http://homepage3.nifty.com/torabane/meikyoku24.htm
母さん今僕は思っています　僕に故郷（ふるさと）なんかなくなってしまったんじゃないかと
そしてひとつ残っている故郷があるとすればお母さんそれはあなた自身です
あなたは何から何まで故郷そのものです　今ここでこうして静かに目を閉じていると
お母さんあなたの声が聞こえてくるんです　おかあさんの声が聞こえてくるんです

＜歌＞
今も聞こえるあのおふくろの声
僕に人生を教えてくれた優しいおふくろ

＜語り＞
コラッ　鉄矢　
何ばしょうとかねこの子はテレッとして早うおまえ学校いってこんかおまえ
近所の人からいつもおまえ何て噂されようか知っとうとか
タバコ屋の武田方の息子はフォークソングぐるいのおまえバカ息子バカ息子って

武田たばこ店

噂されよっつお　ほんなこっそれにおまえいつもつまらん女にばっかり騙されておろうが
最近の女はネェあんたチチバンドの中にクラゲの頭のごとあんた男をたぶらかすばっかし
早く学校へ行ってこんかこのバカちんがクサッ

待て待て鉄矢
おまえまたタバコばっ黙って持っていきよるがほんなこつ腹のたつ
家の稼業がタバコ屋からってこの子は小学校４年の時からタバコの味覚えて中学校１年の

武田たばこ店

歯の検査の前ザクトライオンで一生懸命おまえ歯のウラオモテ磨くだろうが
　　まだわからんとか　かあちゃんがこのタバコ屋を経営するためにどげん苦労しょうか
血と汗（あしぇ）と涙で汚れた女の半生（はんしぇい）がまだわからんとかこんな事が

行ってこいあんた何処へでも行ってきなさい　かあちゃんあんたの事は息子がおらん事になっても
何も寂しゅなかよ　鉄矢ひとつだけ言うとくがなあ人様の世の中でたら
働け　働け　働け　鉄矢　
働いて働いて働きぬいて　休みたいとか遊びたいとか
そんな事おまえいっぺんでも思うてみろ
そん時は　そん時は死ね
それが人間ぞそれが男ぞ
おまえも故郷をすてて花の都へ出てゆくかぎりは誰にも負けたらつまらん
輝く日本の星となって帰ってこい
行ってこいあんた何処へでも行ってきなさい

＜歌＞
今も聞こえるあのおふくろの声
僕に人生を教えてくれた優しいおふくろ

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　海援隊の最初のヒット曲「母に捧げるバラード」は１９７３年の発売である。武田鉄矢が母イクさんのことを歌った曲で、この歌で海援隊は１９７４年の紅白歌合戦にも出場している。

　今回福岡に行くにあたり、第一の目的地はやはり照和だが、第二の目的地が武田鉄矢の生家である「武田たばこ店」である。事前の調査により、武田たばこ店は西日本鉄道天神大牟田線の雑餉隈駅にあることが判明した。

　２００６年７月１７日。太宰府の観光を終わってから雑餉隈駅に向かった。太宰府から雑餉隈までは１６分、天神にある西鉄福岡駅から雑餉隈駅までは１７分である。

雑餉隈駅

　武田たばこ店が雑餉隈駅周辺にあることは分かったのだが、詳細な場所までは分からなかった。とりあえず改札を抜けて人通りの多い方に歩いてみたところ、アーケードがあった。

銀店町商店街

　とりあえず銀天町商店街を歩いてみたが、残念ながら武田たばこ店は、この中には無かった。やむを得ず引き返す。
　
　次に雑餉隈駅から博多方面の踏切を探した。
　海援隊の「思えば遠くへ来たもんだ」はこんな歌詞で始まる。

踏切の側に咲く　コスモスの花ゆらして
貨物列車が走り過ぎる
そして夕陽に消えてゆく

　武田鉄矢少年は都会に出ることを夢見ていた。少年にとって、東京ははるか遠くであった。

武田たばこ店のそばの踏切 博多方面を望む

　駅の周りを歩いてみても、残念ながら武田たばこ店は見付からなかった。諦めて天神に戻ろうかと思ったところ、交番を発見した。勇気を出して交番に入ってみた。

虎羽　：　「すいません。武田たばこ店はどこでしょうか？」
警官　：　「ここを右に真っ直ぐ行って２００ｍくらいのところにある青い屋根の店です。」

　親切な警官の指示に従って歩く。この先に武田たばこ店がある。ノンスモーカーの僕は心に決めていたことがあった。

　「武田たばこ店で、生まれて初めてたばこを買う。」

　僕の胸は緊張で高鳴った。ノンスモーカーの僕にとって煙草は記念品である。レシートには武田たばこ店と印字されているに違いない。タバコとレシートは家宝にすると決めていた。

　もう２００ｍ以上歩いたのではないかと思い始めた頃、青い屋根の店が見えた。残念ながら、武田たばこ店は休業日であった。

武田たばこ店

　人生で唯一かもしれないタバコを買う機会を、僕は逃してしまった。このまま一生買わないに違いない。

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