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私の女友達が、あの当時はかなり年上の人に思えたが、リーゼル・ヘンツェンが、もし私が望むんなら新聞記者に会ってみないかと言ったのは私が18才の時だった。高校の最後の年で、私は自分にどんな仕事が向いているのかまだ知らなかった:記者(の仕事)を知ることができるということは、すでに私の心を捕らえていたので、いいよ!と私は応えた。リーゼルはマッシモ・カプートに会わせる約束を取ってくれた。
カプートはGazzetta del Popolo(ガゼッタデルポポロ・直訳すれば民衆新聞)で働いていて、あの頃は、トリノの重要な新聞であった。というわけで、ある朝私は汽車に乗りトリノへ向かった。旅は何時間もかかった。夕方5時、40代の紳士がいるオフィスに入った、彼はすぐに私に大きなインパクトを与えた:親切で自信があり、”君” ではなく ”貴方” という言葉を使い、良識があり、容貌と仕種には控えめなカッコよさがあった。
私は彼に自分が何をしたいのかわからないと言った;旅をさせてくれて多くの興味がわく面白い人々に会わせてくれるような活動をしてみたいと思っている;で助言を頂きたいと言った。カプートは面接の最初の30分を、ジャーナリズムの不利を説明することに割いた(それは悲しい仕事でありもしその人が優れていなければ、一方優れていることは難しいことだが、金持ちにはなれないし、疑いの目で見られるし・・・)、それから一旦戦争が終われば、外国に特派員になるために行けるような若者が、ロンドン、ベルリンまたはモスクワなど、必要になるだろう、何故なら我々は世界と絶対に接触しなければならないからだ。と付け加えた。;ちょっと運がよければ私もそんな人の一人になれるかもしれないから、何か、どんな事でも書いてみないか、そしてそれを彼に送ってみないかと薦めた。多分私も彼に、そんなに悪くない印象を与えていたようだ。私としては、面接の最後で決然と決めた:記者になりたい!と。私には決定的な出会いであったこの日をよく覚えている:それは、1942年5月6日であった。
再び汽車に乗って、スタッツァーノに帰った;列車は夜の中をゆっくり進む、真っ暗にされ明かりが消えた駅(戦争中だから爆弾投下を避けるため駅という駅はそうした)、ボンカリエーリ、ビッラノーバ、アスティ、フェリザーノを過ぎていく。私は暗くわびしい客室の隅に座りながら、他の輸送手段で出発して全然違う街に向かう夢を見ていた。
ついに私は人生で何をしたいのかを見つけた;何かを夢みてはいた。あのトリノからスタッツァーノへの旅は、戦時中の一夜であったが、今まで私が見たことのないような希望に満ちた一夜であった。
それから何年か経ち、私は本当にロンドンに旅立った、そして多かれ少なかれあの魔法の夜の希望だった特派員のキャリアを開始した、現実にはあの日見た夢のように正確では全くないにしても。今私は、もしあの時代に戻れるなら、はっきりとこうするだろうという、この仕事に関する自分のいくばくかの考えを述べることができる。ジャーナリズムとはなんぞや?どうやってジャーナリストになるの?ジャーナリストになったらどう振る舞えばいいの?あの面接で、カプートは私に言った:ジャーナリズムとは、起こったことを、はっきりとした口調で、人々に説明するものなのではない。そうじゃなくて、起こったことを他人に説明する前に、そのことをよく知らなければならない;ジャーナリストはほかの人に報せる前に、自分自身に報せなければならない。
それから何年もして、ドイツの新聞の中に、面白い定義付けを見た:成功するジャーナリストは人に話をさせることを知っている人である。その定義は、すぐに、大したことはないように思えた。人に話をさせる;たったそれだけで十分なの?それから熟考して、ジャーナリズムの最も重要な要素はまさにそれだ、と確信を持った。対話者に話させ、心を開かせ、その人の考えを示させるために、たとえそれが君主や独裁者、天才、または貧しいエジプトの下層農民を前にしての話であっても、対話者の話に好意やヒントを感じ、限りない興味を持つ必要がある;人を好きになる必要がある、You must like people,英語文を使いますが;そしてよく聴いてジャーナリスト自身は姿を消す必要がある、つまり自分自身を忘れる、人の話の中へ一体化するために;他人にフットライトが当たるようにゆずり自分は舞台の袖に下がってじっとする。よく聞くのである。そして話してはだめ:ジャーナリストは、本当のジャーナリストは一人の聴衆であって、決して役者であってはならない。
(P.OTTONE・ Il buon giornale, Longanesi,Milano,1987)
最近の日本、ジャーナリストたちが舞台に出て威張っていますよね。読売のハシモト、朝日のホシ・・・TVに出てるほかのキャスターたちもみんなそう。
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