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タイガーマスク
原作を超えたアニメ
原作 梶原一騎
作画 辻なおき
脚本 辻真先、三芳和也、安藤豊弘他
昭和44年10月2日〜昭和46年9月30日
日本テレビ系放送
孤児の生い立ち、地獄の特訓、悪役からの転身
虎の穴のレスラー達との死闘、その合間に孤児
達とのふれあいや戦争の悲劇、公害問題などの
様々なドラマがあった
<原作は梶原一騎のおなじみスポ根もの>
この前年、「巨人の星」のテレビ放送が始まり、少年マガジンに「あしたのジョー」の連載が開始され、梶原一騎の黄金時代と言えるが、原作とアニメとでは途中からかなりストーリーが変わっている。原作では最終回、NWA世界ヘビー級選手権会場に向かう途中、ダンプカーに轢かれそうになった少年を助けて自分は死んでしまう。瀕死の状態でありながら、タイガーマスクの正体を気づかれないようにとポケットから覆面を取り出して川に投げ捨てるという、何とも中途半端&やりきれない結末。
これに対し、アニメは「虎の穴」からの刺客を全て倒し、どこへともなく去っていくというラスト。ちょっと野暮ったい漫画のタイガーに比べ、スピード感あふれる描写とシンプルだが荒々しいタッチの絵で文句なくアニメの出来の方が上だった。大体においてアニメ化されると原作より低年齢向けとなってがっかり、というパターンが多いのだが、タイガーマスクの場合はアニメが原作を超えた希有の例。だから今回はアニメの話が中心。
<まずはやっぱり虎の穴>
「ちびっこハウス」という孤児院で育った伊達直人少年は上野動物園の虎の檻の前で「虎のように強くなるんだ!」と叫んで姿を消す。その後、アルプス山中にある悪役レスラーの養成所「虎の穴」にスカウトされる。その訓練は過酷極まり、最後まで生き残ることができるのはごくわずか。脱走しようものなら銃殺刑が待っている。10年後、伊達直人は死の特訓を最優秀の成績で生き残り、最高の称号である“タイガーマスク”を名乗ることを許され、全米マット界でデビューし“黄色い悪魔”と恐れられる。
帰国した伊達直人はちびっこハウスに“親戚の遺産がガッポリ入ったお金持ちのキザ兄ちゃん”として再び姿を現す。そしてハウスの借金を返すためにファイトマネーを注ぎ込んでしまい、虎の穴への送金ができなくなる。何しろファイトマネーの50パーセントを虎の穴本部に上納する義務があるのだからものすごいピンハネ。これを怠った者には必ず死の制裁が待っている。というわけでタイガーは虎の穴から次々送られてくる、ほとんどショッカーの改造人間みたいな(笑)、虎の穴の悪役レスラー相手に死闘を繰り広げる羽目に。
例えば体重360kgの獣人「ゴリラマン」、覆面が光って相手の目が眩む隙に鉄の牙で噛み付く「黄金仮面」、麻酔薬を仕込んだ鋼鉄の針を植えた毛皮を着込んだ「ザ・ドラキュラ」、睡眠薬を仕込んだ包帯を巻いた「エジプトミイラ」、怪力自慢の「ライオンマン」、 中でも秀逸?は頭の上に鉄球を乗せている「ミスター・ノー」。鉄球の上から全体をすっぽりゴム状の服で着込み目も鼻も口も無いノッぺラボー状態。その頭突きは効くし(当たり前)、油を体全体に塗っているので滑って掴めない。本当に卑怯な敵ばかりだった。(笑)
<主題歌>
オープニングではまず虎の穴の魔神像(虎に翼の生えているやつ)が出てくる。「虎だ 虎だ お前は虎になるのだ」の声に伊達直人が「タァーッ」と叫んで飛び上がり、タイガーマスクになる。これが凄くかっこ良かった。軽快なBGMを聞いて、血湧き肉踊る人も多いのでは?
それに対しエンディング曲「みなしごのバラード」はとっても暗い。(笑)少年時代の伊達直人?が木枯らしの中、新聞配達をしたり、靴磨きをしている。確かそんな感じだったと思う。ラストは伊達直人が独り、寂し気に歩き去ってゆく。でも当時の子供達は学校で皆で歌うくらいこの曲が大好きだったのだ。
<どんどん盛り上がった後半>
そんなレスラー達を全て倒され、業をにやして出てきたのが虎の穴の3首脳、「ブラックタイガー・ビッグタイガー・キングタイガー」。3人からの挑戦にビビリまくったタイガーだが、ブラックタイガー&ビッグタイガーを虎の穴の同期、大門大吾(ミスター不動)とのタッグマッチで撃破するも、大門は帰らぬ人に。
シングルマッチでキングタイガーを苦戦の末、破って話はこれで終りかと思いきや、今度は創始者である「タイガー・ザ・グレート」の登場。何たってブラックタイガーのスピード、ビッグタイガーのパワー、キングタイガーの反則技を併せ持つという虎の穴最後の切り札。
試合が始まり、ほとんど抵抗もできぬままタイガーはあっというまにボロボロに。とどめをさそうと、真っ二つになった机の破片でタイガーの顔面を執拗に狙う。ぎりぎりで躱しつつも、マスクはどんどん削りとられ、ついに顔面に突き刺る。と思った瞬間、タイガーはボロ切れと化したマスクから顔を抜いて助かる。素顔になって正体がばれ、そこからブチ切れて怒濤の反則技。タイガー・ザ・グレートを葬り去って話は終わる。
<根っからの反則魔>
といっては身もふたもないが、タイガーが反則技を出すのはこの時だけではない。虎の穴を抜けて反則技を封印し正統派レスラーとなったはずだが、「赤き死の仮面」戦でも反則技で相手をKOしている。覆面ワールドシリーズの時にもあったような・・・。「フェアープレーで切り抜け」て、「男の根性」見せてやるんじゃなかったのか?(爆)
にも関わらず納得できたのは「目には目を」、「反則には反則を」式の男の理論があったから。例えていえば「忍者部隊月光」の鉄砲のようなもので、どうも制作側にタイガーの反則技を「最後の武器」として肯定的に考えていたようなふしがある。それにしても本当に強かった、反則している時のタイガーは。(笑)
タイガーマスクは決して絶対的な「正義のヒーロー」ではなかった。どちらかと言えば臆病で、虎の穴への送金が出来なくなった時も何とか延期してもらえるようにミスターXに懇願しているし、強い相手が現れた時はいつもビビッていた。でもファイトマネーは孤児のために使い、遠征先でもいつも地域の孤児院を訪問する優しい男、そんな人間味あふれるタイガーが、傷つきながらも頑張って戦う姿勢に当時の子供達は共感を覚えていたのだと思う。たとえ最後は黄色い悪魔でも。実在のレスラー達も皆出ており、これを見てプロレスファンになった人も多いはず。後に実際にプロレス界にタイガーマスクも現れた。だが今思い出すとこのアニメは感動もたくさん与えてくれたが、教育上あまり好ましくない反則技の嵐だった気もする。(笑)
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