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ハンセン病家族、安倍首相へ謝罪を要求 !
被害回復策も、全容把握は難航か ? 「長かった」と、原告安ど !
ハンセン病の深層・真相は ?
(headlines.yahoo.co.jp:2019年・7/9(火) 17:58より抜粋・転載)
共同通信:ハンセン病家族、首相謝罪を要求 被害回復策も、全容把握は難航か
安倍晋三首相は7月9日、ハンセン病家族訴訟で隔離政策による家族への差別被害を認め、国に損害賠償を命じた熊本地裁判決について控訴しないと表明した。
「筆舌に尽くしがたい家族の苦労をこれ以上、長引かせない」と理由を述べたが、原告団と弁護団は、首相が面会して謝罪するとともに、被害を一律に回復する制度を創設するよう求める声明を発表した。被害回復策は根本匠厚生労働相が早急に検討する姿勢を示しており、今後、首相が謝罪要求に応じるかどうかが焦点となる。
◆選挙目当てと疑念―野党
関係性を強く否定―与党
政府は補償金を支払う方向で検討を進めるが、対象家族の範囲を確定させる必要がある。差別被害の全容把握は難航する恐れもある。
○家族救済、扉ようやく 「長かった」原告安ど !
(gunosy.com :2019/7/9 13:59 (JST)7/9 15:19 より抜粋・転載)
©株式会社西日本新聞社:
全国最大規模の国立ハンセン病療養所菊池恵楓園。家族訴訟の原告の家族も入所してきた=9日午前、熊本県合志市
ずっと置き去りにされてきた家族にも、ようやく救済の扉が開いた−。ハンセン病元患者の家族の被害を認め、国に賠償を命じた熊本地裁判決について、安倍晋三首相は9日、控訴断念を表明した。偏見に苦しみ、肉親との絆を断たれてきた原告は喜び、支援者も判断を歓迎した。
「長かった」。原告団長の林力さん(94)=福岡市=は、ニュースを聞いて胸をなで下ろした。小学6年生のころ、父は国立ハンセン病療養所「星塚敬愛園」(鹿児島県鹿屋市)に入所した。父がいなくなった家は真っ白に消毒され、立ち入り禁止の札を掛けられた。病への偏見は家族にも及び、やがて林さんは父の存在を隠すようになった。
転機は同和教育に携わったこと。「国が隔離することで、世間はハンセン病を特別な恐ろしい病気と考える」と思い、1974年の著書で父の病を告白した。それから半世紀近く、ハンセン病への思いを語り伝えてきた。
自宅の机には今も、父の写真を飾る。「私はずっと父の背中を追って歩いてきた。ようやく、ここまで来た。『とうとうおまえもやったな』と、父も見てくれているでしょう」
沖縄県の原告の女性(33)は、上京中に「控訴断念」を知り「(差別解消の動きへと)やっとスタートを切れると思った」。
ただ、安倍首相は「判決には一部に受け入れがたい点がある」と発言し具体的な救済策の検討が今後の課題として残る。女性は「ぬか喜びはできない。むしろ、これからだ」と気を引き締めた。
国立ハンセン病療養所「菊池恵楓園」(熊本県合志市)の入所者自治会長の志村康さん(86)は9日、記者会見し「安倍首相の決断には驚いているし、感謝している」と歓迎。恵楓園では入所者の家族が離婚し、その後、自殺したという話も少なくない。
志村さんは「入所者とともに家族も苦しんできた。できるだけ広い救済をお願いしたい。家族が『私の兄弟はハンセン病でした』と言える社会になってほしい」と願った。
今回の訴訟では、多くの原告が差別を恐れ、実名を隠した。ハンセン病市民学会元事務局長の遠藤隆久さん(70)=熊本市=は「家族の被害は表に出ることが少なかった。判決の確定を機に、深刻な被害の実態が明らかになり、差別解消につながることを期待したい」と話した。
「反省の気持ちあるか疑問」藤野豊・敬和学園大教授(近現代史)の話
国は控訴を断念するとしたが、反省の気持ちがあるのか疑問だ。安倍晋三首相の「判決内容に一部受け入れがたい点がある」という発言は、国の違法な行為を反省し謝罪するのではなく、原告が気の毒だから賠償を受け入れるという印象を受けた。
国は判決を正面から受け入れ、家族の被害を検証して今後の差別解消に向けた動きをするべきだ。判決が指摘したように、家族への差別は今に続いている。国にとって判決の受け入れがたい点は具体的にどこなのか。あいまいな姿勢のままで賠償だけ行われても、差別解消につながる道は開かれない。
「恒久的救済の一里塚に」厚生労働省の第三者機関「ハンセン病問題検証会議」の副座長を務めた内田博文・九州大名誉教授(刑事法)の話
熊本地裁判決は、国の主張を退けて被害を認定したことと、法務省や文部科学省にも差別をなくす義務を認めた。国が控訴断念を決めたことは原告を含む被害者への恒久的救済の一里塚と思う。今後は個別被害を救済する仕組みをどう作るかが課題だ。
(参考資料)
ハンセン病とは ?
(www.niid.go.jp:2016年4月7日 より抜粋・転載)
ハンセン病(従来は癩病)、皮膚と末梢神経を主な病変とする、「抗酸菌感染症」で、現在は、途上国を中心に患者がいるものの、日本では、毎年数名の新規患者の発生で、過去の病気になってきている。
しかし、感染症法の前文には「我が国にお いては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として、今後に生かすことが必要である。」と記載されている。
ハンセン病は、社会との関係を抜きにしてはこの疾患の本質を理解することはできない。
なお、従来本疾患は、「らい」、「癩」などと呼称されてきたが、これらの呼称は、現在は偏見・差別を助長するものとして使用せず、「ハンセン病」が正式病名である。
◆疫学
らい予防法の廃止(1996年)に伴い届け出制度はなくなったが、ハンセン病研究センターなどが新規患者の調査を行っている。
日本の新規患者は毎年、日本人は数名、在日外国人は約4名である。日本人では沖縄県出身者が半数を占めているものの、新規患者の減少が著しく、かつ高齢化している(表)。一方、在日外国人患者についてはブラジルなどの患者の多い国からの出身者が目立つ。
なお、日本は衛生環境や栄養、経済などの向上により、日本国内で新たに感染・発病する心配はない。一方、世界では年間約22万人の新規患者がいる。インド、ブラジル、インドネシア、ナイジェリア、エチオピアなどに多くの患者がいる。
◆ハンセン病の病原体
ハンセン病の原因である、らい菌(Mycobacterium leprae)は、結核菌と同様に、抗酸菌の仲間で、1873年(明治6年)に、ノルウェーの医師ハンセンによって発見された(図1)。
らい菌は、31℃前後が増殖の至適温度のため皮膚を好んで侵す。また末梢神経(シュワン細胞)に親和性があり、主に表在の末梢神経に障害を起こす。しかし、心臓や肺、肝臓などの内臓が侵されることは、極めて稀であり、ハンセン病が原因で、死に至ることはほとんどない。
らい菌のゲノムサイズは、3.3Mbである。蛋白質をコードする遺伝子は1,604である一方、1,116の偽遺伝子が存在し、このことが、らい菌が、試験管内において培養不能であることの原因ではないかと推測されている。
菌に毒力はなく、発病に繋がる感染源は、菌を多くもっている未治療患者からのヒト対ヒトの飛沫感染といわれている。感染成立に重要なのは乳幼児期で、そ の時期の濃厚で頻回な感染を受けた者以外ではほとんど発病につながらない。
感染から発病までには、その人の免疫能、栄養状態、衛生状態、経済状態、菌量、 環境要因など種々の要因が関与するため、長期間(数年〜数10年)を要し、万一感染しても、発病せずに一生を終えることがほとんどであり、遺伝病ではない。
◆臨床症状
痒みや痛みなどの、自覚症状のない治りにくい皮疹で、白斑、紅斑、環状紅斑(図2)、結節など多彩である。皮疹にほぼ一致して、知覚の鈍麻や麻痺を認める。これは末梢神経が、らい菌によって障害されたためである。さらに、毛根や汗腺も障害されて、脱毛や発汗低下も起こる。
ハンセン病は、他の疾患と異なり、らい菌に対する宿主(ヒト)の反応によって、多様な病変(皮疹、神経症状など)を示す。多様性は、ハンセン病の大きな特徴で、その両極では、全く異なる疾患と見紛う程である。
体内のらい菌の数、皮疹の数や性状、神経障害の程度(知覚障害、神経肥厚、運動麻痺など)、病理組織所見などから、ハンセン病は、4つの病型に分類される。
この分類は、基本的には患者のらい菌特異的な免疫応答の幅である。すなわち、発症初期のI群、その後らい菌に対し免疫能が高いTT型、全く反応しないLL 型、それらの中間のB群(BT型、BB型、BL型)に分類される(Ridley-Jopling分類)。
またTT型、I群、BT型の一部は検査でらい菌を 検出しにくいので少菌型(paucibacillary:PB)、LL型、BL型、BB型、一部のBT型は検査でらい菌を検出できるので多菌型 (multibacillary:MB)とも分類される(WHO分類)。このPBとMBの分類は治療法の選択にも使用される。
治療中、あるいは治療前後、らい菌の菌体成分に対する免疫反応が生じ、急速な末梢神経の障害(疼痛、運動障害など)や皮疹の再燃、新生、発熱等が起こる ことがある(らい反応)。らい反応の症状で初診することもある。らい反応では重い神経症状をおこし、後遺症を残すことがあるので早期の対処が必要である。
日本では知覚症状を伴う皮疹、神経障害(知覚、運動、肥厚)、らい菌(スメア検査、PCR検査、病理組織検査)、病理組織の4項目を総合して診断する。
◆病原診断
1) らい菌検出の検査:らい菌は、現在まで培養に成功していないため、皮膚スメア検査と、病理組織検査、PCR検査の3つの検査で検出に努める。可能ならば3検査を全て行う。
2) 知覚検査:触覚、痛覚、温冷覚を検査する。閉眼させ、正常部と比較させる。さらに皮疹のない部分も検査する必要がある。神経内科では神経伝導速度の検査も行う。
3) 他の神経学的検査:神経の肥厚(大耳介神経、尺骨神経、橈骨神経、総腓骨神経等)、運動障害(手足の屈曲、物を掴む・挟む運動など)、などを検査する。
4) 病理組織検査:皮疹部の皮膚、肥厚した神経などをメス等で採取する。通常のHE染色の他、抗酸菌染色(らい菌を観察)、S100染色(神経を観察)などを行う。
5) 血清抗PGL-I抗体検査:抗PGL-I抗体は感染指標の補助的検査として用いられる。
◆治療
治療の基本は、不可逆的な後遺症となる神経症状(神経炎、らい反応、後遺症などでおこる)を起こさず、らい菌を生体から排除することである。
治療は世界保健機関(WHO)の推奨する複数の抗菌薬[リファンピシン(RFP)、サルファ剤(DDS)、クロファジミン(CLF)]をPBでは半年、MBでは数年間内服する(多剤併用療法, MDT)(図3)ことで治癒する。
ハンセン病による神経炎の治療は、抗菌薬療法を継続しながら、炎症を抑制するために、ステロイド内服薬を適宜投与する。さらに日常生活での患者教育も重要 である。特に、温痛覚麻痺のある部位に対する外傷や火傷の予防とこれらの傷害の早期発見に努める。手足の隅々まで外傷がないかどうかを、毎日点検する習慣 をつける指導を行う。
(国立感染症研究所ハンセン病研究センター 石井則久)
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