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菅直人が消費税増税を急ぐ本当の理由 - 9兆円の税収減は一時的(世に倦む日日)
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投稿者 判官びいき 日時 2010 年 6 月 14 日 10:12:56: wiJQFJOyM8OJo
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民間企業で仕事をされた人なら、中期事業計画の立案作業に参加した経験をお持ちの場合が少なくないだろう。通常、この年中行事は6月に行われる。今後4年から5年先を見通した企業環境を予測し、市場や技術の動向がどのように変化するかを見定め、企業の各事業の方向性や規模を大きく見積もる。
今後のヒト・モノ・カネの投資配分を方向づけて数字を設定する。外資系の企業では、LRSP(Long Range Strategic Plan)と呼ぶ。6月の中期計画を受けて、8月から来年度予算の策定作業が始まる。具体的に来年度の売上予算、経費予算、人員計画が決められる。つまり、中計の数字は来年度予算に直結するわけで、その点できわめて重要な意味を持つ。
政府も8月に概算要求の作業があり、ここで来年度予算の大枠が決まるが、その概算要求に先行して、6月に中計的なプランを作っていて、「中期財政フレーム」と呼ばれている。この制度と方式は従来はなかった。政府の予算業務に民間的な中計のプロセスを本格的に導入したのは、小泉内閣で経済財政担当相に就任した竹中平蔵だった。「骨太の方針」である。
民主党に政権が交代し、あまりに竹中平蔵の悪印象が纏わりつき過ぎているということで、名前を「中期財政フレーム」に変えた。その発表が今月中に予定されている。現時点では情報の詳細は漏れてないが、今後2週間の政治日程を経て、相当にドラスチックな中身になるのではないかと、私は不安を抱きつつ予想している。
菅直人の6/11の所信表明演説を受けて、早速、週末の政治討論番組の中で、野党が揃って「財政健全化検討会議」に積極参加する意向を表明した。言うまでもなく、消費税増税の規模と時期を策定する超党派の会議であり、2週間あれば、「来年度から10%に引き上げ」で簡単に合意できるだろう。
共産党が反対でボイコット、社民党と国新党は参加して保留、残りの野党は全て賛成。つまり、参院選の公示を挟んだ2週間のうちに、来年度の消費税増税(5%→10%)については与野党合意が結ばれる。そして、参院選で民意を踏む形式が整えられるのである。参院選を経れば、国民が納得し支持したという既成事実になる。
中期財政フレームには、消費税増税を前提した財政計画が示され、おそらく、来年度に10%に上げた後、1年に1%ずつ上げるか、5年後に15%に再び上げる計画が組まれるだろう。菅直人は所信表明演説で、「財政健全化検討会議」の開催を即時に求めていて、当然、今週の国会対策で論議と折衝に持ち上がる。無論、国会内の会議室ではなく、どこか料亭の一室で詰まるのだろうが、6/14から6/18の間に「検討会議」の発足と始動が決まる。
同時に、民主党のマニフェストが決まる。6/25からカナダで開かれるサミットで、菅直人が財政再建と税制改革を国際公約する。マスコミが世論調査を打ち、消費税増税に賛成の世論を70%近くにする。最後に財務省が中期財政フレームを発表し、正式に来年度からの消費税増税(10%)を発表する。
菅直人が消費税増税を急いでいる理由について、もう一つ重要な事実を指摘しないといけない。それは、今年度の法人税収の回復である。菅直人と財務省が、今年に入って消費税増税論を喚き出し、鳩山辞任と同時に一気に政治決定すべく怒濤の勢いで押しているのは、実は重要な裏の理由がある。
菅直人や増税論者のキラートークは、借金が税収を上回る財政危機であり、前年度比9兆円の税収の落ち込みである。この事実を突きつけられて、われわれは消費税増税の脅迫に対してホールドアップの状況になっている。しかし、よく考えてみれば、この当初見込よりも9兆円も税収が落ち込んだ異常事態には原因がある。
それは、リーマン・ショック後の世界金融危機の直撃による経済のリセッションに他ならない。つまり、一時的な要因での打撃と疾病が治癒されれば、経済は回復し、税収は9兆円のプラスとなるのだ。9兆円の税収減は、一時的で突発的なものであり、現に企業業績はすでに好調に転じつつあり、09年度の税収は補正後の見通しを上回ると菅直人自身が6/1に発表している。
この情報をマスコミは大きく取り上げず、9兆円の税収マイナスの水準が、今年度以降もそのまま続くかのように報道し、さらに政治家も、その悲観論を増幅して消費税論をプロパガンダしている現実がある。9兆円の税収減の異常事態は、実際には一時的なものなのだ。回復して元に戻るのである。マスコミと新自由主義者に騙されてはいけない。おそらく、今年度の税収は昨年度よりも大幅に増える。
昨年度は、当初46兆円を見込んだ税収に対して、途中で9兆円減額して、37兆円の税収見通しに修正した。今年度は、37兆円の税収で歳入計画を立てている。この37兆円の税収見通しが、年度の途中で大幅増収に変わる可能性がある。重要な事実をもう一つ挙げないといけない。それは、今週発表される政府の月例経済報告で、景気回復が宣言される予定になっている点である。
1−3月の日本のGDPは年率換算で前年比5%成長を達成するまでに至っており、企業業績の回復が顕著になっている。今年度の成長率も公表値の1.4%から2%台半ばに引き上げられる。菅直人が、消費税を増税しても経済成長できると奇妙なレトリックを言い出したのは、実はこの実体経済の回復があり、金融危機によって急激に落ち込んだ時点をベースにすれば、確実に成長の数字を達成できるという読みがあるからだ。狡猾な男である。
日本経済は、リーマンショック後の最悪の景気状態を脱し、緩やかな自然回復を2年から3年は続ける。その間、消費税引き上げによる消費に冷え込みがあっても、プラスとマイナスで相殺され、景気への打撃は小さくて済む。だから、今、消費税を上げようとしているのだ。本来、民主党が消費税増税の勝負をかけた正念場のこの時期に、政府が月例経済報告で景気回復を宣言するのは、政治的には具合の悪いことに違いない。
できれば、もう少し後に先延ばししたいはずだ。しかし、それができないほど、企業の業績が回復し、指標を悪く捏造できない段階まで実体経済が好転しているのである。政府がこうして景気回復宣言をした以上、企業も儲かっていませんとは言えない。法人税を払わざるを得ない。すると、間違いなく今年度の法人税収は予算額を超えて大幅増収となるはずだ。
そうなった後では、消費税増税を国民に脅迫する財政危機の事実がなくなるのである。財政状態は景気回復で改善されてしまうのだ。だから、今のうちに、財政危機の脅迫で国民を騙せるうちに、素早く消費税増税を決めてしまおうと急いでいるのである。金融危機後の一時的な税収減と財政危機の恐怖を、消費税増税を断行する環境材料として巧妙に利用しているわけだ。
さて、昨日(6/12)の朝日新聞5面に、神野直彦のインタビュー記事が載っていて、菅政権に対して「高福祉・高負担」宣言をせよと言っている。神野直彦の正体顕現となった。菅直人の下で、政府税調の専門家委員会の長をやっていた神野直彦については、消費税増税論者だとか、そうでないとか、微妙に見方が分かれつつ、この政策の鍵を握るキーマンと目されていたが、ここへ来て、消費税増税に明確に舵を切ったことが判明した。
立場を明らかにした。これは、私が恐れていた事件で、岩波文化人で左側に信頼と定評のある神野直彦が、こうして増税論の旗幟を鮮明にすれば、増税に反対する側はきわめて言論の戦局が不利になる。神野直彦の裏切り。岩波文化人という種族は、裏切りをするために存在していて、「万物は左から右に流転す」の法則を証明するために生息している。権威の神野直彦が消費税増税の幟を上げた現在、反対派は浜矩子と森永卓郎となった。
次は金子勝が注目される。おそらく、朝日新聞がインタビューを狙っているだろう。改宗の誘惑に応じるかどうか。ネットの中では、菅政権の政策に対して、新自由主義とは言えないだとか、小泉改革とは違うとか、消費税増税とは言っていないなどと、奇妙な擁護論が流行している。元左派で市民派の菅直人の仮面に騙されているのか、それとも、これを機会に菅直人と一緒に手を繋いで新自由主義者に転向しようとするのか、各自の動機は様々だろうし、自己欺瞞の内的真相は本人も容易に対象化できないのだろうが、菅直人の姿をありのまま見れない者が多い。
100メートル先まで火災が燃え広がっているのに、自分の家に燃え移ってないから、これは火事ではないと言っているのと同じだ。詭弁と言うよりも自己欺瞞。法の華三法行と同じで、一度信じたものを否定することができず、最後まで信じようとするのである。確かに、今現在は消費税は増税されていない。しかし、増税されたらどうするのだ。自分は菅直人に騙されたと言うのか。それとも、日本もスウェーデン的な高福祉・高負担の社会を目指せばいいと言うのか。
残念ながら、この国では高負担は実現しても高福祉は実現されない。信じれば裏切れられる。官僚と菅直人と神野直彦が約束する「高福祉」は嘘だ。鳩山由紀夫は、マニフェストで初年度9兆円の無駄を削減すると約束した。4年後には年間16兆円の無駄を削減すると公約した。一般会計と特別会計を合わせた予算総額207兆円のうち、1割の無駄の削減で20兆円の財源は生み出せると何度も言った。
去年の今頃の話だ。1年経ち、その話はどうなったのだ。今、一般会計と特別会計を統合するなどと、民主党の誰も言わない。玄葉光一郎は「ギリギリまで無駄を削減して、それでも財源がない場合は消費税を」と言うが、一体、いつ「ギリギリまで無駄を削減」したのだ。政権交代から8か月経ったばかりだが、9兆円はおろか、まだ無駄の削減は2兆円にも届いていない。
仕分けで財源に組み入れたのは、全て埋蔵金ばかりで、公益法人や特別会計に本格的にメスを入れて絞り出した財源は何もない。官僚の経費削減も布告されていないし、天下りの禁止も法制化されていない。菅直人の政権と政策を新自由主義だと性格規定できるかどうかは、今後の政策過程を見る前に、党と内閣の人事を見れば明らかである。人事こそ戦略だ。
玄葉光一郎が政調会長で政策を仕切っている政権を見て、新自由主義政権でないと言うのは、黒を見て白だと言っているのと同じである。人事はすでに決まっている。最後に、ブログでは何度も何度も繰り返して論じていることだが、民主党の結党以来の「基本政策」が、そもそも新自由主義の路線と性格を色濃くしている点に注意をいただきたいと思う。
そこには、具体的にこう書かれている。「自己責任と自由意思を前提とした市場原理を貫徹することにより、経済構造改革を行う」。「規制改革を長期的経済発展の基本と位置づけ、経済的規制は原則廃止する」。「金融機関の自己責任と市場原理に基づく競争を原則とする」。これらの文言を見ながら、小沢一郎が代表になって以降の「国民の生活が第一」の路線とは相当に異なる事実に誰もが気づくし、これでよく国民新党や社民党と連立できたものだという感想を持つだろう。
政治に詳しい方はすぐにわかるが、この「基本政策」を小泉純一郎と竹中平蔵がパクったのだ。パクって、自民党の基本路線に据えたのである。民主党の新自由主義の方が先なのだ。先に自民党の方に取られて政策化されたのである。「第三の道」などと言っているが、実際には菅直人の政策も、この民主党の基本政策も「第二の道」である。新自由主義の構造改革だ。騙されてはいけない。
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コメント
01. 2010年6月14日 11:26:34: 1DnNOek5U6
菅が官に取り込まれた。
辻元など簡単にいいなりに
ここは初心にもどり
税金を上げる前にするべきこと
減らすべきことしっかり明示して
それが出来るまでやらないを再確認
国民の投票行動をわかりやすくしてくれ。
上げるのか上げないのか。
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