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衆議院:検察官の定年延長、採決先送り !
野党が武田担当相不信任案―森法相、幹部留任基準示せず
野党・識者の見解・詳報は ?
(www.jiji.com:2020年05月15日19時01分)
衆院内閣委員会は、5月15日、検察官の定年を引き上げる検察庁法改正案に関する質疑を行った。与党が採決の構えを見せる中、立憲民主党など野党4党は、関連法案を一括して担当する武田良太国家公務員制度担当相の不信任決議案を提出。これにより内閣委は同改正案の採決を行わず散会し、委員会採決と衆院通過は来週以降に先送りとなった。
◆元総長ら「検察の力そぐ」14人連名で撤回要求―定年延長、森法相に
与党は19日の衆院本会議で不信任案を否決した上で、21日にも同改正案の衆院通過を図る考え。野党側は徹底抗戦の構えで、松本文明委員長(自民)の解任決議案提出も検討する。
内閣委は15日の質疑終了後に理事会を開催。与党が同日中に採決を行いたいと提案したのに対し、野党が反発、不信任案提出に踏み切った。
野党は検察幹部が内閣の判断でポストにとどまれる特例条項を同改正案から削除するよう求めており、修正案提出を検討している。立憲の安住淳国対委員長は記者団に「政治権力で自分の思う人事をしようと思っている。よこしまな考えはやめた方がいい」と安倍政権を批判した。
これに対し、自民党の森山裕国対委員長は「来週、(不信任)決議案を処理し、正常化を図りたい」と記者団に表明。同改正案を今国会で成立させる方針に変わりがないことを強調した。
15日の内閣委には、野党の要求に譲歩した与党の判断で、森雅子法相が慣例を破って出席。森氏は、内閣が検察幹部をポストに留任させる基準について「具体的に全て示すことは困難だ」と説明できず、理由として、新たな人事院規則が策定されていないことを挙げた。国民民主党の後藤祐一氏は、黒川弘務東京高検検事長の定年延長を踏まえた法改正だと改めて追及した。
○「検察庁法改正案に抗議します」500万件ツイートに「おかしなことには
おかしいと声を上げようという機運が高まった」記者会見で福山幹事長
(cdp-japan.jp:立憲民主党:2020年5月12日)
福山哲郎幹事長は、5月12日、定例の記者会見を国会内で開き、(1) ツイッターで広がっている検察庁法改正案への抗議(2)第2次補正予算――等について発言しました。
福山幹事長は冒頭、検察官の定年を引き上げる検察庁法改正案について、与党が今週中にも衆院で採決する方針を表明していることに対し、「いまコロナで国民に自粛・休業要請を含め大変厳しいお願いをしているなか、『 #検察庁法改正案に抗議します 』のハッシュタグを付けたツイートが500万件を超えるなど、国民から『おかしい』という声が上がっている。にもかかわらず、十分な審議もせず、法務大臣の出席もないままに日程ありきで採決することはあり得ない」と批判しました。
同法案は、衆院内閣委員会で8日、与党の強行により審議入り。野党側はこれに抗議し、「政府による恣意的(しいてき)な人事が行われかねず、認められない」と撤回を求めています。同日の内閣委理事会で野党は、検察官の定年による退官時期や役降り時期が内閣や法務大臣の判断に左右されることがないよう、役降り特例と勤務延長の廃止を求める修正案を提示しました。
政府・与党が同法案の成立を急ぐ理由についての質問には、「理由はよく分からない。国民を馬鹿にしているとしか思えない。この法案は三権分立を侵す、とんでもない内容だ」と述べ、一括して審議されている国家公務員の定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法改正案については、「高齢化が進むなかでの国家公務員延長は賛成」との立場だとして、切り離して審議をすべきだと主張。
安倍総理は11日、閣議決定して国会に提出したものは、そうしたことはしにくいと答弁したが、閣議決定した、30万円の給付金を盛り込んだ補正予算案はあっさりおろしたではないか。これだけの国民の声が上がっているなか、分離をして審議をすればいい」と、重ねて訴えました。
また、ツイート数が500万件を超えていることへの受け止めを問われると、「この理不尽さに国民の怒りと、これまで安倍政権がやってきたことを含めておかしなことにはおかしいと声を上げようという機運が高まったのだと思う。
その声を真摯(しんし)にわれわれも受け止めなければいけないと考える」と発言。三権分立、検察官の中立性が侵される、司法への信頼性が侵されるという大きな危機感を多くの国民に共有してもらったことが、こうした結果につながったのではないかとの見方を示しました。
与党内から「リツイート数を操作している」「同じ人が何回もツイートしている』といった声があることには、「矮小化して受け止めようとする態度がそもそもありえない」と指弾。与党が採決を強行しようとしていることに、「国民に協力を求めている最中に、国会を不正常にするようなことを政府・与党がすることはありえない。
まずは、採決ありきの姿勢から改めるべきで、(法案を)切り離す議論を国対ですること、まともな国会運営をするよう強く求めていきたい」と述べました。
○「恣意的な定年延長を認めるわけにはいかない」
玉木代表、与党の強行姿勢に抗議
(www.dpfp.or.jp:国民民主党:2020年05月15日)
衆議院内閣委員会で、5月15日、検察官定年延長を含む国家公務員法改正案の審議をおこなわれ、与党は質疑後の理事会で採決を提案した。これに対し野党は、検察官の定年延長、役職延長に係る明確な基準が示されておらず、時の政権による恣意的な延長がなされてしまうとし、検察官に関する規程の削除の修正、さらなる審議が必要だとして採決に反対。強行採決を阻止するために、野党は公務員制度を所管する武田良太行政改革担当相の不信任決議案を衆院に提出した。
こうした状況を受け、玉木雄一郎代表は、記者団の取材に応じ、「本日の委員会にやっと森法大臣が出席して、後藤祐一議員が質問した。ポイントは1つで、これまで認められて来なかった検察官の定年延長、役職定年の延長が個別に、特別に認められるようになること。検察官の独立性、中立性を担保するためには認めるべきではなく、我々は法案からの削除を求めている。
仮に認める場合であっても、明確で、厳格な基準がなくてはならない。その基準があるのかと前回、武田良太担当大臣に聞いたところ、ないという話で、今日、森大臣に、あるのかと聞いたら、結局これからつくるということで、現時点においてはないということだった。恣意的な定年延長は認めるわけにはいかない」と表明した。
国会対応について、「本日与党側から、採決の話があったがそれを認めるわけにはいかず、更なる慎重審議を求めた。採決を強行するのであればそれを認めることはできないということで、武田大臣の不信任案提出をして、今日、内閣委員会で採決することは阻止できた。
ただ、予断を許さない状況が続いているし、我々としては、検察官を含む国家公務員の退職年齢の引き上げについては賛成であり、検察官についても一律、恣意性が入る形ではなくて退職年齢を引き上げることについては問題ないと考えている。
定年の延長、役職定年の延長ということが恣意的におこなわれることの可能性が消えない以上、この法案には賛成できないという立場はかわらない。引き続き、あらゆる手段を使って、問題部分の削除ということを勝ち取るために、他の野党とも力を合わせて全力で取り組んで行きたい」と語った。
○法案の肝の部分で答弁不能 ! 委員会採決は認められない !
検察庁法改悪、志位委員長が表明
(www.jcp.or.jp:共産党:2020年5月15日)
日本共産党の志位和夫委員長は、5月14日、国会内の記者会見で、内閣の一存で幹部検察官の任期延長を決めることができる検察庁法改悪について、15日の衆院内閣委員会で採決を求められた場合の対応について問われ、「断固として認めるわけにはいきません」と強調し、徹底的な審議とともに、引き続き国家公務員法等改定案から検察庁法改悪の部分を削除するよう求めていくと表明しました。
志位氏は、この間の審議の到達点として、「野党が幹部検察官の任期延長の基準についてただしたのに対して、『基準はない』『2022年までに検討する』というのが武田良太担当大臣の答弁です。つまり法案の肝の部分で答弁ができないでいる。その状況のもとでの採決はまったく論外であり、明日の委員会採決は絶対に認めるわけにはいきません」と語りました。
○検察幹部の定年延長について
(mainichi.jp:2020年5月15日)
毎日新聞・東京朝刊:検察官定年延長を問う
政府の裁量で検察幹部の定年を延長できる検察庁法改正案をめぐり、国会の論戦がヤマ場を迎えている。時に最高権力者の逮捕も辞さないなど「政治権力」とは緊張関係を築き、それが国民の信頼の基盤となっている検察庁。それだけに、改正案は「検察の独立」を揺るがしかねないという反対論は根強い。どこが問題なのか。
今回の検察庁法改正案の最大の問題は、検察官の定年を引き上げることではなく、時の政権の判断で、検察首脳の定年や役職定年を引き延ばすことができてしまう点だ。これは検察を「政治検察」にする暴挙だ。旧ソ連の独裁者スターリンすら想起する。
理由は後述するとして、まずおさらいしておく。現在の検察庁法22条にある「検事総長は65歳、その他の検察官は63歳で退官する」という規定は、1947年にこの法律ができた時からあった。
こんな法律はほかにない。一般の国家公務員には81年の国家公務員法改正まで定年はなかったし、首相や国会議員に定年があれば、みんな怒るだろう。
なぜ検察官だけか。強い捜査権限があり、人を裁判にかける公訴権を持つ唯一の存在だからだ。
それゆえ検察庁法は4条で検察官を「公益の代表者」とし、そのような強大な存在が職に居座り続けないように定年を設け、自動的に退職するようにしたのだ。
ところが改正法案を読むととんでもないことが書いてある。定年を一律65歳に引き上げ、最高検の次長検事、高検検事長、地検検事正には63歳で役職を去る「役職定年」の規定が新たに設けられた。
問題はここからだ。これらをすべてひっくり返すように、22条2項などで、検事総長ら検察首脳は、内閣が「必要」と認めれば、その役職にとどまったまま、役職定年はもちろん、65歳の定年後もその職に居座れる「定年延長」規定を加えようとしているのだ。
役人は定年までの持ち時間と少ない首脳ポストをにらみつつ、出世競争をしている。検察官も同じだ。
定年が迫り、本来は就けない首脳ポストでも、時の政権が定年延長を認めれば就任できるとなれば、その検察官は政権の顔色を一切気にせず、政権の疑惑を捜査できるか。
内閣は検察を直接指揮できないなどという擁護論もあるが、誤りだ。実際、54年の造船疑獄で、時の吉田茂政権の犬養健法相は、検察庁法14条に基づき、検事総長を通じて検察捜査に介入し(指揮権発動)、自由党(自民党の前身)幹事長だった安倍晋三首相の大叔父・佐藤栄作氏の逮捕を中止させた。
その前例を考えれば、時の内閣が、検察官の定年延長を判断し、首脳ポスト就任への道を閉ざす、あるいは開くことができる今回の法改正が意味する重大性が分かるだろう。「恒常的な指揮権発動」の状態が生まれるのだ。
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