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政府高官は4月12日、福島第一原発事故の国際評価尺度(INES)が「レベル7」に引き上げられた点について、「3月15〜17日の時点で、レベル7に相当する量が放出されていた」と語り、事故後数日で大量の放射能物質が漏出したことを認めた。
原子力安全委員会の試算でも、3月15日夜までに約19万テラベクレル(テラは1兆倍、放射性ヨウ素換算)が放出されたとしている。
実際はさらに大量の放射能物質が大気中に放出されたとの見方もあるが、不信感が高まるこれら政府と原子力安全委員会の数値を信用したとしても、福島第一原発周辺の放射能汚染が軽妙とは言い難い。
それにもかかわらず、「計画的避難区域」にかかっている福島県葛尾村の畜産農家が、被曝した疑いがある肉牛約400頭を関東などに出荷した。
朝日新聞(4月25日・朝刊)によると、この畜産農家は震災後、飼育していた約4千頭の1割にあたる約400頭を関東などに出荷。5月末までに1日60頭ペースで出荷する準備を進めており、約2千頭は食肉処理場へ送られるとみられる。
葛尾村では現在、出荷される牛は放射線量を測る検査を受けているが、これにも疑問が残る。
現在行われている放射線量測定は、牛の体表面を計測しているにすぎない。15日までに大量の放射能物質が放出されていたと政府が認めているなら、風向きや地形などにもよるが、葛尾村の環境もかなり汚染されている可能性もある。常に屋外にいる牛や豚などは呼吸や飼料、水などによって内部被曝している可能性も否めず、現在の測定が十分であるとは言えないだろう。
農水相の指針では、放射線量は1頭ずつ検査し、放射線量が10万カウント(cpm)を上回った場合は、それを下回るまで水や洗剤で除染する。食肉にも放射線検査を実施し、基準を下回った場合のみ市場に出回るという。しかし、検体の少なさや検査方法をめぐって当初から疑問の声も上がっている。
しかも、「レベル7」の根拠とされる「19万テラベクレル」という量は、半減期が短い放射性ヨウ素だけを対象としたもの。半減期が約30年のセシウムやその他の放射能物質については公表されておらず、これらを含めた数値を含めないと、葛尾村の放射能汚染は軽く見られてしまう。しかし、放射性ヨウ素以外の放射能物質の放出量は未公表のままだ。
朝日新聞の記事で紹介された畜産農家が「二束三文にしかならねえだろうけど、牛舎で死なせるよるはましだ」と語っているように、「安値でも捨てるよりはまし」という考えが野菜農家や漁業関係者らの間ではびこっている。これに根拠の乏しい「風評被害」という言葉がセットされ、大量の被曝した食物が市場に出回る事態になっている。
おそらく数十年後の日本では、このような風潮が被曝を拡大した原因として語られることになるだろう。
確かに、政府や御用学者が「ただちに健康への影響はない」と言うとおり、微量の被曝は「現在の健康状態」に急な影響が出ることはない。しかし、長期的に見れば、さまざまな疾病や障害、異常が出てくる可能性は高く、とくに子供の摂取には気を配る必要がある。
「基準を下回る」と言っても、放射能物質が消えてなくなるわけではない。とくに、セシウムやストロンチウムといった放射能物質は半減期が長いので、微量とはいえ、生態系に取り込まれてしまうと内部被曝が長期に渡って続くことになる。
放射能に神経質になっていると「バカ」よばわりされたり、「大袈裟」と思われるかもしれない。しかし、被曝は外部被曝よりも内部被曝にその恐ろしさがあり、浴びたり摂取した「量」で軽重を測れるものではない。チェルノブイリ事故との規模の差を強調する輩も多いが、被曝は被曝である。
政府は事故の収束作業に手がいっぱいで、国民の健康になど気を配ってはいられない状態だ。捨てきれない原子力政策や将来的な補償の点から、安全ばかりを強調している。事故の収束の見通しもない点を見れば、そのうちチェルノブイリに追いつき、追い越す確率も高く、世界で唯一の被爆国が世界一の被爆国になる過程を、私たちはいままさに体験していると言ってもよい。
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- 投稿可能になりました。本番投稿をお願いします 管理人さん 2011/4/29 07:43:45
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