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自民党の憲法改正草案の実態は、「日本国憲法改悪草案」だ !
自民党改憲案への識者の見解・詳報は ?
「植草一秀の『知られざる真実』」:第2670号:2020/06/30より抜粋・転載)
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1)政府が信用されていないから、マイナンバーカードが普及しない !
マイナンバーカードが普及しないのは、政府が信用されていないからである。
個人を番号化して、政府の監視下に置く。
安倍自民党は、憲法改悪を目論んでいるが、安倍内閣が目論む憲法改悪は、個人を政府の支配下に置こうとするものである。
自民党は、2012年4月27日に、日本国憲法改正草案を公表した。
改正は、本来、正しく改めることだが、自民党憲法改正草案は、日本国憲法を正しく改めるものではない。
2)自民党の憲法改正草案の実態は、「日本国憲法改悪草案」だ !
自民党の憲法改正草案の実態は、「日本国憲法改悪草案」と表現すべきである。
自民党の憲法改悪案には、三つの基本原理がある。
第一は、「国家のための国民」、第二は、「基本的人権の制限」、第三は、「戦争する国への移行」である。
さらに、自民党の憲法改悪案の第四の重大問題点として、「独裁政治を創出する」ための、「緊急事態条項」の制定を挙げることができる。
「国家のための国民」への転換で、象徴的な事象は、現行憲法第九九条が、自民党憲法改定案の第一〇二条に書き換えられることである。
3)現行憲法では、天皇・国務大臣・国会議員・
裁判官・公務員は、憲法を尊重・擁護する義務がある !
現行憲法では、第九九条、天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、
この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
これが憲法改悪案では、第一〇二条、全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。
二 国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を擁護する義務を負う。
民主主義国家において、憲法は、権力の暴走を防ぐため、権力を縛るために制定されるものである。
これを「立憲主義」という。
4)自民党憲法案では、憲法が、権力でなく、「国民を縛る」ものだ !
自民党憲法改悪案では、第一〇二条の冒頭で、国民がこの憲法を尊重しなければならない
と宣言する。
自民党憲法案では、憲法が、権力でなく、「国民を縛る」ものになる。
大日本帝国憲法では、上諭に以下の規定が置かれている。
臣民ハ此ノ憲法ニ対シ永遠ニ従順ノ義務ヲ負フヘシ。
自民党憲法改悪案は、1889年(明治22年)2月11日に公布された、大日本帝国憲法への回帰を指向しているのである。
5)自民党憲法改悪案は、現行憲法の第九七条が全文削除される !
基本的人権の抑制で象徴的であるのは、現行憲法の第九七条が全文削除されることである。
現行憲法には、第九七条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる
自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
という条文が置かれている。この条文が丸ごと削除されるのである。
現行憲法の第一三条:
第一三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
6)自民党憲法改革案は、国民の基本的人権を軽視している !
しかし、自民党憲法改革案では、
第一三条、全て国民は、人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない。に書き換えられる。
現行憲法における「公共の福祉に反しない限り」とは、各個人の基本的人権を尊重するに際し、他の個人の基本的人権との調整が必要であるとの考え方を示すものである。
基本的人権を制限するものではない。
―この続きは次回投稿しますー
(参考資料)
T 木村草太教授の自民党改憲案「緊急事態条項」批判
(www.gosen-dojo.com:2018.5.17 22:00より抜粋・転載)
憲法学者で首都大学東京教授の木村草太氏:
自民党改憲案(平成24年に決定)の緊急事態条項(98・99条)を巡り、以下のような発言をされている(『自衛隊と憲法』)。
「何気なく読むと、大した提案ではないように見えるかもしれませんが、この条文はかなり危険です」
「緊急事態の定義が、法律に委ねられており、緊急事態宣言の発動要件は極めて曖昧です。
その上、国会承認は事後でも良いとされていて、手続き的な歯止めはかなり緩いと言わざるを得ません。
これでは、内閣が『緊急事態宣言が必要だ』と考えさえすれば、かなり恣意的に緊急事態宣言が出せることになってしまいます」
「緊急事態宣言が出されている時には…国会の十分な議論を経ずに、国民の権利を制限したり、義務を設定したりすること、あるいは、統治に関わる法律内容を変更することが、内閣の権限でできてしまう。
例えば、刑事訴訟法の逮捕要件を変える政令を作り、『裁判所の令状がなくても、内閣が逮捕すると決めれば逮捕できる』という制度にすることも可能です」
「この規定の下では、国会の監視が及ばないまま、不公平に復興予算をばらまくといった事態も生じ得ます」
「地方自治を内閣の意思で制限できる…例えば、首相の意に沿わない自治体の首長に『辞任の指示』を出すような事態も考えられます」
「緊急事態中は、基本的人権の『保障』は解除され、『尊重』に止まることになります。
…内閣が『どうしても必要だ』と判断しさえすれば、人権侵害が許されることになってしまいます」
「緊急事態宣言中…内閣独裁という体制が出来上がります。
これは、緊急事態条項というより、内閣独裁権条項と呼ぶべきでしょう」
「アメリカ憲法は、大統領に議会招集権限を与えているだけですし、ドイツ憲法も、議会の権限・手続の原則を修正するだけであって、政府に独立の立法権限を与えるものではありません。
また、フランスや韓国の憲法規定は、確かに一時的な立法権限を大統領に与えているものの、その発動要件はかなり厳格で、そうそう使えるものではありません」
「自民党草案のような内閣独裁条項は、比較法的に見ても異常だと言わざるを得ません」
「現在の備えに不備があるなら、まずは法律改正を提案すべきでしょう。
その上で、必要な法案が現憲法に違反するということになって初めて、憲法改正を争点とすべきです」
「緊急事態条項を導入するなら、同時に、内閣や国会から強い独立性を持つ憲法裁判所を設置したり、統治行為論を否定する憲法条項を導入するなど、司法審査を強化することも考えなくてはならないのです」と。
極めて厳しい自民党改憲案への批判だ。
先に紹介した井上武史氏も、緊急事態に政府の権限を拡大する条項を憲法に新しく設けるなら、併せて権力濫用を防ぐ仕組みを整備すべき事を主張しておられた。
「緊急事態条項を設ける際には、危機に迅速に対応できるだけの手段を政府に与えると同時に、
権力濫用を防ぐために、議会や裁判所による政府統制の仕組みもあわせて整備する必要がある。
特にドイツやフランスにおいて、憲法裁判所は非常時でも憲法の番人としての役割が与えるられている。
このため、日本維新の会が提唱する『憲法裁判所設置論』は緊急事態条項との関係でも議論するのが望ましい」(『中央公論』5月号)と。
なお木村氏の新刊書は、その内容に全て賛成するか否かとは別に、憲法論議に加わろうとする者なら、
一通り目を通しておくべきだろう。
U 安保法制・憲法学者の見解: 違憲・違憲の疑いあり・98 %
安保法制「合憲」わずか3 人(2 %)、
(弁護士ドットコム 6月16日より抜粋・転載)
◆「報道ステーション」が、憲法学者151人にアンケート
◆憲法学者の見解:違憲(84 %)・
違憲の疑いあり計・98 % !合憲・2 % !
アンケートは6月6日から12日まで、代表的な判例集「憲法判例百選」(有斐閣)の執筆者に名を連ねている憲法学者198人を対象に実施された。判例百選は、法律を勉強する学生必携の判例解説書で、国内の有名大学の研究者が数多く執筆している。今回のアンケートでは、151人から回答があった。
「今回の安保法制は、憲法違反にあたると考えますか?」という問いには、84%(127人)が「憲法違反にあたる」と答え、13%(19人)が「憲法違反の疑いがある」と回答した。
一方、「憲法違反の疑いはない」と回答したのは、2%(3人)だった(残り2人は、未記入)。
◆安保法案は、法的にも政治的にも誤っている !
●「一旦廃案にすべき」「憲法学者の多数決で決めるものではない」
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