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福島第一原発の事態は現場の必死の努力にもかかわらず、悪化・拡大しつつあるが、東電側が公表していない、あるいは隠そうとしているとしか思えない、極めて重要な現象がある。それは、中性子検出が示すプルトニウムの漏出だ。この点では、NHKも朝日新聞も触れず、メディアの取材の取材、解説報道が見当たらない。(他のメディアが報道しているかもしれないが)
プルトニウム漏出の決定的な証拠と考えなければならない中性子の検出について、東電側が明らかにしたのは15日未明の記者会見だけ。その日の午前のNHKニュースでは、3号機で中性子が検出されたとだけ短く伝えた。
16日の朝日新聞朝刊は、3面下段の「東電『隠蔽体質』脈々」の記事で、「中性子線が検出された事実も、はじめは明かされなかった。中性子線は、核分裂反応を引き起こす。 金属板を貫く危険な放射線だ」とだけ書いている。
東電が明らかにした内容でも、どちらの報道でも触れられていないのは、次のことだー@プルトニウムはウランの約1万倍も中性子を放射する。検出された中性子源はプルトニウムと考えなければならない。プルトニウムはガスで出てくることはない。原子炉内の核反応で、核燃料の96%を占めるウラン238が転換して生成、次第に蓄積されたプルトニウムが、おそらく小さな個体の粒子となって漏出したA漏出のルートは原子炉内の核燃料棒が破壊し(溶融と呼ぶメディアも多い)、内部の核燃料が炉内に飛びだし、それが圧力バウンダリー(圧力容器、圧力抑制室、配管)などの裂け目から外部に漏出したーとしか考えられない、つまり、圧力バウンダリーの一部破壊を示しているーということだ。
プルトニウムの漏出、核燃料棒の破壊(溶融)、圧力バウンダリーの破壊は東電側がもっとも公表したくないことだろう。しかし、世界的な重大災害であるこが明確になったいま、災害は一企業の問題ではない。日本国民だけでなく、世界の人々に正確に理解してもらって、災害を最小限に限定し、すぐにでも生かせる情報と教訓を提供しなければならない。現場で苦闘する人々に感謝しつつ、すべての情報を公開するよう、東電と政府に求める。
▽国際原子力コンサルタントS氏の見解(17日午前)
15日、NHKは、3号機で中性子が検出されたと、放送しました。また、朝日新聞は16日の朝刊で、東電の情報公開を突いて、「中性子が検出された事実も、はじめは明かさなかった。中性子線は、核分裂反応を引き起こす。金属板も貫く危険な放射能だ」という記述を載せました。
軽水炉燃料は、約4%(96%はU-238)の濃縮ウラン酸化物UO2を円筒形に成型し焼結して作られています。炉心内で燃焼すると、装荷している燃料がPu(プルトニウム)を含まない酸化ウラン燃料であっても、核分裂を殆ど起こさないU-238が中性子を吸収し、Np(ネプチウム)を経由してPu(-239、240、241,242などの同位元素)が生成されます。Pu240はその約20%。
原子炉停止後に放射される中性子は、他のウランおよびPuの同位元素に比べて、約1万倍弱も自発核分裂が起きやすいPu-240によって、主に放出されたと考えるのが妥当です。「中性子がどこで検出されたか」という情報がありませんので、詳しくは分からないのですが、検出された場所によっては、炉心から燃料固形物が、検出場所まで出てきている可能性が高い。そうでない場合、それは、構造物の幾何学的な構成によって、中性子が飛散する障害がなく、炉心から直接中性子線が隙間を通り抜けるストリーミング効果で、測定点までまっすぐ飛んできたとも考えられます。しかしその可能性は低いと思います。端的に言えば、中性子はウランと核分裂生成物のプルトニウムを含む微小な炉心燃料固形物から検出されたと考えられるのです。
いずれにしても、もう少し詳しい情報があれば、もっと確度を高めた検討ができると思います。もし、燃料固形物が人の移動エリアまで、漏れ出ているということになれば、固形物が多くの放射性元素のキャリアー(運び手)となって移動したと考えられ、強い放射能レベルも納得できるところです。
場合によっては、圧力バウンダリーの健全性が維持できなくて、どこかで漏れが起きているとことも十分考えられます。現場の方々は、劣悪な環境下で、寝食も取らずに、決死的な努力をされておられる様子を肌で感じています。益々のご健闘を望んでいます。(了)
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