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816 ：無党派さん：2010/06/01(火) 15:08:23 ID:KPdxYY3Z
米国から負担軽減策を引き出した、普天間問題の悪くない決着
まず、沖縄県の皆さんに謝罪したい。沖縄県の犠牲の上に日本の安全保障が成り立ってきた
という事実は、あらゆるテクニカルな議論を超えて重く受け止めるべきものだ。鳩山由紀夫政
権の誕生で、初めて沖縄県の過重な基地負担を見直す機会を得ながら、日本国民はほとん
どなにもできなかった。申し訳ないことだと思う。
日米両政府は、普天間基地の移設先を名護市「辺野古」とする共同声明を発表し、鳩山政権
はその方針を閣議決定した。06年に両政府が合意した「ロードマップ」に一部修正して着実に
実施する。「辺野古」への移設計画の検証・確認を進めるという内容だ。これで事実上、旧自民
党政権と米国による「現行案」に戻った。
しかし、この連載では、鳩山政権の「現行案」回帰は想定の範囲内である（第29回）。そして、
「米国とは揉めているくらいがちょうどいい」（第39回）という状況も期せずして出現した。公約違
反に対する鳩山首相の政治的責任は重いが、必ずしも状況は悪くない。
繰り返すが、確かに米国は06年の日米合意にほぼ沿った形の共同声明を発表できた。しかし、
鳩山政権によって沖縄の基地反対運動は激化し、辺野古移設は沖縄の同意なしには現実に
動けなくなった。普天間基地固定化は米国の望むところでもない。米国は沖縄に対する「負担
軽減策」をより真剣に検討せざるを得なくなった。これはまさに「日米は揉めているくらいがちょ
うどいい」状況である。実際、共同声明には、06年日米合意より踏み込んだ「負担軽減策」が
盛り込まれた。
米軍の訓練移転先として鹿児島県徳之島の活用や、グアムなどへの移転の検討」が新たに
加えられた。米軍嘉手納基地の騒音軽減、沖縄本島東部沖のホテル・ホテル訓練区域の使
用制限の一部解除なども入った。海兵隊グアム移転は、沖縄に残留する要因の部隊構成の
再検討が明記された。そして、「嘉手納基地以南の土地返還」について曖昧な表現が「キャン
プ瑞慶覧と牧港補給地区の一部を早期返還の優先分野」と、より具体的になった。
820 ：無党派さん：2010/06/01(火) 15:09:20 ID:KPdxYY3Z
現在のところ、「負担軽減策」に対する沖縄の失望と怒りは大きい。しかし見方を変えれば、こ
れは日本政府に、米国に対する強い交渉力を与えるものだ。この機会に、「日米地位協定」
「思いやり予算」の見直しなどさまざまな懸案事項を交渉のテーブルに乗せるべきだ。鳩山政
権が批判に対して卑屈になりすぎて、この機会を逸するなら残念なことだ。
次に、連立政権から離脱した社民党である。福島党首の言動は、鳩山政権を「迷走」させたが、
一方で鳩山政権が基地問題で米国に妥協するのを何度も抑え、沖縄の基地反対運動を沸騰
させ、結果的に米国から沖縄への「負担軽減策」を引き出していた。
昨年12月、福島党首は辺野古の沿岸部への移設反対をぶちあげて連立離脱をちらつかせた。
それは、辺野古移設の現行案を選びかけていた鳩山政権を「最低でも県外・国外」の公約に引
き戻した。鳩山政権の迷走の1つとされる出来事だが、これがなかったら鳩山政権は現行案に
簡単に戻り、米国から沖縄の負担軽減策をなにも得ることもなく、これからの米国との継続審議
もなかっただろう。
今回も、福島党首が強硬な姿勢を貫いたことは、日米交渉の過程で鳩山政権の背中を押しただ
ろう。社民党幹部の「消え行く政党だけど、最後にきちんと正義を示せるかは大事。連立にいて、
やるべきことはやった」という言葉は正しい。ここまでの貢献は見事だ。しかし社民党はいずれ消
え去り、社民党の想いとは裏腹に、この頑張りが長期的には日本を軍事的自立に導く可能性があ
る（第49回）。
823 ：無党派さん：2010/06/01(火) 15:10:23 ID:KPdxYY3Z
さて、自民党である。鳩山政権の選択は、元々自民党政権が米国と合意した案そのものだ。鳩
山政権は自民党の主張を認めたに等しく、自民党は倒閣にエネルギーを注ぐより、鳩山首相の
「勇気ある決断」を称えるべきだ。
沖縄県民は根本的には基地問題を「差別」と捉えている（第49回）。そして、鳩山政権を瞬間的
には「裏切り」と批判するが、一方で差別解消を試みた最初の政権と見ている。
中長期的には「差別」への批判はむしろ自民党に向くだろう。自民党はこれを自らの責任として
正面から受け止めるべきだ。責任を鳩山政権に転嫁し、その打倒に動くことは、沖縄県民を再
び絶望の淵に落とし、自民党への更なる恨みとなって跳ね返ってくる。
石破茂政調会長は、沖縄基地問題で「対案」を出すべきだと主張している。自民党が置かれる
困難な状況と、そこで自民党がやるべき事を的確に理解しているようだ。今こそ自民党は沖縄
の負担軽減策の拡大、その先の東アジアの安全保障環境と海兵隊の抑止力、在日米軍基地
とその負担のあり方の議論を主導していくべきだ。
しかし、石破氏の主張は谷垣禎一総裁や大島理森幹事長には通じず、自民党内で孤立してい
るようだ。この連載では「自民党に求められるのは政権交代ある民主主義への対応力」だと主張
した（第34回）。しかし、自民党はその意味を理解せず、従来の野党同様に政府批判に終始し、
国民の支持を回復できていない。今回も鳩山政権を倒そうとするだけなら、残念なことである。
http://diamond.jp/articles/-/8284
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