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12 月15 日・日曜討論:「吉野さん、ノーベル賞受賞 !
どうするニッポンの科学技術」
吉野彰氏のプロフィールとは ?
(datazoo.jp:2019年12月15日)
司会者:中川緑、伊藤雅之。
【出演者】大隅良典,小林喜光,上山隆大,岸村顕広,柴藤亮介,瀧澤美奈子。
(オープニング)
先日ノーベル化学賞を受賞した吉野彰さん。リチウムイオン電池の開発に貢献し、IT社会の実現や自然エネルギー活用への道を開いた。2000年以降、相次ぐに日本人のノーベル賞受賞しているが、地球規模の課題などが山積している。そこで今回は専門家とともにニッポンの科学技術について討論していく。
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(吉野さん ノーベル賞受賞 どうするニッポンの科学技術)
◆どうみる、吉野彰さんの功績
先日ノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんは、リチウムイオン電池を開発。リチウムイオン電池はエネルギーや環境分野でも活用が広がっている。受賞について吉野彰さんは「普及に関わった多くの人の思いが詰まっている。
環境問題の解決を実行する大きな責務がこもった重みを感じた。」と述べている。吉野彰さんは、京都大大学院終了後に大手化学メーカーの旭化成に入社、85年にリチウムイオン電池の原型となる新たな電池の開発に成功した。吉野彰さんは、企業研究者として、ノーベル賞を受賞したことでも注目され、「企業に属する若い研究者たちを勇気づけるだろう」と述べている。
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吉野彰さんの受賞について、オートファジーの解明でノーベル賞を受賞した東京工業大学の大隅良典栄誉教授は「受賞される前に吉野さんにお会いする機会がありました。吉野さんは福井先生の孫ですと語られていたが、福井先生の理論的な研究が白川さんを経て、実用的な価値を生み出したと話されていました。
リチウムイオン電池のこれからの社会における大きな役割が、受賞の大きな理由だと思った」と語るなど、専門家が意見を述べた。
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◆日本人のノーベル賞受賞 科学技術の現状は ?
2000年以降、日本人のノーベル賞受賞者が次々と誕生していて19人にのぼる。文部科学省によると21世紀に入ってからの自然科学分野の3つの部門の受賞者はアメリカに続き2番目に多い。
三菱ケミカルホールディングス取締役会長の小林喜光は「毎年のようにもらっているのは、もともとは20.30年前の業績でもらっている。現状引用される論文の数とか、やはり中国・アメリカに劣後している。今後20年後がどうなるかは一つ懸念される」などと述べるなど、専門家が意見を述べた。
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◆激変する社会、科学技術の意義は ?
2002年にノーベル化学賞を受賞した田中耕一さんや、今年の吉野彰さんら、これまでのノーベル賞受賞者の言葉から、これからの科学技術の意義などについて話し合う。
大隅良典は「科学と技術は別の概念だと思っていて、そうゆう理解が進んでほしいと思っている」、総合科学技術・イノベーション会議の上山隆大は「科学自体が特許の対象になるということも起こってきた。
其の部分が大きく評価され、日本人の受賞が増えている。今後は、環境問題など、科学が社会が抱える問題にどう貢献できるかが求められるようになっていくだろう」と語るなど、専門家が意見を述べた。
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◆日本での研究、現状は ? 課題は ?
今年の科学技術白書は、日本の科学技術を巡る現状について、様々な課題を指摘。日本の論文が引用された回数はこの10年で4から9位に下がった。
また各国の研究開発費総額の推移は、伸びが著しい中国に次ぐ第3位となっている。日本を取り巻く現状について、上山隆大が「重要度の高い論文の数が減っているのはシリアスな問題。博士課程に進む学生の数が減っている。」と述べるなど、専門家が意見を述べた。
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◆研究者への支援は ?
修士課程から博士後期課程への進学率が減っている。また40歳未満の国立大学教員のうち任期付きの割合は増加している。邦は新たな制度として約500億円の基金を新たに設立し、原則40歳までの若手研究者から約700人を選び、1人当たり年間や700億円の研究費を原則7年間支給するとしている。菅官房長官は「若手研究者の研究環境を抜本的に改善していく」としている。
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若手研究者を取り巻く現状について、日本学術会議若手アカデミー代表の岸村顕広は「若手の間で2.3年で研究プロジェクトを渡り歩かないといけず、自分自身の研究を進めることが難しい。長いスパンで研究できることは重要。研究の環境づくりも大事。」と語るなど、専門家が意見を述べた。
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◆次世代へのメッセージ !
次世代へのメッセージについて、アカデミストの柴藤亮介は「若手研究者をお付き合いしてますが、情熱溢れた方ばかり。ノーベル賞期間以外にも関心を持っていただけたらありがたい」、日本科学技術ジャーナリスト会議の瀧澤美奈子は「苦しい時代は長いが、決して諦めない、腐らない。ぜひ努力して志を磨いてほしい」と語るなど、専門家が意見を述べた。
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(参考資料)
吉野彰氏のプロフィールとは ?
(ウイキペィディアより抜粋・転載)
来歴・人物・◆生い立ち
1948年に大阪府に生まれる[8]。担任教師の影響で小学校三・四年生頃に化学に関心を持ったという[8]。吹田市立千里第二小学校、吹田市立第一中学校を経て大阪府立北野高校を卒業後[10]、合成繊維の発展という世相を背景に、新たなものを生み出す研究をしたいと思いから、京都大学工学部石油化学科に入学した[8]。
大学の教養課程では考古学研究会に入り、多くの時間を遺跡現場で発掘に当てたという[8]。樫原廃寺跡の調査と保存運動にも携わり、また、考古学研究会での活動を通して後の妻と出会った[8]。大学三回生以降は米澤貞次郎のもとで学ぶ[8]。大学での研究ではなく企業での研究開発に関わることを望み、旭化成工業(現 旭化成株式会社)に入社した[8]。
◆リチウムイオン電池の開発
1980年代、携帯電話やノートパソコンなどの携帯機器の開発により、高容量で小型軽量な二次電池(充電可能な電池)のニーズが高まったが、従来のニッケル水素電池などでは限界があり新型二次電池が切望されていた。
一方、陰極に金属リチウムを用いたリチウム電池による一次電池は商品化されていたが、金属リチウムを用いた二次電池は、充電時に反応性の高い金属リチウムが針状・樹枝状の結晶形態(デンドライト)で析出して発火・爆発する危険があり、また、デンドライトの生成により表面積が増大したリチウムの副反応により、充電と放電を繰り返すと性能が著しく劣化してしまうという非常な難点があるために、現在でもまだ実用化はされてはいない。
吉野は、白川英樹(2000年ノーベル化学賞受賞者)が発見した電気を通すプラスチックであるポリアセチレンに注目して、それが有機溶媒を使った二次電池の負極に適していることを1981年に見いだした。
さらに、正極にはジョン・グッドイナフらが1980年に発見したリチウムと酸化コバルトの化合物であるコバルト酸リチウム (LiCoO2) などのリチウム遷移金属酸化物を用いて、リチウムイオン二次電池の原型を1983年に創出した[11][12]。
しかし、ポリアセチレンは真比重が低く電池容量が高くならないことや電極材料として不安定であるという問題があった。そこで、炭素材料を負極として、リチウムを含有するLiCoO2を正極とする新しい二次電池であるリチウムイオン二次電池 (LIB) の基本概念を1985年に確立した[13]。吉野が次の点に着目したことによりLIB(リチウムイオン・バッテリー)が誕生した。
◆正極にLiCoO2を用いることで、
正極自体がリチウムを含有するため、負極に金属リチウムを用いる必要がないので安全である
4V級の高い電位を持ち、そのため高容量が得られる
負極に炭素材料を用いることで、
炭素材料がリチウムを吸蔵するため、金属リチウムが電池中に存在しないので本質的に安全である
リチウムの吸蔵量が多く高容量が得られる
また、特定の結晶構造を持つ炭素材料を見いだし[13]、実用的な炭素負極を実現した。
加えて、アルミ箔を正極集電体に用いる技術[14][15]や、安全性を確保するための機能性セパレータ[16]などの本質的な電池の構成要素に関する技術を確立し、さらに安全素子技術[17]、保護回路・充放電技術、電極構造・電池構造等の技術を開発し、さらに安全でかつ、出力電圧が金属リチウム二次電池に近い電池の実用化に成功して、ほぼ現在のLIBの構成を完成させた。
1986年、LIBのプロトタイプが試験生産され、米国DOT(運輸省、Department of Transportation)の「金属リチウム電池とは異なる」との認定を受け、プリマーケッティングが開始された[18]。
1991年、リチウムイオン二次電池 (LIB) は吉野の勤務する旭化成とソニーなどにより実用化された。現在、リチウムイオン二次電池 (LIB) は携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラ・ビデオ、携帯用音楽プレイヤーを始め幅広い電子・電気機器に搭載され、2010年にはLIB市場は1兆円規模に成長した[19]。
小型で軽量なLIBが搭載されることで携帯用IT機器の利便性は大いに増大し、迅速で正確な情報伝達とそれに伴う安全性の向上・生産性の向上・生活の質的改善などに多大な貢献をしている。
また、LIBは、エコカーと呼ばれる自動車 (EV, HEV, P-HEV) などの交通機関の動力源として実用化が進んでおり、電力の平準化やスマートグリッドのための蓄電装置としても精力的に研究がなされている。
◆履歴・略歴
1960年 - 吹田市立千里第二小学校卒業[10]
1963年 - 吹田市立第一中学校卒業[10]
1966年 - 大阪府立北野高等学校卒業[10][8]
1970年 - 京都大学工学部石油化学科卒業[20]
1972年:京都大学工学研究科修士課程修了[20]
旭化成工業(株)(現:旭化成(株))入社[20]
1992年 - 旭化成(株)イオン二次電池事業推進部商品開発グループ長[20]
1994年 - (株)エイ・ティーバッテリー 技術開発担当部長[20]
1997年 - 旭化成(株)イオン二次電池事業グループ長[20]
2001年 - 旭化成(株)電池材料事業開発室 室長[20]
2003年 - 旭化成グループフェロー[20]
2005年:論文博士にて大阪大学で博士(工学)の学位取得[21]
旭化成(株)吉野研究室 室長[20]
2010年 - 技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター 理事長[20]
2015年:旭化成(株)顧問[20]
九州大学エネルギー基盤技術国際教育研究センター 客員教授[20]
2017年:名城大学大学院理工学研究科 教授[20]
旭化成(株)名誉フェロー[20]
2019年 - 九州大学グリーンテクノロジー研究教育センター 訪問教授[20]
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