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菅義偉首相の6名の任命を拒否した行為は、法律違反だ !
菅義偉首相の深層・真相は ?
(「植草一秀の『知られざる真実』」:2020/10/07より抜粋・転載)
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1)〜5)は前回投稿済みです。以下はその続きです。
6)適正な手続きによって憲法を改正して、
初めて集団的自衛権の行使は容認される !
この手続きを経て初めて集団的自衛権の行使は容認される。
政府が勝手に憲法解釈を変更して集団的自衛権行使を容認することは「法の支配」、「立憲主義」の破壊行為である。
日本学術会議法は会員候補推薦の要件を定めるとともに、内閣総理大臣が日本学術会議の推薦に基づいて任命をすることを定めている。
7)「日本学術会議の推薦のとおりに
形だけの任命をする事」と国会で答弁された !
その任命に際しては、日本学術会議の推薦のとおりに形だけの任命をすることが、国会答弁で明示されてきた。これ以上でも以下でもない。
この運用を逸脱することは「法の支配」の破壊そのものである。
日本学術会議が内閣総理大臣の所轄であること。
日本学術会議の会員が公務員に該当すること。
したがって、日本国憲法第十五条の規定が適用されること。
行政権が内閣に属すること(日本国憲法第六十五条)。
内閣総理大臣が行政各部を指揮監督すること(日本国憲法第七十二条)。
8)日本国憲法の規定と日本学術会議法の規定とは矛盾しない !
これらと日本学術会議法の規定とは矛盾しない。
その上で、日本学術会議法は会員の推薦と任命について規定を置いている。
そして、任命について、政府は形式的任命であることを明示してきた。
この運用も法の一部を成してきたと言える。
したがって、菅義偉(すが・よしひで)首相が法の運用を変える意向を有するなら、日本学術会議法の改正が必要になる。
9)会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する !
法律は、「規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦する」として選考と推薦の方法を定め、
「会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。」
と定めており、その任命は、「日本学術会議の推薦を拒否せずに、そのとおりの形だけの任命をしていく」としてきたのであるから、誤解の余地は存在しない。
10 )菅首相の6名の任命を拒否した行為は、法律違反だ !
日本学術会議が推薦した者のうち、6名の任命を拒否した行為は法律違反になる。
日本国憲法の15条、65条、72条と関わりなく、6名の任命を拒否した、菅首相の行為は、法律違反ということになる。
この法律違反は菅義偉氏が始めたものではないことが明らかになりつつある。
安倍晋三氏がすでに法律違反を行ってきたことが浮上している。
この問題が国会の閉会中審査で審議されたが、与党は加藤勝信官房長官の出席を拒否した。
野党が了承して閉会中審査が実施されたが、野党の国会対策対応が弱腰すぎる。
―この続きは次回投稿しますー
(参考資料)
○菅首相の“恨み”と6人の任命を拒否 !
日本学術会議への敵意の正体とは ?
(news.goo.ne.jp :2020/10/06 04:45MAG2 NEWS)
「安倍政権の継承」を明言する菅首相は、その独善的な性格までしっかり受け継いでいるようです。菅首相は5日、日本学術会議の推薦候補6人の「任命拒否」問題について「任命は総合的・俯瞰的活動を確保する観点から判断した」と説明しましたが、各方面から批判の声が上がり、秋の国会の焦点になるとの見方も出ています。
これに関してジャーナリストの高野孟さんは、メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』の中で、今回の問題の背景には学術会議そのものへの安倍・菅両政権の敵意があると分析。その敵意のキッカケとなった同会議の「声明と報告」を詳しく紹介しています。
年内総選挙はなくなり、年明け早々もできるのかどうか?――学術会議を敵にするようでは政権安定もおぼつかない
菅政権発足当初に政界雀が囀っていた「年内、それも10月早々の総選挙」説は、早くも消え去った。菅首相自身が、10月17日の内閣・自民党合同の中曽根元首相合同葬とたぶんその前のベトナムとインドネシアへの初外遊、11月中下旬の立皇嗣の礼などの日程を次々と繰り出して、はっきりと打ち消した形である。
発足時に支持率が75%にも達していたのに何故?というのは素人政談で、第1に、本誌No.1064(9月14日号「菅義偉新首相と検察が裏取引?『安倍夫妻は不問に』談合政権の行く末は」)が明快に指摘していたように、その数字には「あの鬱陶しい安倍前首相がようやく辞めてくれてよかった」という妙なご祝儀相場が含まれていて、必ずしも菅首相への積極的な評価や期待ばかりでないことは自明だったからである。
◆いずれも厳しい選挙予測
その証拠に、第2に、その後に現れた選挙プロたちの次期総選挙予測は、どれも菅首相に有利な数字が出ていない。
『週刊朝日』10月9日号「12・6衆院選?注目58選挙区を大予測/菅自民24議席減」では、角谷浩一氏が自民党現有284に対して11減の273議席、野上忠興氏が24減の260議席と予測。『サンデー毎日』10月11日号「菅政権が圧勝できないカラクリ/秋解散総選挙全予測」では、三浦博史氏が自民11減を予測している。
11減くらいであれば、単独過半数(233)はもちろん、全常任委員長を独占し全委員会の過半数を握る絶対安定多数(261)をも確保することができるので、政権運営には何の心配もないが、24減となると絶対安定多数は確保できず、またたぶん公明・維新と合わせても改憲発議に必要な3分の2は確保できなくなる。
では、第3に、少し先延ばしして来年1月早々に通常国会を招集し冒頭解散というのはどうか。政界雀たちは永田町ご町内の事情だけで物事を判断するので、その場合に選挙は1月中で終わって月末からは例年通り予算案の審議に入れるので国民生活に影響は少ないと言うのだが、そんなことはない。
そもそも年末年始のその頃にコロナ禍そのものがどうなっているかは誰も読めないし、その影響による中小企業や商店・飲食店の倒産が激増している可能性は高く、その最中に国民の暮らしの上での切実な欲求とは何の関係もない、菅首相が自分の政権基盤を固めたいという自己都合のためだけの解散を打って国民に投票所に足を運ぶよう強要することなど、できるはずがない。
まあ、それは常識論にすぎず、菅首相は権力を振り回すこと自体に喜びを感じる独裁者ぶりっ子なので、何をするか分からない。だから3:7ないし4:6ほどの確率で来年早々解散の可能性はあるだろうが、その場合は上記の現時点での予測よりももっと自民党が票を減らすのではないか。
◆余りにもみみっちい政策の目玉
というのも、安倍晋三前首相にはまだ、第1次政権時の「美しい日本」とか、第2次政権時の「アベノミクス」とか「改憲」とか、それなりに構想らしきものがあったが、菅首相はそういう大風呂敷を広げるのは苦手で、いきなり携帯電話料金の値下げ、不妊治療への保険適用といった超個別政策に突っ込んでいく。
それはそれで確かに実利を伴うので、選挙向けの人気取りにはなるのかもしれないが、例えば携帯値下げによって、通信大手各社のそれでなくとも国際的に大きく遅れをとっている5G時代へのデジタル対応がこれ以上打撃を被ることはないのかという国家戦略的なレベルの大事な話は、菅首相から語られることはない。
あるいは、不妊治療が保険で受けられるようになるのはいいことで誰もそれに反対する人はいない。しかしそれをしたところで少子化対策としてはほとんど実効性がなく、そのような治療を必要としない若い人たちの多くが子供をもうけたくないと思っている世の中の風潮をどうしたらいいのかを根本から考え直すことが先決である。
そういう大局を語らずに末節だけ、それも損得勘定で人を釣ろうとする魂胆が見え見えのテーマを取り上げるのが菅首相らしい発想で、こういう「実績」を素早くいくつか実現して選挙を打てば勝てるのではないかというのが年明け早々解散論の根拠となっているらしい。
政界雀らは「携帯値下げ、不妊治療、デジタル庁と3つ揃えば選挙で信を問える」などと戯事を漏らしているが、そんなことは菅首相がやりたければ勝手にやればいいので、忙しい国民にわざわざ投票所に足を運ばせて是非を答えさせるような重大事ではない。総選挙は本来、政権選択を問うもので、それ以外の詰まらないことを問うために行うことは本来、許されていないのである。
◆学術会議を敵にしたのはまずかった
しかも、時間を経るごとに菅首相の浅薄性がますます露呈する。10月1日付『赤旗』1面トップ報道から火がついた、日本学術会議の新会員候補105人のうち6人を官邸が任命拒否した問題はその典型で、あちこちの人事に手を突っ込むことが権力の真髄と思い込んでいる彼の卑小さを浮き彫りにした。このことは自身が思っている以上に後を引き、支持率低下に響くことになろう。
菅が任命を拒んだ6人はいずれも、特定機密保護法、集団的自衛権解禁の安保法制、共謀罪など安倍政権の「戦争ができる国」路線に沿った一連の方策に反対を表明してきた人たちで、それらに対するいかにも菅首相らしい陰険な懲罰の弄びである。
さらにその背景には、学術会議そのものへの安倍=菅両政権の敵意があるようで、それは、これもまた「戦争ができる国」路線の一環として2015年度から始まった防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」に対して強い懸念を表明する声明を同会議が17年3月に発したことを恨みに思ってきたからだろう。
この声明は、控えめな表現ながら、戦前に科学者が戦争に協力したことへの反省を踏まえて戦後に同会議が創設された歴史を改めて思い返しつつ、軍学共同研究に手を染めるべきでないことを訴えている。また同会議は17年4月には「安全保障と学術に関する検討委員会」の報告を発表し、より具体的な考え方を示した。
この声明と報告は、菅政権下で激化すると思われる政治権力と学術研究の関係をめぐる戦いの出発点とも言うべき資料なので、参考として下に添付しておく。また軍学共同に反対する学者や市民が集う「軍学共同反対連絡会」も活発に活動していて、その共同代表は池内了=名古屋大学名誉教授、香山リカ=立教大学教授、野田隆三郎=岡山大学名誉教授の3人。
●軍学共同反対連絡会
池内氏には『科学者と戦争』(岩波新書、16年刊)、『武器輸出大国ニッポンでいいのか』(あけび書房、望月衣塑子ほかと共著、16年刊)、『兵器と大学─なぜ軍事研究をしてはならないか』(岩波ブックレット、小寺隆幸と共編、16年刊)、『科学者はなぜ軍事研究に手を染めてはいけないか』(みすず書房、19年刊)など、このテーマについての著書がある。
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