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郷原信郎:小沢氏代表選出馬問題と検察審査会議決及び憲法75条との関係
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投稿者 クマのプーさん 日時 2010 年 8 月 31 日 21:57:20: twUjz/PjYItws
http://www.comp-c.co.jp/pdf/100826reku.pdf
2010.8.26
第97回定例記者レク概要
名城大学コンプライアンス研究センター 郷原信郎
昨日の夜から政治の情勢がかなり緊迫してきているようで、今朝、小沢氏が民主党代表選挙に出ることを表明されたようなので、それに関連していろいろ先日来、問題視されている検察審査会の議決との関係と、それからその先の問題としての、憲法75条で国務大臣について訴追が制限されているという問題をちょっと整理をしておく必要があるのではないかということで、今日は急きょ、それらのテーマについてお話をすることにしました。
予め、いつも言っていることを最初にお断りしておかないといけないわけですが、私、政治的には中立でして、小沢さんが代表選に出ようが出まいが、私は正直言ってどちらでもいいと思っています。菅さんもけっして支持したいとは思いません。財務省べったりのような今の菅内閣も私は決して支持できませんが、小沢氏についても、これまでいろんな面で批判もしてきましたし、私は別に誰を支持するということではありません。主として法的な観点から、刑事手続と政治に関連する事件の捜査とか起訴という問題と、政治家のとるべき態度、政治活動というような観点からの中立的なコメントだということを予めお断りしておきたいと思います。
まず、少なくとも東京第5審査会で小沢氏の政治資金規正法違反事件について再度の審査を行っており、今後議決が出ることは確実です。その検審議決の問題と、今回小沢氏が民主党の代表選挙に出馬すること、そして、その結果勝てば総理大臣になるということとの関係について、私は先週の土曜日の午前中に私の考え方を連続ツイートで流しました。このツイッターにはいろいろ反響があったんですが、一言で言うと、私はこの2つを、検審議決問題と小沢氏の代表選への出馬問題とを関連づけて考えるべきではないと思っています。
まず第1に、この第5検審の審査が今どういう状況になっているかというと、今年の2月に検察が小沢氏を不起訴にしましたが、それに対して、検察審査会への申し立てが行なわれて、第5検察審査会が4月27日でしたか、起訴相当という議決を出したわけです。この議決の内容には疑問があること、そして、何が起訴相当とされた被疑事実が、不動産取得と代金支払の時期が2ヶ月ずれているという期ズレの問題だけだということがほとんど報道されず「起訴相当」という結論だけが独り歩きしえいることに重大な問題があることは、この記者レクの場でも再三お話してきたところです。
この議決を受けて検察の方で再捜査が行われ、5月末でしたか、再び不起訴という結論を出しています。この不起訴処分の対象は期ズレだけです。昨年の5月の検察審査会法の改正で、検察審査会が起訴相当の議決をしたときには検察が再度に不起訴をした場合でも、もう1回、検察審査会で審査をすることになっていて、その結果、もう1回、起訴相当の
議決が出たら強制起訴、裁判所が指定する弁護士による起訴手続がとられることになっています。
この小沢氏の政治資金規正法違反について、その強制起訴の可能性があるじゃないか、もし、起訴相当がもう1回出たら、強制起訴になって、小沢氏は起訴されるんだから、そういう可能性がある人間を代表選に立候補させてもいいのか。あるいは立候補した場合に当選させていいのかと、総理大臣にしてもいいのかということが言われているわけです。社説でそういうことを書いている新聞もかなりあります。
しかし、よく考えてみてもらいたいんですが、少なくともこの刑事事件、小沢氏を被疑者とする刑事事件については、検察がいったん不起訴処分を行ない、そしてそれに対して検察審査会が議決書でも書いていたように、市民的な常識からすると納得がいかないということで起訴相当という議決をしたわけですが、それを受けて、一般市民で構成される検察審査会の審査員の議決で出された意見を踏まえて検察が再度捜査をして、その結果、再度不起訴処分が行なわれているわけです。公訴権を行使する役割を担っている検察という国家機関が不起訴という結論を2度にわたって出しているわけです。今後、もし検察審査会が起訴相当議決を出したとしたら、それはどういうことか。検察審査会の議決というのは有罪の認定でも何でもありません。検察の不起訴処分に対して市民として納得できない、検察限りで終わらせるべきではない、最終的な判断は公判、公開の法廷で審理を行なった上で、裁判所が行うべきだという判断です。検察審査会でそういう判断が出される可能性が残っているというだけなのです。
仮にそういう判断が出されたとしても、検察審査会が再度起訴相当の議決をしたとしても、それは検察が起訴したというのとはまったく意味合いがちがいます。検察の場合は、私もその検察の実務をやっていたから、それは経験上わかりますけども、これは相当、有罪の見通し、しかも実務上は相当程度の確証がなければ起訴しません。ですから、検察の起訴というのは、本来的には刑事被告人、被疑者も被告人も無罪の推定が働いているわけですが、検察が起訴をすると99.9%以上有罪になっているというのが現実なので、だから世の中ではそれをなんとなく有罪の可能性が高まったと扱うし、政治的にも起訴された議員は辞職しろとか、離党しろとかいう動きになることが今まであったわけです。
しかし、性格上、検察審査会の議決というのは意味合いがちがいます。検察の起訴のような有罪の見通しというのとはちがって、検察の捜査、検察の不起訴という処分に市民として納得できないという、そういう判断なんです。そういう起訴相当の議決が出されたからと言って、手続を慎重にしなさい、結論を裁判所の判断まで先送りしなさいということが言われただけであって、有罪に近づいたという要素は希薄なのです。
ですから、少なくとも公訴権を行使する立場の国家機関たる検察が二度にわたって不起訴にしている事案というのは、検審の起訴相当の議決が出ても一般の刑事事件よりも基本的には有罪の認定が行なわれる可能性が低いと考えるのが当然だろうと思います。
ところが、一般的に誰だって犯罪を行う可能性はゼロではありません。だからと言って
起訴される可能性があるのにそういう人を総理大臣していいのか、という話にはならないと思います。そういう理由でに代表選に出るのがおかしいとか、代表になるのがおかしい、総理大臣になるのがおかしいということは言わないと思います。検察審査会の審理が続いているという事実、その結果、起訴相当の議決が出る可能性があるということは、一般的に言って、起訴をされて有罪認定が行なわれるという可能性に関しては、そういう一般の人が何らかの犯罪で起訴されて有罪になる可能性と同程度ということだと思います。そういう意味で、私は今、検察審査会が再度の審査中であるということは、民主党の代表選において、誰を選ぶべきなのかということに関連づけて議論すべきではないと思います。
そういう意味で、そういう議決の可能性があって、強制起訴の可能性があることを、民主党の代表選に関連づけようという議論がしきりに行なわれていて、中には民主党の、与党の閣僚の中からもそんなことを公然と言う人がいるようですが、それは間違っていると思います。先ほどから言っているように、政府の中の訴追機関である検察が不起訴処分にしているわけです。少なくとも政府内の国家機関としてはそれが確定的な判断です、現時点では。その判断について検察審査会の素人の市民が納得できないと言うかもしれないということを、総理大臣になる資格があるかないかという議論の根拠にするというのはまったくおかしいと思います。もしそういう議論が成り立つんだとしたら、あらゆる事件について、政治家について告発をして不起訴になったら、検察審査会の申し立てをして、そこで一回、起訴相当の議決が出ただけで、その後検察が不起訴にしようにしようが何しようが、とにかく一回の起訴相当議決が出たというだけで、その被疑者たる政治家は総理大臣になる資格を失うということになるわけです。それは、11人の検察審査会の市民の人の判断が総理大臣に対する拒否権を持つということになるわけで、民主主義という観点から許しがたいことだと思います。
そして、もしそういうことになるんだとすると、その検察審査会の審査員は、議決の意味をどのように考えて審査をしたらいいのか、単なる刑事事件についての検察の処分の審査ということを超えて、大変な役割を負わされることになってしまうわけです。検察審査会なんていうことは、迂闊に出ていって、軽い気持ちでとても判断なんかできない。そんな思い判断を市民がさせられることになるわけですね。そのことがいかに不当かということ、これは改めて冷静に考えてみたらわかると思います。
その次の問題が憲法75条です。「国務大臣はその在任中、内閣総理大臣の同意がなければ訴追されない。ただし、これがため訴追の権利を害されない」という規定があります。この規定があることと、今回小沢氏が代表選に立候補し、そして総理大臣になる可能性が出て来たということ――代表選に立候補するということは、当然その可能性があるということなんですが、そのこととの関係をどう考えるかということです。まず、この規定はここに書いてある通り、大臣になったら、まず基本的には訴追できないことになります。内閣総理大臣の同意があるということが解除事由になって、初めて訴追できるわけですから、訴追の権利はその在任中は行使できないということになります。検察も行使できませんし、
検察審査会が二度の起訴相当議決をして強制起訴手続を行なうことについても同様です。ですから、この同意が得られないかぎり、もし検察審査会の起訴相当議決が出ても、その手続は停止されることになって、国務大臣の地位を退く段階までは公訴時効が停止することになります。大臣の地位を退いた段階で強制起訴の手続が行なわれると言うことになります。
この国務大臣に内閣総理大臣が含まれるかということについては学説上、両説あるのですが、この両説ある中の、「内閣総理大臣は国務大臣に含まれない」という考え方は、内閣総理大臣は自由に起訴できるというのではなくて、内閣総理大臣はそもそも同意不同意の問題ではなくて起訴はできない、という考え方です。通説、一般的な見解は、この国務大臣に内閣総理大臣も含まれるということで、内閣総理大臣が自分自身の訴追について同意した場合以外は訴追されないということになります。
この規定は、内閣の一体性を保ち、内閣としての行政権の実行に操作機関の方が不当な圧力とか影響力を及ぼすことがないようにということで、総理大臣に同意権、判断権を与えているということなんですが。その主旨からすると、もし凶悪重大な事件が捜査中で、その被疑者とされている、起訴が相当確実視されているようない人間が……そんなことは普通はあり得ないわけですけれども、政治的に大きな力を持って総理大臣になろうとしてる、ということになると、そういうやり方で訴追を逃れる、不当に犯罪処罰を逃れる手段になりはしないだろうかという懸念が生じてくるわけです。ですから、現に総理大臣の職にある者が訴追を受けないという権利を与えられているということを前提としてそういう人間を総理大臣にすべきか・すべきではないかということに関して、この75条の規定による訴追の制限があるということは当然考慮要因になると思います。問題は、訴追を受ける可能性がどの程度あるのか、そして、その犯罪事実の中身はどういうものであるのか、ということです。
ただ、小沢氏の場合、先ほどから言っていることが、ここでまた重要な要因になると思います。少なくともすでに国家機関たる検察当局が2回の不起訴処分を行なっているわけです。ということは、常識的に考えると処罰される可能性はきわめて低いということを前提に、この訴追の権利が一定期間停止されるというか、訴追されない状況に置かれるということの是非を考えるべきです。検察審査会の2回目の起訴相当議決が出て本来であれば強制起訴になる可能性があると言っても、それが総理大臣になることによって阻まれる可能性があるということを、私は基本的にはそう重要視すべき事柄ではないと思います。
今の状況から考えると、少なくとも検察が二度の不起訴処分をしている以上、蓋然性が高いとは到底言えないと思います。ですから、法的な観点、そういう客観的な観点から言うと、この憲法75条の規定が存在していること、それによって総理大臣に就任すれば、訴追されなくなること。だから、訴追逃れの目的での総理大臣就任はさせるべきではないということは、客観的見地からは、それほど大きな問題にはならないと思います。
しかし、一つ、ここで考えておかないといけないことは、法的、そして客観的な観点か
らはそうであっても、市民の代表である検察審査会がもう一回、起訴相当と議決をする可能性がそれ相当にあるということになると、有罪になる可能性は私はきわめて低いと思いますけれども、本来であれば訴追をされ、刑事被告人という立場に立つべき人がこの規定によって一定期間、その在任期間、起訴を免れて、総理大臣の職にあるということになることが社会的に見て、あるいは国民感情的に見て、それが適切と言えるのかどうかというのは、これは法的判断を離れた、国というもの、総理大臣の職務というもの、それに対して国民がどういう認識、どういう役割、どういう位置づけを与えるのかというようなことも関連してくるので、そこにはやはりいろんな議論があり得るかなという気がしています。ですから、そういったことも含めて、この75条の存在、そして今の検察審査会で再度の審査が行なわれていて、起訴相当の議決の可能性があるということと、小沢氏が総理大臣になろうとしていることとの関係については、やはり一定の影響があるということは言わざるを得ないのかなという気がします。そのことを小沢氏がどう考えるのか、民主党の、まさに誰を代表にするかを決める議員の方々、あるいは党員サポーターの方々がどう考えるのか、そして世の中がどう受け取るのかという問題だと思います。
そういう意味で、小沢さんがこれまで、この「政治とカネ」の問題に正面から立ち向かってないという問題は、私がかねてから言ってきたところです。私が小沢さんを批判しているのは全部それです。西松事件にしても、一点の曇りもないと言うんだったら、どんどん公判を進めて、早く判決を求めるぐらいのことをやればいいのに、選挙のことを考えたりして、先送りしているから、政治情勢はどんどん変わっていく。石川氏たちが逮捕されたときに、あれだけ「不当な逮捕だ」「検察と徹底して戦う」と言っておきながら、自分が不起訴になった途端、石川氏達は起訴されているのに、公正公平な検察捜査の結果と受け止めると。そういうようなことを言うから、結局、秘書に責任を押しつけているというふうに見られるわけで、結局、そういうことの延長に、国民感情的に訴追逃れは許せないというような話になってしまうのではないか。それは法律的な問題、客観的な問題じゃないわけです。自信があるんだったら、堂々と正面から受けて立てと言いたいですよね。
本当にごくわずかな、ゼロに近いような有罪の可能性の訴追が降りかかってきたって、私は堂々と受けますよと。何もひるむことはありません、逃げるつもりはありません、というような、もろにそれに立ち向かう姿勢をとれば、逆に小沢さんに対して、総理大臣になる資格がないという理由として、「政治とカネ」という曖昧な言葉や検審の議決だとか、訴追の可能性だとか、ということしか言えない人に対しては、最も効果的な反論ではないですか。
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コメント
01. 2010年8月31日 22:07:44: LvssWl3jrs
法で裁けない人間をまるで犯罪者扱いするマスコミ報道は、異常極まりない。
小沢問題というよりメディア問題と呼ぶべきだろう。
ここまで来ると本当にアメリカやイギリスなどの宗主国の力が働いていると言われても否定はできないな。
そのぐらいマスコミ報道は悪質だ。
02. 2010年8月31日 22:22:31: RGlw8ATU16
小沢先生は三顧の礼をもって郷原信郎氏を参謀に迎えるベキ。
03. 2010年8月31日 22:26:43: vhmCfjOF6E
その通りだと思います。
小沢氏には堂々と検察の横暴や検察審査会の不透明性やもっと言えば存在意義をも徹底的に暴露してマスコミがいかにいいかげんな報道をしてきたかも含めてあぶり出してほしいと思います。ご自分だけではなく石川議員の為にも。
04. 2010年9月01日 00:04:25: tio2F6hyOo
国民をヒステリックにしているマスゴミ。
本気で、政治と金などと言っているのはただのヒステリー。論理的な考察など出来やしない。
05. 2010年9月01日 00:49:10: 4DBlPzeUik
小沢氏は、政治とカネ」の問題は気に掛ける必要はないと思う。
「小沢氏が首相になれば、「政治とかね」を野党に追求され、国会は空転し解散になる、」と言う人がいるが、そんなことにはならない。
国会で「政治とカネ」を質問されたら、「私の『政治とかね』の問題とは、何のことですか?具体的にご説明いただけば、こちらも、ひとつひとつご説明いたします。」と、言えばよい。
小沢氏の「政治とかねの問題」とは「土地代金の支払いと登記が、2ヶ月ずれたことである」、と、いままで検察もマスコミも国民に隠していた、石川議員等の起訴理由を、野党が、しかも国会で、説明してくれる。
出馬記者会見で、「検察審査会の2度目の起訴相当の議決が出たら、どうしますか」と、きかれたら、「首相になっていても起訴を受けます。」と答えればば良い。
裁判で100パーセント無罪になるのだから、小沢氏が、そう言った瞬間に、検察審査会の問題は、敵の武器から、小沢氏の武器になる。裁判の過程で、検察やマスコミの不当性がすべて明らかになる。まさに行政改革のチャンスではないか。
起訴逃れのための代表選出馬ではないか、というマスコミの攻撃も、小沢氏がそういった時点で、おしまいになる。
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