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ある意味において、読売新聞の「原発」への過剰な擁護の理由が解るような社説が8月10日に掲載された。菅首相の高速増殖炉もんじゅの廃炉も辞さぬ抜本的な見直しの表明を受けて読売新聞は、高速増殖炉の核燃料サイクルの有用性を説き、さらに結びとして下記の様な発言に至る。
【燃料サイクル 無責任な首相の政策見直し】
近隣国に目を転じれば、原子力は一層、存在感を増している。
中国は先月から高速増殖炉の発電運転を開始した。韓国は、日本と同じく再処理を始める、との方針を示している。北朝鮮は、核兵器開発に固執している。日本は、平和利用を前提に、核兵器材料にもなるプルトニウムの活用を国際的に認められ、高水準の原子力技術を保持してきた。これが、潜在的な核抑止力としても機能している。首相の無責任な言動には、こうした配慮がうかがえない。
(2011年8月10日01時18分 読売新聞)http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110809-OYT1T01147.htm
高速増殖炉は、福島原発(軽水炉)とは違い、冷却材に金属ナトリウムを使用した原子炉である。軽水炉型の原子炉の場合、その燃料のウランが核分裂を起こしプルトニウムが生成されるのだが、核爆弾に使用できる兵器級の濃度を持った「プルトニウム239」は出来ずらい。つまり、軽水炉原発は核兵器の材料たるプルトニウム239を揃える事が出来ない、やろうとすれば別に濃縮施設が必要である。
対して高速増殖炉ではウランに中性子をぶつけ、プルトニウム239を容易に「増殖」できる特徴がある。つまり、使用済み核燃料ウランが延々とプルトニウムに変わるので、夢の原子炉と呼ばれている。このプルトニウムは十分に兵器級の濃度を誇る。諸外国アメリカ・ソ連などは「黒鉛炉」を使い、発電目的ではなくプルトニウム239生成の為だけに、つまり核兵器の燃料を得るために使用した。
読売新聞は、高速増殖炉もんじゅが核兵器を作る為にあるのでは?という根強い疑念に対して「平和利用の名の下に、潜在的な抑止=核兵器を作る事も出来るから抑止なんだ」と、あっさりとしかもさらっと言ってのけている。これが国防上、それに諸外国への影響として重大な問題である。
これは、IAEA(国際原子力機構)やNPT(核拡散防止条約)への挑戦と受け取られても仕方が無い様な踏み込みようである。NPT第3条では、如何なる形での核兵器・核爆発装置に転用されることを禁止している中、その「意思あり」だけでIAEAの査察や、国内に現存する全ての核燃料の生産国への引渡しを可能にする条文がある。
読売新聞は、高速増殖炉が「核抑止」と如何なる証拠を基に勝手に発言しているのか?政府の公式見解や発表のどの部分にも、高速増殖炉が「将来的な核開発の為」などと踏み込んだ発言など当然にしていない。それをさも客観的事実のように無邪気に発言する事態は、如何なる国益とも合致しないばかりか、諸外国やIAEAなどの不要な介入を招かざるともいえない。
読売新聞の主張は、ストレートに「高速増殖炉」は核兵器級のプルトニウムを得るのに必要な施設だと公言したに等しい。かなりインパクトがありセンセーショナルな発言とも言える、果たして彼等はその説明責任を果たせるのか?
http://blog.livedoor.jp/katuhiro11921192/
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- 投稿可能になりました。本番投稿をお願いします。 管理人さん 2011/8/10 22:25:34
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