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吉野彰氏ら文化勲章受賞決定 ! =功労者は、坂東玉三郎さんら
ノーベル賞受賞・吉野彰氏とは ?
(www.jiji.com :2019年10月29日11時52分より抜粋・転載)
政府は、10月29日、2019年度の文化勲章を、ノーベル化学賞受賞が決まった電気化学の吉野彰・旭化成名誉フェロー(71)や狂言の野村萬氏=本名野村太良=(89)ら6人に贈ると発表した。文化功労者には吉野氏と、歌舞伎の坂東玉三郎氏=本名守田伸一=(69)、映画の大林宣彦氏(81)、メディア芸術(ゲーム)で「マリオの生みの親」として知られる宮本茂・任天堂代表取締役フェロー(66)ら21人を選んだ。
ノーベル化学賞の吉野氏「力んでしまった」=プロ野球・日本シリーズ
文化勲章の親授式は、11月3日に皇居で、文化功労者の顕彰式は同5日に東京都内のホテルで行われる。
文化勲章を受けるのは他に、数理工学の甘利俊一(83)、免疫学の坂口志文(68)、政治学の佐々木毅(77)、写真の田沼武能(90)の4氏。女性は3年連続で選ばれなかった。
他の文化功労者は、映画評論の佐藤忠男=本名飯利忠男=(89)、照明デザインの石井幹子(81)、経済学の猪木武徳(74)、短歌の馬場あき子=本名岩田暁子=(91)、俳句の宇多喜代子(84)、コンピュータービジョン・ロボット工学の金出武雄(74)、中国古典文学の興膳宏(83)、国語史学・国際交流の小林芳規(90)、時間生物学の近藤孝男(71)、社会貢献・国際貢献・文化振興の笹川陽平(80)、作物ゲノム学・学術振興の佐々木卓治(72)、日本画の田渕俊夫(78)、組踊の宮城能鳳=本名徳村正吉=(81)、漫画の萩尾望都(70)、障害者スポーツ振興の藤原進一郎(87)、分子薬理学の柳沢正史(59)、文化振興・国際交流・著作権の渡辺美佐(91)の各氏。
文化勲章では、数理工学と写真が初めての受章。文化功労者は、文化芸術基本法を踏まえ、新分野にも着目して、昨年度は、5人増の20人だった。
今年度は、さらに多い21人で、映画評論など、12分野が、初の顕彰となった。
(参考資料)
T 吉野彰氏、ノーベル賞の化学賞受賞 ! リチウムイオン電池開発で、
(www.tokyo-np.co.jp:2019年10月10日より抜粋・転載)
東京新聞・朝刊:
ノーベル化学賞の受賞が決まり笑顔を見せる吉野彰(よしのあきら)氏。会見では「研究者には柔軟性と執着心の二つが必要」と語った=9日午後、東京都千代田区で(市川和宏撮影)
スウェーデン王立科学アカデミーは、十月九日、二〇一九年のノーベル化学賞を、リチウムイオン電池を開発した、吉野彰・旭化成名誉フェロー(71)、ジョン・グッドイナフ米テキサス大オースティン校教授(97)、マイケル・スタンリー・ウィッティンガム米ニューヨーク州立大ビンガムトン校特別教授(77)の三氏に授与すると発表した。
授賞理由は、「リチウムイオン電池の開発」である。同電池が、携帯電話から電気自動車(EV)まで、電源として広く用いられ、情報化社会の広がりと、クリーンエネルギーの普及に貢献したことが評価された。
リチウムイオン電池は、実用化されている、充電可能な電池の中で、最も力持ちだ。
グッドイナフ氏は、一九七八年から、英オックスフォード大で、電池の研究に取り組んだ。
正の電極(正極)にコバルト酸リチウムを用いることで、電圧が高くて、何回も充電して使える電池が、できる可能性を示した。
吉野彰氏は、二〇〇〇年にノーベル化学賞を受けた、白川英樹氏が発見した、電気を通すプラスチック「ポリアセチレン」を、負の電極(負極)として使い、コバルト酸リチウムを、正極として電池の原型を製作した。
その後、負極を炭素繊維に変え、正負の電極が触れ合って、ショートしないよう仕切る、セパレーターなど、独自の構造を工夫し、十九八五年に実用的なリチウムイオン電池を開発した。
旭化成本社(東京都千代田区)で会見した、吉野さんは「研究者には、柔軟性と執着心の二つが必要。かたいばかりではめげる。壁にぶちあたっても『まあ、なんとかなるわね』という柔らかさがいる」と開発の苦労を振り返った。
化学賞の受賞は、二〇一〇年の鈴木章、根岸英一両氏に続き、八人目となる。
日本人のノーベル賞受賞は、計二十七人となった(受賞時に米国籍の二人を含む)。
ノーベル賞の授賞式は、十二月十日に、ストックホルムで開かれる。賞金は、九百万クローナ(約九千七百万円)を、三人で等分する。吉野さんは、二十一八年に、中日文化賞を受賞している。
◆スマホからEVまで、蓄電革命 ! 自然エネルギー変革の鍵にも
スマートフォンやノートパソコン、カメラに電気自動車(EV)。身の回りにあふれるリチウムイオン電池は、単に機械を動かすだけではなく、インターネット社会を支えるインフラになった。それだけではなく近い将来、自然エネルギーの有効利用を支える鍵となり、社会の仕組みを変える力を秘めている。
リチウムイオン電池は、それまでのニッケル水素電池と比べて、小型軽量、高電圧で、千回以上も繰り返し使えた。ビデオカメラをはじめ、携帯電話やノートパソコンなどモバイル端末に次々と採用された。
一九九一年、ソニーが世界で初めて量産化に成功。翌年、旭化成は東芝と合弁会社を設立して参入。三洋電機と松下電器産業(現パナソニック)も加わり、日本企業が市場を席巻した。IT革命の下支えとなり世界を一変させた。
今回ノーベル賞に決まった旭化成の吉野彰さんは、リチウムイオン電池が次の大きな変革を起こし、もう一度、世界を変える可能性があるとみている。
その名も「ET革命」だ。Eはエネルギーや環境、Tは技術のテクノロジーを表す。核になるのは電気自動車だ。
吉野さんが、想像する近未来は、無人の自動運転車が実現した社会。そこでは、マイカーを持つという考えは薄まり、車に乗りたいときは、スマホで呼び出せば、すぐにやってくる。
リチウムイオン電池を搭載するEVは、動く大きな蓄電池ともいえる。太陽光発電や風力発電などは、計画的に、電気を起こせないことが弱点だ。発電した電力を蓄えておく必要がある。
発電した電気をためた、EVは集まれば、巨大な蓄電システムになる。
もし台風や地震などで、停電が起きれば、EVが電気を放出し、供給することもできる。
そんな社会を描く。
発電に不安定さを抱える、自然エネルギーには、蓄電システムが欠かせない。
リチウムイオン電池が、切り札になるかもしれない。 (三輪喜人)
<よしの・あきら> 1948年、大阪府吹田市生まれ。1970年京都大工学部石油化学科卒、1972年京大大学院工学研究科を修了し、旭化成工業(現旭化成)に入社。電池材料事業開発室長などを経て、2003年に、同社フェロー。2005年に、同社吉野研究室長、2015年顧問。2017年から名誉フェロー、名城大教授。2004年に、紫綬褒章受章。2018年に日本国際賞、2019年に、欧州特許庁の欧州発明家賞を受賞。神奈川県藤沢市在住。71歳。
U 吉野彰氏のプロフィールとは ?
(ウイキペィディアより抜粋・転載)
来歴・人物・◆生い立ち
1948年に大阪府に生まれる[8]。担任教師の影響で小学校三・四年生頃に化学に関心を持ったという[8]。吹田市立千里第二小学校、吹田市立第一中学校を経て大阪府立北野高校を卒業後[10]、合成繊維の発展という世相を背景に、新たなものを生み出す研究をしたいと思いから、京都大学工学部石油化学科に入学した[8]。
大学の教養課程では考古学研究会に入り、多くの時間を遺跡現場で発掘に当てたという[8]。樫原廃寺跡の調査と保存運動にも携わり、また、考古学研究会での活動を通して後の妻と出会った[8]。大学三回生以降は米澤貞次郎のもとで学ぶ[8]。大学での研究ではなく企業での研究開発に関わることを望み、旭化成工業(現 旭化成株式会社)に入社した[8]。
◆リチウムイオン電池の開発
1980年代、携帯電話やノートパソコンなどの携帯機器の開発により、高容量で小型軽量な二次電池(充電可能な電池)のニーズが高まったが、従来のニッケル水素電池などでは限界があり新型二次電池が切望されていた。
一方、陰極に金属リチウムを用いたリチウム電池による一次電池は商品化されていたが、金属リチウムを用いた二次電池は、充電時に反応性の高い金属リチウムが針状・樹枝状の結晶形態(デンドライト)で析出して発火・爆発する危険があり、また、デンドライトの生成により表面積が増大したリチウムの副反応により、充電と放電を繰り返すと性能が著しく劣化してしまうという非常な難点があるために、現在でもまだ実用化はされてはいない。
吉野は、白川英樹(2000年ノーベル化学賞受賞者)が発見した電気を通すプラスチックであるポリアセチレンに注目して、それが有機溶媒を使った二次電池の負極に適していることを1981年に見いだした。
さらに、正極にはジョン・グッドイナフらが1980年に発見したリチウムと酸化コバルトの化合物であるコバルト酸リチウム (LiCoO2) などのリチウム遷移金属酸化物を用いて、リチウムイオン二次電池の原型を1983年に創出した[11][12]。
しかし、ポリアセチレンは真比重が低く電池容量が高くならないことや電極材料として不安定であるという問題があった。そこで、炭素材料を負極として、リチウムを含有するLiCoO2を正極とする新しい二次電池であるリチウムイオン二次電池 (LIB) の基本概念を1985年に確立した[13]。吉野が次の点に着目したことによりLIB(リチウムイオン・バッテリー)が誕生した。
◆正極にLiCoO2を用いることで、
正極自体がリチウムを含有するため、負極に金属リチウムを用いる必要がないので安全である
4V級の高い電位を持ち、そのため高容量が得られる
負極に炭素材料を用いることで、
炭素材料がリチウムを吸蔵するため、金属リチウムが電池中に存在しないので本質的に安全である
リチウムの吸蔵量が多く高容量が得られる
また、特定の結晶構造を持つ炭素材料を見いだし[13]、実用的な炭素負極を実現した。加えて、アルミ箔を正極集電体に用いる技術[14][15]や、安全性を確保するための機能性セパレータ[16]などの本質的な電池の構成要素に関する技術を確立し、さらに安全素子技術[17]、保護回路・充放電技術、電極構造・電池構造等の技術を開発し、さらに安全でかつ、出力電圧が金属リチウム二次電池に近い電池の実用化に成功して、ほぼ現在のLIBの構成を完成させた。
1986年、LIBのプロトタイプが試験生産され、米国DOT(運輸省、Department of Transportation)の「金属リチウム電池とは異なる」との認定を受け、プリマーケッティングが開始された[18]。
1991年、リチウムイオン二次電池 (LIB) は吉野の勤務する旭化成とソニーなどにより実用化された。現在、リチウムイオン二次電池 (LIB) は携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラ・ビデオ、携帯用音楽プレイヤーを始め幅広い電子・電気機器に搭載され、2010年にはLIB市場は1兆円規模に成長した[19]。
小型で軽量なLIBが搭載されることで携帯用IT機器の利便性は大いに増大し、迅速で正確な情報伝達とそれに伴う安全性の向上・生産性の向上・生活の質的改善などに多大な貢献をしている。また、LIBは、エコカーと呼ばれる自動車 (EV, HEV, P-HEV) などの交通機関の動力源として実用化が進んでおり、電力の平準化やスマートグリッドのための蓄電装置としても精力的に研究がなされている。
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