【東電会見　挙動不審高まる。】

東京電力の会見が混迷して来た。
（毎日会見していることは評価する。）
明らかに特定事項から避ける答弁が増えている。
その核心は、「原子炉に穴か空きそこから放射性物質を含んだ水が流れ出している」という問いである。
3号機に注水された水を問われ、回答は9000トンである。
13日から20日間注水したとして、450トン/日。約20トン/時で原子炉に注水していることになる。

設計上のサプレッションプールの容量を4000トンと仮定すると、最早、辻褄が合わない。
これ以外にもテクネチウム99などの半減期が短い核分裂生成物が検出されており、その濃度などから、空気中に放出されたものが雨で降下したのではとの東電の説明には同意できない。
このところこれまで東電会見で主として技術関係の説明をしてきた「他称うしろ君」の挙動がおかしいのである。
目線が定まらず、特定の質問には反論を交えて、ようするに特定できていないと否定する。
このような挙動は、上司から特定の件について「断定的なことを云うな」と言明されている時に生じる。

小紙は、この紙面上で沸騰水型原子炉の解説を行なって来たが、既に福島第一原発の構造理論図全体を取得し、会見の真偽を判断している。
まず多くの識者や原子炉技術者の意見はかなり共有が進み、1号機2号機3号機ともに炉心損傷は確実との認識である。
その後、所謂、炉心溶融についてもかなりの割合で、起きているだろうとの推定が増えている。
そして溶融した燃料が下部に落下しているかについては、各論がある。
小紙は、炉心溶融を確実視、かつ、炉心下部の再循環高圧配管ないし制御棒駆動機構周辺のハウジング溶接部などが熱と圧力で損傷し、そこから溶融燃料も冷却水に混じり漏出しているものと見ている。

（ＴＭＩ−２事故終息後の炉心損傷状況推定図）

http://www.olive-x.com/news_30/uimg/106681_ins1.gif

仮に炉心下部の制御棒駆動機構周辺の損傷であれば、それ自体が圧力容器の圧力破壊を逃がす働きをすることと、同時に1号機2号機3号機であまりに酷似する故障症状を説明することが出来る。
しかしながらそうと仮定した場合、放射性物質を含んだ冷却水が格納容器を経由して外部に漏出することになるから、その注水量に鑑みれば、その辺中が汚染水で水浸しになるハズである。
２号機は圧力抑制室に損傷と言われたが、そのことと現在の圧力容器内の気圧や原子炉水位と辻褄が合わないのである。
したがって以前に小紙が説明したように、水素爆発は、その発生順から、まず冷却水喪失事故により、炉心が高温・高圧に導かれ、それによって設計の弱い箇所が損傷し、原子炉水位が下がれば、燃料棒が水面上に顔を出し、すると水蒸気と被覆管が反応し、水素が放出されるから、結果として水素爆発を誘起するとの見方である。

また3号機と1号機の水素爆発の起き方も異なり、3号機は炉心から垂直にきのこ雲状の噴煙が上がっている。
したがって、1号機と3号機の爆発は同じではないと見ている。（2号機は圧力抑制室での爆発と云われている。）
しかしながらその水素爆発を誘起する原因は同じもので、それは冷却材喪失に基づく炉心の高温・高圧化であり、それによる炉心損傷であると見ている。
仮に2号機と3号機の炉心下部が損傷しそこから汚染水が漏出している場合、格納容器水素爆発などの事故は回避される確率が高くなる。
今のところ3台中で一番状態が良い（それでも炉心溶融は確実だが）のは一番早く損傷した1号機で、まだいくばくか圧力容器の圧力が残っている。

これらの症状を鳥瞰すると、3台ともに炉心溶融は確実、かつ、炉心自体が損傷しており、注水をしても漏れる状況が続いていると見ている。
したがって、今後も長期間にわたり注水が必要であるから、その汚染水の抑止と空気中への放出抑止が本件事故原発対策の基本政策になる。
現在、東電ほか政府が恐れている事態は、格納容器が水素爆発し、要するに福島第一原発がチェルノブイリになることだろう。
この不測の事態の確率は減少してはいるがゼロになったわけではない。
だから、東電うしろ君はその周辺に質問が及ぶと挙動不審になるのである。

http://www.olive-x.com/news_30/uimg/106681_ins2.gif

ぜひ毎日注水している原子炉毎に色分けした水を入れられることを提言する。
皆さんのご意見もお待ちする。
　

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