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2010年12月28日火曜日
「やや日刊カルト新聞」
http://dailycult.blogspot.com/2010/12/blog-post_28.html
福岡県古賀市の市長選挙(11月28日・投開票)で現職市長を破って当選した竹下司津男市長に、経歴詐称疑惑が浮上。対抗候補者の支持者らから刑事告発されています。本紙の取材から、この新市長が実はカルト教団「摂理」の元幹部であることがわかりました。
■“経歴不明”ナゾの新人市長
竹下氏は、11月28日の市長選挙で、現職の中村隆象氏を937票差という僅差で破って初当選。すでに市長に就任して12月24日に初登庁しています。
竹下氏は選挙時、貿易会社「株式会社国際文化企画」の代表を自称していましたが、実はこれがすでに解散した会社であり、告示直前に同名の会社名で再登記していた事実が発覚。選挙後、敗れた中村氏の支援者らから、経歴の詐称だとして公職選挙法違反の疑いで刑事告発されています。竹下氏自身は、地元メディアに対して「会社登記の閉鎖を認識していなかったので公職選挙法(虚偽事項の公表)には抵触しない」などと語っています。
この問題は新聞やテレビも報じています。こうして竹下氏の経歴に注目が集まると、実は彼が1995年に富士ゼロックスを退社して以降の足跡が謎につつまれていることがわかってきました。
竹下氏の陣営が配布していたリーフレット等によると、竹下氏は1968年生まれ。当時の福岡県古賀町で育ち、1988年に早稲田大学に入学93年に同社会科学部を卒業して、富士ゼロックスに入社。わずか2年で退社し、2004年に問題の「株式会社国際文化企画」の代表に就任しています。しかし同社は 2007年に清算され解散していました。
■実は“摂理”の関東トップだった
そんな竹下氏について本紙は、「実は彼は、宗教団体“摂理”で関東トップの地位にあった人物だ」との証言を得ました。
「竹下氏が摂理にいた正確な期間はわかりませんが、少なくとも2003年か2004年頃まではいた。老会長になったのは、おそらく98年頃。摂理の組織は、関東・関西から成っていて、関東には約20教会あり、信者は計約1000人。これをとりまとめるトップが、関東老会長です。教祖にちょくちょく会うこともできる立場で、毎日のように教祖からFAXで送られてくる“御言葉(みことば)”を信者たちに伝える役目も担っていました」(元信者)
摂理(旧名・MS=モーニング・スター)とは、現在、韓国で服役中の鄭明析(チョン・ミョンソク)を教祖とするキリスト教系カルト集団で、鄭はかつて統一協会(統一教会)で活動していたこともあると言われています(統一協会はこれを否定しています)。
鄭は、1999年に女性信者への性的暴行の容疑で韓国で指名手配され国外へ逃亡。2001年にはICPO(国際刑事警察機構)加盟国で国際手配されました。日本では2006年に朝日新聞が、日本の女子大生も鄭による性的被害にあっていることを報道。これを皮切りに、テレビや週刊誌などでも報じられ「セックス教団」として有名になりました。2007年に鄭は中国・北京で身柄を拘束され、韓国に送還後、2009年に懲役10年の刑が確定。現在、服役中です。
■多くの学生を騙して出世?
摂理は教祖の性犯罪とは別に、大学においてスポーツサークルを偽装し正体を隠して学生を勧誘することで、現在も全国の大学で問題視されています。
「竹下氏が摂理に入信したのも、おそらく学生時代にこうした偽装サークルでの勧誘に引っ掛かったのがきっかけではないか」(元信者)
古賀市の有権者からも、これを裏付けるような話が漏れてきます。
「選挙前に、摂理の件が竹下氏陣営でも問題になり、支援者から竹下氏が問い詰められたと聞いている。そのとき竹下氏は、『学生時代に摂理と知らずにボランティア活動に関わったことがある』と語ったそうだ」(地元有権者)
しかし実際には、大学卒業後も摂理に関わり、関東のトップまで務めています。この話が事実だとすれば、竹下氏は自分の支援者にも経歴を偽っていたことになります。
竹下氏の人柄について、元信者はこう語ります。
「ほかの幹部からは“信仰熱心でめちゃめちゃ純粋な人だ”と聞かされました。摂理の中で出世するポイントは、勧誘人数が多いこと。短期間で老会長まで上り詰めた竹下氏は、裏を返せば、それだけ多くの学生を偽装サークルで騙して入信させた実績があったということだと思う。もともとビジネスや政治で成功したいと言う野望を持っていたようで、摂理内部での人望は厚かった」(元信者)
摂理では教祖の眼鏡にかなって重用されるのは女性ばかりだったと言われています。その中で男性である竹下氏が出世を果たせたのは、それだけ能力を買われていたのかもしれません。
■摂理の合同結婚式で結婚
竹下氏は、摂理の合同結婚式で結婚もしています。
「結婚相手のK子氏も、摂理の教会のトップである“リーダー”あるいは“牧師”と呼ばれる地位にあった人物。摂理ではコアなメンバーは共同生活をして、そこから学校や仕事に通います。ただし結婚すると、夫婦で別の場所に住むようになる。竹下氏とK子氏も、おそらく同様でしょう。ただ、いまK子氏がどうしているのかはわかりません」(元信者)
竹下氏は、2009年に約2カ月間、福岡県内で健康器具販売や白アリ駆除・リフォームなどの訪問販売を手がける男性の下で、見習い兼運転手のようなことをしていました。男性は本紙の取材に対して、「竹下氏は当時、宗教的な話は全くしていなかった。ただ、奥さんと上手くいっていなくて、夫婦ゲンカですらメールでやるだけだと言っていた」と語っています。
市長選の立候補の際、竹下氏は家族構成を明かしてはいないようです。妻・K子氏が摂理を脱会したのかどうかも、現在も妻であるのかどうかも不明です。
■脱会時期も不明
複数の元信者の証言を総合すると、竹下氏は、どうやら2002〜2003年頃には摂理での活動をしなくなっていたようで、この頃には脱会していたと思われます。
「ただ、摂理の脱会者は、摂理に対する捉え方が人によってまちまち。幹部でも、いつの間にかみんなの前に出てこなくなって、こっそり脱会してしまうパターンが多いのですが、必ずしも摂理を否定して辞めていく人ばかりではないんです。教祖を信じているけれど、戒律が厳しい摂理での生活より自分の生活を優先したい、という理由で脱会する人もいる。竹下氏は在籍中、教祖に宛てた手紙で『人生の師匠として、一生ついて行きます』と書いていたこともある。すでに脱会したというだけでは、竹下氏がいま摂理のことをどう評価しているのかは分らない」(元信者)
また、問題となっている国際文化企画の設立は2005年ですが、役員には中国人らしき人々の名が並んでいます。選挙の際、竹下氏側は同社で中国との貿易をしていたとしているようです。同社設立の頃は、摂理の教祖・鄭が中国に潜伏していた時期。摂理に詳しい人々の間では、同社が教祖を支援するための会社だったのではないか、あるいは摂理に献金するために始めたビジネスなのではないか、といぶかる声もあります。仮にそうだとすると、竹下氏は2005年以降も摂理に関わっていたことになります。
摂理には入会届・脱会届けといったはっきりした手続きもなく、脱会したかどうかを客観的に証明するものが存在しないといいます。本当にもう摂理と無関係なのかどうかについては、竹下氏自身の口から語ってもらうしかありません。
■当の竹下氏はだんまり
摂理被害者の相談にあたってきた渡辺博弁護士は、市長選前の10月末、竹下氏に対して「公職に就くことを目指している以上、当然、摂理での活動の経歴、現時点での摂理との関係、貴殿が認識する摂理の問題点について、社会に対し、きちんとした説明をすべき」として、質問状を送付しました。摂理での活動期間、脱会したのどうか、摂理が偽装サークルで大学生を勧誘していることについてどう認識しているのか、などを尋ねる内容でした。
「しかし全く返答はありませんでした。当選して市長になってもなお、摂理との関係を明らかにしようとしないのは、とても残念。もし竹下氏がすでに脱会したのであれば、公職に就いて活躍することをむしろ応援したいのだが」(渡辺弁護士)
本紙・藤倉は古賀市役所を通じて竹下氏に取材を申し入れましたが、多忙を理由に1月半ばまでは対応できないとの返答でした。
現時点では、摂理に在籍していた過去について竹下氏自身は全く言及していません。そのため、本当に脱会したのかどうかについても、竹下氏は何も説明していません。もし辞めたのであれば、辞めたとハッキリ言えばいいと思います。ましてや摂理は、教祖の性犯罪だけではなく、大学生を偽装サークルで騙して勧誘するといった問題もある反社会的な宗教団体です。市長に就任した以上、反社会的団体と関係はしっかり説明すべきでしょう。
■脱会者は複雑な心境
竹下氏が摂理の元幹部であったことは、対立候補だった中村氏の陣営もマスコミも、把握しています。
「地元でも、竹下氏が摂理の幹部だったことは噂になっている。ただ、宗教がらみのことは言いづらくて、喉元まで出ているけどはっきりとは言えない、という感じ」(中村氏の支援者)
摂理の脱会者たちも、竹下氏当選のニュースで、自分のむかしの仲間が市長になったことを知りました。しかし、みな口は重いようです。
「摂理は、2006年の騒動の時にマスコミからセックス教団と言われ、まるで性的な内容の教義によって一般信者までセックス三昧だったかのような印象で世間から扱われた。私も当時マスコミの取材を受けた際に、私自身がほかの信者とセックスをしていたかどうかということをやたらと聞かれた。でも実際は、教祖が女性信者を食い物にしていただけで、一般信者は男女交際も戒律で戒められていた。そういう実状をきちんと報じてもらえなかったという思いもあって、脱会者の多くは、もうマスコミの取材なんか受けたくないんですよ」(元信者)
マスコミが信用されていないから、こうした重要な情報が表に出にくくなっているというわけです。
■「一度失敗したら、やり直しはきかないの?」
別の元信者は、元摂理という経歴が竹下氏への攻撃材料になることに危惧を感じているといいます。
「竹下氏には、渡辺弁護士のところに行って情報提供するなど、最低限の努力はしてほしかった。彼が市長選で経歴詐称したことが事実であるならば、首長になる者としての資格はないと思います。でも経歴詐称は摂理とは直接的には関係ありません。彼が誠実であれ不誠実であれ、摂理を出た以上、摂理とからめる必要があるのでしょうか? 過去に所属していたということによって批判されるのだとすれば、同じ脱会者として複雑な思いです。一度失敗したら、やり直しはきかないのでしょうか? 元信者だという理由で批判するのではなく、彼の不誠実さなど実際の問題を批判してほしい」(元信者)
また竹下氏に対する批判は、摂理側が信者の脱会を思いとどまらせる材料に使われかねないとも指摘します。
「かつて中にいた者としては、内部で“脱会するとこうなってしまう”“神様のいる場所から離れたらこうなってしまう”という脅し的な物言いがなされるのは目に見えている。実際、ネット上で似た趣旨のことを書いている摂理関係者もいます」(元信者)
反社会的団体の幹部だった経歴を隠して市長に就任し、経歴が問われてもなお隠し続けるというのは、有権者や古賀市民に対する背信行為です。しかし「摂理」を理由に竹下氏を非難することは、摂理の被害をなくしたり脱会者の社会復帰を支援する上では、必ずしも好ましいこととは限らないのかもしれません。
竹下氏が批判を受けるのは当然のことですが、同時に、カルト問題や脱会者の境遇の複雑さについて考えさせられる一件です。
投稿者 藤倉善郎 時刻: 12:00:00
ラベル: 摂理, 選挙
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