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まずはじめに、「欧州債務危機が大恐慌を引き起こす恐れ……」by sciさんの後につけたNo06のコメントについて、お詫び申し上げます。このコメント、メール下書きをコピーし、阿修羅コメント欄に貼り付けた際、パソコン操作ミスをおかして、同じ文章を繰り返し重複掲載してしまいました。パソコン操作が未熟なことから発生した単純ミスであります。たいへん見苦しいことになりまして、阿修羅読者諸氏に不快な思いをさせ申し訳ありませんでした。お詫び申し上げます。今回、改めて新規投稿させていただきました以下の文章は、数値データを直近のものに変更し、補足部分で更に大胆な仮説を加えました。ご批判のほど、よろしくお願い申し上げます。
みずほフィナンシャルグループ(以下、みずほFG)の株価と配当から、破綻の可能性を考察してみました。
メガバンクが怪しいと考えはじめたのは、株価の中長期チャートのトレンドがあまりにも弱いことからです。
一番問題のみずほFGの株価の、2006年以降の動きを長期的に見ますと…
(株式分割修正済株価、単位は円)
06年
始値 945
高値 1030
安値 791
終値 850
07年
始値 856
高値 917
安値 499
終値 534
08年
始値 520
高値 606
安値 190
終値 257
09年
始値 283
高値 299
安値 146
終値 166
10年
始値 167
高値 196
安値 110
終値 153
11年
始値 155
高値 177
安値 110
直近値 115
(直近値は9月16日終値)
06年〜10年のみずほFG株価は、四本値すべてが下値切り下げ型となっています。2011年は既に8ヵ以上経過していますが、10年の高値・ 196円を抜いていません。年末までに抜くには直近値・ 115円から70%も上昇する必要があります。今の地合いからは至難でしょう。すると、昨年と今年に何度もつけた上場来の安値・ 110円で底をうったとは言えないことになります。つまり、06年4月から下降トレンドに転換し、5年5ヵ月も経過しているみずほFG株価はまだ下値があると見るべきです。しかも06年高値から直近値までの下落率は実に89%、日経平均が冴えないと言っても、この間の高値から直近値までの下落率は50%強ですから、みずほFGの下げかたがいかにキツいものかがわかります。旧富士・第一勧銀・興銀のブランドを信じて保有し続けた投資家のダメージは相当厳しいと言えます。
次に、みずほFGの配当を見ますと〜
06年
3月 4円
9月 0円
07年
3月 7円
9月 0円
08年
3月 10円
9月 0円
09年
3月 10円
9月 0円
10年
3月 8円
9月 0円
11年
3月 6円
9月 3円
(売買単位修正後の金額、11年9月は予定、その他は実績)
通常、ある銘柄の配当利回りの算出基礎となる配当金は、3月決算期に支払われた配当金と前年9月中間配当金を合算した金額ですが、ここでは比較をわかりやすくするため、西暦年ごとに支払われた実績配当金を基準に配当利回りの変動を計算してみました〜
@06年配当利回り…
高値ベース=4円÷1030円=0.38%
安値ベース=4円÷791円=0.50%
A07年配当利回り…
高値ベース=7円÷971円=0.72%
安値ベース=7円÷499円=1.40%
B08年配当利回り…
高値ベース=10円÷606円=1.65%
安値ベース=10円÷190円=5.26%
C09年配当利回り…
高値ベース=10円÷299円=3.34%
安値ベース=10円÷146円=6.84%
D10年配当利回り…
高値ベース=8円÷196円=4.08%
安値ベース=8円÷110円=7.27%
E11年配当利回り…
高値ベース=9円÷177円=5.08%
安値ベース=9円÷110円=8.18%
(利回りの小数点3位以下は切捨て。11年のみ予定、その他はすべて実績)
過去数年間、株価の下落に逆行して、高値・安値ベースともに配当利回りは上昇し続けています。
みずほFGの尋常でない状態を以下まとめますと〜
@06年から08年まで、4円→7円→10円と連続増配しているにもかかわらず、株価は急落しています。2000年以降、日経平均が高値をつけたのは07年です。07年6月に久々に月足終値で18000円台にのせています。日経平均採用銘柄の多くも、この年の2月から7月にかけて前年高値を抜いています。ところが、みずほFGは増配という明白な好材料がありながら、06年高値を抜けず、以後、2011年直近まで前年高値を一度も抜いたことがありません。
AみずほFGの06年以後の高値と安値の中間値を基準にした配当利回りは〜
06年 0.44%
07年 1.06%
08年 3.45%
09年 5.09%
10年 5.67%
11年 6.63%
株価は一貫して下落、利回りは逆に一貫して上昇、こんな奇怪な動きが5年以上続くことは、めったにありません。
みずほ銀行の、一年もの大口定期預金利息は0.03%(9月16日)です。1000万円預けて3000円の利息しか出さない銀行が、配当は大盤振る舞いしているのです。。同じ1000万円を9月16日引け値でみずほFGに投資した場合、1000万円÷115円=86900株購入できます。中間配当(3円)支払い基準日は9月30日です。3円×86900株×0.9=234630円(税引き)を受け取れます。年換算利回りは?、保有期間20日として、(234630÷1000万円)×(365日÷20)=42.81%です! (株価が中間配当基準日以後も9月16日の終値を維持できた場合の算定です、念のため)
続いて、9月中間配当3円を予定している日経平均採用銘柄すべての株価と比較してみますと〜
京王電鉄 517円
三菱重工 329円
大和証券 303円
ミネベア 293円
東ソー 274円
三井化学 262円
鹿島建設 253円
日板硝子 182円
みずほFG 115円
(中間配当予定、株価ともに9月16日時点)
みずほFGの株価が突出して割安であることがわかります。これこそ、株式市場における「Value Trap」の典型というべきです。
ギリシア国債の利回りが30%、安愚楽牧場・黒毛和牛投資の利回りが7%、最近の投資詐欺の詐称利回りが3%〜10%、美味すぎる話は要警戒です。
最後にみずほFGの破綻の可能性を考えてみますと……。
まずは、もっとも一般的な理論株価(S)算出方法は〜
S=企業価値÷株式数=1株あたりの株主資本+(1株利益×per)
この算式に東洋経済新報社の会社四季報のみずほFG・会社データを入力しますと〜
1株あたりの株主資本(V)=172円
1株利益(P)=17.6円
per(R)=111÷17.6=6.3
みずほFG理論株価(S)=V+(P×R)=172円+(17.6×6.3)=282円
みずほFGの昨年と今年の安値110円は理論株価282円に対して、値引き率は実に60%に達しています。ここまで割安だと、現在の市況全般の低迷だけではうまく説明できません。どう考えても算出の基礎となるデータ、つまり、VかPのいずれかが間違っていると考えるべきです。そして、Pが大きく間違っている可能性は低いはずです、なぜなら、来年5月の決算発表時期には判明することだからです。するとV値・172円という数字には懐疑的にならざるをえません。また、理論株価・282円ー安値・110円=172円となりますが、この172円がV値の172円にピッタリ一致している点には十分な注意を払う必要があると思います(V値・1株あたりの株主資本とは、平たく言えば企業の解散価値ですから、利益が順調に見込まれる企業の株価がV値を下回ること自体、不自然なことです)。
再掲・みずほFG株価〜
2010年
高値 196円
安値 110円
2011年
高値 177円
安値 110円
今年の高値は昨年高値に比べて10%近く下落していますが。安値は110円で変わらず、しかも、昨年来何度も110円をつけた後、小反発を繰り返しています。そして、この110円という数値は、みずほFGのS値からV値を引いた数値とだということは、みずほFGのV値はかぎりなくゼロに近い、という見方が市場参加者のコンセンサスとして成立していることを意味するのではないでしょうか。
みずほFG破綻の可能性は既に万が一というような甘いレベルでないのは確実だと思います。
補足……
@現実問題として、みずほFGが破綻した場合、かつての長銀や日債銀の破綻と比較して、日本経済への影響は計り知れないほど甚大なものになることが予想されます。ですから、政治的な判断としては破綻を回避するよう動くはずだと考えるのが常識でしょう。しかしながら、政府には資本注入する資金は枯渇していますし、これまでメガバンクがたびたび凌いできた大型増資という方法も、実質破綻状態が顕在化した状況では新株の引き受け手を探すのは困難を極めるに違いありません。残る方法は、大型合併ですが、大手銀行、大手証券会社は、おそらくどこもみずほFGと同様にギリギリの状態だと仮定すると、これも無理筋です。
ここからは、更に大胆な想像です。
みずほFGの大株主は以下のとおりです。
第一位 日本トラスティ信託口(7億2千万株)
第二位 日本マスター信託口(4億8千万株)
第三位 第一生命保険(2億株)
(四位・五位、省略)
第六位 OD06・オムニバスチャイナトリーティ808150(1億3千万株)
以下、略
第六位の「オムニバスチャイナトリーティ…」とは、オーストラリアに本拠を置く、中国の政府系ファンドです。最近話題になっている、このファンドは2010年中間決算時に突如として大株主に登場したらしいです。既に日経平均採用銘柄を中心に、判明しているだけでも2兆円以上日本株を購入し、株価の変動にかかわらず一貫して買い増しスタンスを継続しているとのことです。このファンドの投資目的は、単に長期保有による値上がり益追求だけでなく、日本企業の支配も視野に入れていると見るべきでしょう。かつて、破綻した日本長期信用銀行は、俗に言う「ハゲタカファンド」に二束三文で買収されましたが、やがて訪れるメガバンク経営危機は中国政府系ファンドによって「救済」される可能性もありうると思います。わたしのような金融ド素人の人間が想像することですから、経済評論家や金融関係者が考えていないわけはないはずです。ではなぜ、広く話題にならないのか。
理由は至極単純、新谷のり子の歌の歌詞「ホントのことを言ったらお利口になれない」からだと思います
A参考・破綻した主な金融機関(8月30日付朝日新聞夕刊より)
1994年 東京協和信組
1995年 コスモ信組、兵庫銀行、木津信組
1996年 阪和銀行
1997年 北海道拓殖銀行、徳陽シティ銀行
1998年 日本長期信用銀行、日本債券信用銀行
2001年 石川銀行
2003年 足利銀行
(了)
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