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京都アニメ放火事件から1ヵ月:「青葉容疑者」、刑事処分はどう進むのか ?
青葉容疑者は、精神的な疾患があった !
(diamond.jp :2019.8.18 5:50より抜粋・転載)
戸田一法:事件ジャーナリスト:
◆35人が死亡、34人が重軽傷を負った事件 !
京都市のアニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオが放火され、35人が死亡、34人が重軽傷を負った事件は、8月18日、発生から1ヵ月が経過した。犠牲者のご家庭が仏教であれば、悲しみの初盆を過ごしたことだろう。
この間、青葉真司・容疑者(41歳)は、医師の呼び掛けに反応するまでに回復したが、依然として容体は重篤なままである。
京都府警による事情聴取や逮捕が、可能になるのは、早くとも数ヵ月後とされる。刑事事件として動き出すのがいつになるのか、先行きは不透明だ。
(事件ジャーナリスト 戸田一法)
◆青葉真司・容疑者:7 年前にも放火殺人を示唆 !
“ガソリン放火7年前言及 京アニ容疑者「社会に嫌気」”。
毎日新聞の8日付朝刊に衝撃的な見出しが掲載された。
事件当時、第1スタジオにいた70人に対する殺人と殺人未遂、現住建造物等放火の疑いで逮捕状が出ている青葉真司容疑者(41)=さいたま市見沼区大和田町1丁目=は、過去に起こしたコンビニエンスストア強盗事件で、今回と同様にガソリンを使った放火殺人を考えていたというのだ。
◆コンビニ強盗を起こし、懲役3年6ヵ月の実刑判決 !
毎日の報道などによると、青葉容疑者は、2012年6月、茨城県坂東市でコンビニ強盗を起こし、同9月に水戸地裁下妻支部で懲役3年6ヵ月の実刑判決を受けた。
青葉容疑者は、捜査段階で「小説を書いている」と供述し、その小説を巡り、家族関係が悪くなったことが、事件の引き金だったと主張している。
実際に小説を書いていたかどうかは、不明だが、漫画は、多く読んでいたと話していたとされる。
2009年に、アルバイト先をクビになり、当時の心境について「ガソリンをまいて、他人を燃やそうと思った」とも供述している。その際に2008年6月に発生した、秋葉原無差別殺傷事件の加藤智大死刑囚(事件当時25、現在は36)について触れ、「同じ心境だ」、「刑務所に入りたかった」と述べていたとされる。
一方で「無差別殺人を考えることはあるが、思いとどまることもできる」とも供述していたという。
○一方的な思い込みの犯行か ?
同事件は、歩行者天国に加藤死刑囚のトラックが、突っ込んで通行人を相次いではね、さらにナイフで襲った、無差別殺傷事件だ。7人が死亡、10人が重軽傷を負った。
加藤死刑囚は、青森県トップの県立青森高校を卒業後、短大に進学。インターネットに「負け組」というキーワードを書き込み、加藤死刑囚が当時、派遣労働者だったことから、ネットでは「勝ち組に一矢報いた」「格差社会の英雄」ともてはやす投稿もあった。
青葉容疑者は、コンビニ強盗の動機について、「仕事上で理不尽な扱いを受けるなどして、社会で暮らしていくことに、嫌気がさした」と述べ、自首したことも含め、判決では、罪が軽減されていた。
7年前は思いとどまることができた無差別大量放火殺人…。何が青葉容疑者を凄惨(せいさん)・残虐な犯行へと駆り立てたのだろうか(推定無罪の原則、または刑事責任能力を問えない可能性もありますが、犯行は疑いのない事実とみられますのでこのように表現します)。
○一方的な思い込みの犯行か ?
京アニの代理人弁護士は7月30日、同社が年1回開催している「京都アニメーション大賞」に、青葉容疑者と同姓同名・同住所の投稿があったと明らかにした。
京アニ大賞はプロ・アマ、年齢を問わず、広く作品を募集。大賞作品はアニメ化され、文庫として出版される。
青葉容疑者は事件発生直後、京都府警の警察官に取り押さえられる際に「小説を盗まれたからやった」と話したとされる。
代理人は「(応募者が)同一人物かどうかは確認できない」としつつ、内容を確認したところ、京アニが手掛けた作品と似たような表現は確認できなかったと説明した。
この代理人の説明で、青葉容疑者の動機が「自分の作品を盗用されたと思い込んだ、理不尽かつ一方的な思い込み」だった可能性が浮上した。 しかし、不可解な点も残る。
○実際のところどうなのか ?
単純に「盗用された」と思い込んだだけなら、京アニ側に抗議すればいいだけだ。それがなぜ、70人もの社員が作業中の建物に、ガソリンをぶちまけて火を放たなければいけなかったのか…。
万が一、青葉容疑者が思い込みの激しい特異な感情の持ち主だとしても、誰もが納得・理解できる動機にはなり得ない。
京アニによると昨年9月〜11月、ホームページに特定個人に対する殺害予告のほか、「新作アニメの制作を中止しろ」「コンサートを中止しろ」などの脅迫が相次いでいた。
京アニは京都府警に被害届を提出。京都府警は威力業務妨害などの疑いで捜査しているが、容疑者は特定できていない。
また同じ時期、インターネット掲示板サイトに「爆発物を持って京アニに突っ込む」などの投稿があったことも判明。
ほかにも「アイディアをパクる貴様らだけは絶対に許さん」「原稿を落とされた」「裏切られた」など複数の投稿があり、青葉容疑者との関連をうかがわせるような内容もあるという。
こちらについても京都府警が、青葉容疑者の自宅から押収したパソコンやスマートフォンを解析して調べている。
いずれも現時点では青葉容疑者との関連は不明だが、実際のところどうなのか、容体の回復を待って京都府警が聴取するしかない。
◆今後の刑事処分の見通し
聴取の後、逮捕状が執行されるのは間違いないが、今回のケースは青葉容疑者に過去に精神障害があったこともあり「精神鑑定」になるだろう。
○刑事処分はどのように進むのか ?
精神鑑定は報道等でもよく見かける用語だが、法的には裁判所が訴訟当事者などの精神状態・責任能力を判断するため、
精神科医などに命じる鑑定を指す。
裁判所判事は鑑定人の鑑定意見に拘束されず自由に判断できるが、採用しない合理的な事情が認められなければ、その意見を十分に尊重して認定しなければいけないとされている。
では、今後、青葉容疑者の刑事処分はどのように進むのか。順を追って解説したい。
まずは容体の回復を待って逮捕。そして前述の精神鑑定のため、さらに鑑定留置となるだろう。
鑑定留置もよく見かける用語だが、刑事訴訟法に基づく手続きで、精神鑑定のために期間を定めて容疑者や被告人を病院などに留置することだ。
鑑定では成育歴や生活状況、計画性、違法性の認識などを調べ、刑事責任能力を判断する材料となる。検察官が請求して裁判所が認める場合と、裁判所の職権による場合がある。
青葉容疑者はこれまで通常の社会生活を維持していたため、不起訴という可能性はさすがにないだろう。
そして、起訴された場合、罪が殺人と殺人未遂、現住建造物等放火なので、一般市民による裁判員裁判になるのは確実だ。
事件発生から、8月18日で1ヵ月。
当時、スタジオにいた70人は20〜61歳で、男性14人と女性21人が死亡。34人が負傷し、現在も重篤な方を含め8人が入院中だ。
犠牲者に衷心より哀悼の意を表し、入院中の方々の一刻も早い回復をお祈りしたい。
(参考資料)
京アニ火災”青葉真司容疑者:20 代には「下着泥棒で連行」
「家族が家賃補填」も
(bunshun.jp:2019/07/20より抜粋・転載)
「週刊文春」編集部:
京都市の名門アニメ制作会社「京都アニメーション」で発生した放火事件は、34名が死亡する大惨事となった。
警察が身柄を確保した、さいたま市在住の無職、青葉真司容疑者(41)は全身に火傷を負って意識不明の重体だ。7月20日には、京都市内の病院からドクターヘリで大阪の大学病院へと移送された。
◆兄と妹の3人きょうだいだった !
青葉容疑者の生い立ちについて、社会部記者が語る。
「青葉容疑者は兄と妹の三人きょうだい。両親が幼少期に離婚したため、父親と暮らしていたのですが、経済的には常に苦しかったようです。小学生時代は柔道クラブに通うなど活発な面もあったのですが、友達は少なかった。中学校では暗い印象で、いじめに遭って引きこもりがちだったそうです」
青葉容疑者の中学時代の同級生が回想する。
「(青葉容疑者のことは)まったく覚えていないですね。事件後の報道で卒業アルバムが出ていて、初めて彼の存在に気が付きました。卒業の際に撮影する集合写真には写っておらず、青葉容疑者は別で撮られた写真が載っていたから、学校にも来ていなかったのだと思います」
中学卒業後は、埼玉県内の高校の夜間部に通った青葉容疑者。その後は県非常勤職員、新聞配達員、コンビニ数軒と、職を転々とした。その間に父親が死亡し、家族とは疎遠になっていったという。
◆コンビニ強盗以前にも警察沙汰があった !
「当時から愛想は良くなかったですね。ただ、仕事にはマジメに自転車で通っていました」(青葉容疑者の知人)
だが、青葉容疑者は2006年春に警察沙汰を起こす。
「窃盗の疑いで、警察が青葉容疑者の自宅に踏み込んだことがありました。要するに“下着泥棒”ですね。青葉容疑者は部屋の中で寝ていて、そのまま起こされて警察に連行された。事件の後にアパートの部屋を引き払う際には、それまで離れて暮らしていた母親が家賃補填したそうです」(同前)
その後、埼玉県内の人材派遣会社に登録したり、茨城県内の郵便局に勤務した青葉容疑者だが、2012年6月にコンビニ強盗を起こし、逮捕される。
当時、青葉容疑者が居住していたアパートの管理人はこう証言する。
「必要書類に記入してもらうために留置場に行ったのですが、そのときは髪の毛がボサボサで、耳にかかるくらいに伸びていた。終始、下を向いていて表情はわからなかったけれど、書類の記入にはおとなしく従ってくれました」
◆更生保護施設で過ごした ! 精神的な疾患があった !
コンビニ強盗事件後、更生保護施設で過ごしたという。
「更生保護施設を退所した後は、埼玉県内のアパートで一人暮らしをしていました。京都府警も『精神的な疾患があるとの情報を把握している』と発表していましたが、精神科に通院していたとの情報も入ってきています」(前出・社会部記者)
青葉容疑者の回復を待って、警察は取り調べを進めるという。
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