、発電量全体に占める再生可能エネ
ルギーの割合は27%に達している。 さらに遠くない将来にはバイオ
マスなどの導入によって、化石燃料への依存をゼロにする計画を立
て、気候変動対策で世界のリーダーになった。
ここで学ぶべきは、こうしたデンマークのモデルそのものではない。
国民が自らそれをつくったということである。
独特な労働市場システムは労働者、企業、 政府の3者が話し合って
つくった。 再生可能エネルギーの導入には電力インフラの地域分散
が必要だが、これも地域の住民主導で行われた。 自分達が納得し
てつくったモデルだから、誇りをもち、維持するために協力する。
有権者の80%以上が選挙で投票し、 高い税金もいとわないのはそ
のためだ。
このメカニズムが実際にうまく機能していることは、 生活レベルや経
済競争力の高さに表れている。 幸福度の調査でデンマークがしばし
ば1位になるのは、自分達でつくったシステムがうまく機能していると
いう自信と、 その下で安心して毎日を暮らせるという実感があるから
である。
欧米モデルそのものをまねることはもはや適切でなく、中国などの新
興国もモデルを提供してくれるわけではない。政権が代わった節目の
今こそ、日本の姿は国民が自らつくるという能動性をもつ良い機会で
はないか。
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