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2011.2.26 03:14 産経
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110226/biz11022603150002-n1.htm
世界のインフラ市場の競争が、この10年で激変した。欧米だけが競争相手の時代は終わり、韓国、中国など新興国が強力なライバルに躍り出ている。大型発電設備などのプラント輸出の先行指標となるプラント成約統計では、2006年に日韓が逆転し、その差は拡大する一方だ。
日本が誇る高速鉄道も、韓国に続いて中国が急速に整備しつつあり、20年までに総延長1万6千キロメートル以上を計画している。中国は08年開業の北京−天津路線に続き、武漢−広州、上海−南京、上海−杭州の各路線で時速300キロメートルの高速鉄道を開業した。しかも、開業後3年足らずで海外市場に打って出ている。一方、日本の新幹線は長年にわたる安全運行の実績を誇るものの、これまで海外市場へ大きく踏み出す決断をしてこなかった。
私も何度か北京−天津路線を利用した。これまで自動車で2時間半以上を要したが、高速鉄道なら30分で結ぶ。CRH2型と呼ばれる車両は、東北新幹線「はやて」などのE2系1000番台がモデル。漢字で「和諧号」と大きく書かれているが、見た目も「はやて」によく似ている。違いはというと、グリーン車にあたる1等車と普通車の料金に大きな差がないこともあって、1等車の方が混んでいたこと。そして、周囲に一切気を使わずに大声で携帯電話を使う乗客が多いことだった。
しかし、明らかに日本の技術を用いた高速鉄道を、国産技術だとして第三国にも輸出しようとする中国の行動は、日本人の常識やビジネス感覚を逸脱している。ブラックボックスを設定せずに中国に技術を売り渡すことは、中国での再受注の機会を放棄するだけでなく、米国市場などで競争相手となる中国を利することになるのだ。世界市場全体を俯瞰(ふかん)した戦略が必要とされる。
オバマ政権が打ち出した米国の高速鉄道計画は、総延長1万3700キロメートルの巨大市場だ。今春には、第1号路線の第1期区間、フロリダ州タンパ−オーランド間の入札が始まるはずだった。これにフランス、ドイツなど欧州勢、韓国、中国、日本のJR東海チームの計8グループが名乗りを上げる準備を進めていた。
第1期区間では十分な採算の確保は難しいが、マイアミまで延伸する第2期区間を見据えれば、十分可能性があった。ところが、1月就任した共和党のリック・スコット知事は州の予算負担を懸念。今月16日、連邦資金の配分の拒否を発表した。
日本チームには設計、運行、保守管理のトータルのシステムに加えて、駅ビル開発や電子マネーによる料金チャージなど、競合国がまねできない新たなビジネスモデルを提示する能力がある。日本の新幹線が米大陸を走ることになれば、内向きで閉塞(へいそく)感の漂う日本人に勇気を与える。テキサス州、カリフォルニア州の路線や、超電導磁気浮上式リニアモーターカーをワシントン−ボルティモア間に出す計画もある。
「日本の新幹線技術の優秀さと安全への信頼度は文句なしだ。アメリカ人のライフスタイルを変えてやるというような意気込みを、日本が見せてくれることを願っている」
知日派として知られるトーケル・パターソン国家安全保障会議(NSC)元アジア上級部長の言葉が印象に残っている。(まえだ ただし)
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