02. 地には平和を 2011年6月01日 21:51:47: inzCOfyMQ6IpM
: Seni0xKm2s
BRIAN ENOさん 不親切で済みませんでした。下記です。 http://enjoy.pial.jp/~chipmunk/STEVEHILLAGE.html Steve Hillage イギリスのギタリスト「Steve Hillage」。デイヴ・スチュアートらと結成した URIEL(ARZACHEL)を皮切りに KHAN、GONG と渡り歩いたギター・プレイヤー。デヴィッド・アレン脱退後の GONG を支え、脱退後はソロ・キャリアを歩む。 80 年代のプロデューサー時代を経て、近年は SYSTEM 7 としてテクノ・シーンで活躍する。 Space Shanty Steve Hillage guitar, vocals Eric Peachey drums Nick Greenwood bass, vocals guest: Dave Stewart keyboards, marimba 72 年発表のアルバム「Space Shanty」。 THE CRAZY WORLD OF ARTHUR BROWN のリズム・セクションと結成した「KHAN」名義による作品。盟友デイヴ・スチュアートをゲストに迎えている。スペイシーなイマジネーションに満ちた、ロマンティックでカッコいいロックが一杯に詰まったアルバムだ。鋭く的確なフレージングを見せるスチュアートのオルガンと、ブルージーながらもスタイリッシュなヒレッジのギターが、ほんのりジャズ・テイストを漂わせ、ユニゾンにハモりにとスリリングに走り続ける。メイン・ヴォーカル・パートこそハードロック調ながらも、インストゥルメンタル・パートでは変拍子を駆使したテクニカルな演奏を熱気たっぷりに繰り広げる。ハモンド・オルガンの暖かい響きやヴァイブ、ピアノの輝くような音色、シャープに走るかと思えばふんわり宙に浮くような変幻自在の曲調、全てがとけあって、一つのストーリーにまとめ上げられている。切ない情感を込めつつもきらきらした若さを感じさせる、ヒレッジ、グリーンウッドのヴォーカルもいい。技巧的なのだが、尖った感じよりも、まろやかでドリーミーな味わいが勝っている。そして、いわゆるカンタベリー系よりも、クロスオーヴァー色は少なく、ブルージーなアートロックの片鱗をたっぷりと残している。この点がユニークであり魅力である。わたし、この人のキュートな手癖ペンタトニック・ギターが大好きなのです。本作のサウンドを支えるヒレッジのジャジーで緩やかで何でもありなスペース感覚は、そのまま現在の SYSTEM 7 につながっているに違いない。 2000 年 12 月再発売予定。カンタベリーの名盤の一つ。 「Space Shanty(Including The Cobalt Sequence And March Of The Sine Squadrons)」(9:01)ブルーズ・ロックっぽいメイン・ヴォーカル・パートから、ヒレッジのギター、スチュアートのオルガンのなごやかなデュオを経て、オルガン・ソロ(ここの変拍子の展開とコミカルなアンサンブルは、デイヴ・スチュアートらしさがよく出ている)、ブルージーなギター・ソロと続いてゆく。メロディアスでドリーミーなテーマを、変拍子で変奏してアクセントをつけたり、16 分の 13 拍子のベースのパターンをブリッジにしたり、細かなアイデアが散りばめられている。ギターは、得意のディレイを用いたサイケなプレイ。オルガンは、レスリーを通したハモンド・オルガンと、スチュアート得意のファズを用いた音を使い分けているようだ。デュオへ戻る直前、6 分付近のオルガンもおもしろい。終盤ではギターのアルペジオとヴォーカルがセンチメンタルな表情を見せるも、オルガンが一気にジャジーに盛り上げる。ドラムもとてもていねいだ。勢いまかせのハードさと、若さとオタク風の音楽センスがいっしょくたになった、抜群にカッコいい曲です。 「Strabded/Effervescent Psychonovelty No.5」(6:35)序奏はアコースティック・ギターのストロークにトーンを高音に絞ったオルガンかシンセサイザーの夢見るような調べが重なる。メイン・パート(何気なく 7 拍子)では、暖かいオルガンとアコースティック・ギターの響きと甘ったるいヴォーカルに身をゆだね、思わずゆったりリラックス。ピアノやベースのオブリガートのセンスも抜群だ。オルガン・ソロは、一転ハードな調子でスピーディに決める。ギター・ソロは、フロント・ピックアップによるマイルドなトーン。左右のチャネルにふられて、一人二重奏である。そして、細やかなパッセージを刻むアコースティック・ギターも、なかなかの腕前だ。同じフレーズをピアノがきらめく星のように引き継いで、再びヴォーカルを呼び覚ます。メロディアスなヴォーカルを中心にしたジャジーでスウィートなバラード。メイン・パートの暖かみは、ほとんど CARPENTERS である。エレピを中心にエフェクトとリバーヴでゆらめくエピローグは、完全に HATFIELDS の先取りである。 「Mixed Up Man Of The Mountains」(7:15)間髪入れずに湧き上がる切羽詰ったようなアルペジオ、そしてぼんやりと響きわたるオルガン。ソウルフルな詠唱からハードなギターとともに R&B 調でリズミカルに走り出すのだが、どこか、ゆったり感がある。もう少しリズムが重いと本格的なハードロックにもなりそうなのだが。一転して、エフェクトで揺らぐひそやかなモノローグ風のヴォーカルへと落ち込むも、一気に、8 分の 7 拍子のジャジーでキレのいい演奏が走り出す。ギターとオルガンがシャープなユニゾンとインタープレイを見せる。ヒレッジは珍しくジャズロック調のプレイを放つ。ベースも少しエフェクトで音をふくらませ、ジャズっぽい。一瞬ジャズ・コンボ風の演奏に変身するも、ギターがジャズ調を突き破るようにアドリヴで炸裂する。ベースとビート風のスキャットが追い詰めるのだが、やがて安定した演奏へと帰ってゆく。ここのギター・ソロは、ヒレッジらしいブルージーなのにファンタジックな、すてきなプレイだ。やや古めかしいビート、サイケ調を盛り込みながらも、テーマの品のよさとほのかなメランコリー、ジャジーなインストゥルメンタルなど、ブリティッシュ・ロックらしく多方面に広がりを見せる作品である。まとまりのなさが決して悪くないからおもしろい。 「Driving To Amsterdam」(9:23) 8 分の 6+5 拍子のサスペンスフルなコール・レスポンス風のテーマがカッコいいオープニング。ジャズ・ギターとオルガンのハーモニーを軸に、ブルージーに走るギター・ソロと、ファンタジックに広がるキーボードを配した名作だ。ドリーミーなヴォーカル・パートとスリリングなインストゥルメンタルを組み合わせた、緩急変幻自在の曲展開の魔法に酔いしれる。ヒレッジは、ブルーズ・ギターのみならず、ナチュラル・トーンによるジャズ・ギターも披露する。もちろん、スチュアート・トーンのオルガンも縦横無尽の活躍。ばらばらとさまざまなプレイを散りばめているのに、しなやかで洒落たグルーヴがあり、子供のように純粋な夢見る気持ちもよく現れている。何もかも捨てて君とアムステルダムへドライヴさ。なんかちょっと泣けちゃうねえ。アルバムを代表する作品。 「Stargazers」(5:33)オルガン、マリンバによる変拍子リフ(16 分の 11 拍子)にギターが絡みつく、ポリリズミックなイントロダクション。プログレ全開である。せわしない変拍子のまま、甘ったるいヴォーカルが入る。このアンバランスもおもしろい。間奏のギター・ソロは、ジャジーな伴奏にもかかわらず、かなりサイケデリック。再び、挑戦的なオルガンの変拍子リフをボトムに、ギターとオルガンが疾走するスリリングな演奏からメイン・パートへ。今度の間奏は、メロディアスなオルガン・ソロ。最後の 16 分の 10 拍子での演奏は、鋭さがありカッコいい。 EGG 的な変拍子ポップ・ソング。 「Hollow Stone/Escape Of The Space Pirates」(8:17)7th の響きが切ないジャジーなバラード風のナンバー。おだやかなオルガンの伴奏で、ヒレッジが朗々と歌い上げる。全ての輪郭がにじんでしまったような夢の世界の歌のようだ。陰鬱なアルペジオやドラマチックなドラミングのおかげで、シンフォニックな広がりと高揚感・希望がある。そして、ヴィブラートのないオルガンのロングトーンが不思議と胸に迫る。終盤は、ヘヴィなトゥッティをきっかけに、ヒレッジのギターが堰を切ったように全方位へと思いのたけを放射する。なんとなく KING CRIMSON のファーストに通じる世界のような気もするのだが。 (P25L 25059) |