投稿者 小沢内閣待望論 日時 2010 年 4 月 25 日 17:55:07: 4sIKljvd9SgGs
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政治的にジョン万次郎のほうが坂本竜馬より優れていたという議論ノショック
http://www.asyura2.com/10/senkyo85/msg/179.html
投稿者 怪傑ゼロ 日時 2010 年 4 月 25 日 17:30:29: Wmm/PVcgalDww
政治評論家の平野貞夫氏は日本の政治の裏の事情に精通していて、それをまとめた「平成政治20年史」(幻冬舎)は、最近の政治についてのバイブルとして高い評価を受けている。
http://www.amazon.co.jp/%E5%B9%B3%E6%88%90%E6%94%BF%E6%B2%BB20%E5%B9%B4%E5%8F%B2-%E5%B9%BB%E5%86%AC%E8%88%8E%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%B9%B3%E9%87%8E-%E8%B2%9E%E5%A4%AB/dp/4344981049/ref=pd_sim_b_5
続いて最近出手ベストセラーで検察が犯した七つの大罪という副題を持つ、「小沢一郎完全無罪」(講談社)は腐敗した日本の検察とメディアが、いかに狂っているかについて徹底的に暴露した好著である
http://www.amazon.co.jp/%E5%B0%8F%E6%B2%A2%E4%B8%80%E9%83%8E-%E5%AE%8C%E5%85%A8%E7%84%A1%E7%BD%AA-%E3%80%8C%E7%89%B9%E9%AB%98%E6%A4%9C%E5%AF%9F%E3%80%8D%E3%81%8C%E7%8A%AF%E3%81%97%E3%81%9F7%E3%81%A4%E3%81%AE%E5%A4%A7%E7%BD%AA-%E5%B9%B3%E9%87%8E-%E8%B2%9E%E5%A4%AB/dp/4062161818/ref=pd_sim_b_8
世界で活躍している藤原記者は国際的な視野から日本の政治を観察して、衝撃的な「さらば暴政」(清流出版)を著して注目されている。
http://www.amazon.co.jp/%E3%81%95%E3%82%89%E3%81%B0%E3%80%81%E6%9A%B4%E6%94%BF%E2%80%95%E8%87%AA%E6%B0%91%E5%85%9A%E6%94%BF%E6%A8%A9-%E8%B2%A0%E3%81%AE%E7%B3%BB%E8%AD%9C-%E8%97%A4%E5%8E%9F-%E8%82%87/dp/4860293053/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1265096350&sr=1-1
現在の本で最も目覚しい活躍をしている平野氏が注目して、相手に選んだのが国際ジャーナリストの藤原氏だったので、二人が民主党の新政権の誕生について、平成無血革命という視点で論じている発言は、日本において画期的な問題として注目を集めており、この二人の権威者の対談はこれまで三回ほど阿修羅に紹介されている。
· 副島氏サイト「学問道場」より記事転載 「平野貞夫vs藤原肇」B 〔ライジング・サン(甦る日本)〕 明るい憂国の士 - 明るい憂国の士 10/4/10 17:21:03
o 画期的な平野貞夫氏と藤原肇氏の対談の教訓 - ビスコンテ 2010/4/12 04:13:34
· 副島氏サイト「学問道場」より記事転載 「平野貞夫vs藤原肇」A 〔ライジング・サン(甦る日本)〕 明るい憂国の士 - 明るい憂国の士 10/4/10 17:10:12
· 副島氏サイト「学問道場」より記事転載 「平野貞夫vs藤原肇」@ 〔ライジング・サン(甦る日本)〕 明るい憂国の士 - 明るい憂国の士 10/4/10 16:33:15
その対談の第四回目が公開されたが、現在の日本のメディアで坂本竜馬がブームになっているのに対して、ジョン万次郎を取り上げて画期的な評価の仕方をしているのが興味深い。坂本竜馬は倒幕活動のフィクサー役立ったのに対して、ジョン万次郎は明治の日本において封建制から立憲君主的な議会制度を、日本の政治に持ち込んだという点では、坂本竜馬よりも重要な役目をしていたらしいことが、二人の議論から読み取れるのではないかと思う。
「財界にっぽん」2010年5月号
草の根民主主義とジョン万次郎の教訓
政治評論家、前参議院議員 平野貞夫
vs. 慧智研究センター所長、フリーランス・ジャーナリスト 藤原肇
日本人でユニテリアン 第一号のジョン万次郎
平野 藤原さんの「さらば暴政」にはネオコンのことが書いてあり、彼らの「弱肉強食」という政治的な立場について、ジャングルの捉としての社会進化論の形で捉え、差別に基づく帝国主義の思想基盤を論じてます。これはキリスト教国家としてのアメリカにおいて、差別と平等の二つの対立した考え方に関し、社会における現象の根っこについて触れているので、私にはとても興味深いと感じた次第です。ネオコンが貧欲な政治を実現したのに対し、その対極にある米国のキリスト教の運動として、ユニテリアンという特異なグループが存在するが、重要なのは人種差別をしない特色を持っている点です。
藤原 キリスト教は自分たちが神から選ばれた存在だという、一種の選民思想に基づいた宗教グループといえるが、出発点には奴隷だったユダヤ人たちによる、劣等感が逆立ちした形での選民思想が見える。だから、顕教として一神教のカトリックやプロテスタントに対して、異端の宗教として排斥された多神教的なものが、グノーシス派として地下に潜った形で存在し、それが原理主義的なピューリタン思想に生きており、その代表がユニテリアンだと私は考える。だから、ユニテリアンが多神教的であると共に密教的でもあるから、古神道や道教に共通するものを内包するので、日本人にとって親和性を持つのだと思う。
平野 その密教的という指摘はとても興味深い。そこに今後の日本の政治が求める方向を考える上で、草の根民主主義の持つ意義を理解して、この思想を政治の上に反映したら良いと私は思うのです。というのは、ユニテリアン信仰の根っこにある思想としては、日本の仏教や古神道を含めた東洋的な考え方、あるいは、中国やインドの考え方に似た生き物すべてが支えあい、共生するという思想がとても強く生きている。しかも、万人救済で人種差別をせずに平等に生き、異文化や異宗教とも融合して共生することで、自然環境に調和して生きることの尊重がある。だから、 19世紀の半ばの米国の草の根民主主義を支えた、エマーソンやホイットニーを始めとした思想家や、ジェファーソンやリンカーンなどの大統領も、ユニテリアン思想に共感して支持をしていたのです。また、共生の思想が根っこの部分にあるが故に、漂流民として米国に行ったジョン・マンこと中浜万次郎は、日本人として最初のユニテリアンになったのです。
藤原 ユニテリアン思想について平野さんの記事を読み、こんなことを論じる能力を持つ政治家が日本にいたと知り、私はびっくり仰天してしまいました。だから、ゴーストライターが書いたのではないかと疑い、『財界にっぽん』の川口社長に会った時に聞いたら、「原稿用紙にエンピツで書いてくるから、本人が書いたのに間違いありません」という返事でした。
平野 エンピツで書いて消しゴムで訂正するのが、私が慣れ親しんできた流儀である以上は、嘘や誤魔化しは出来ないから見破られる…。 (笑い)
藤原 そうでしたか。ところで、平野さんが「ジョン万次郎の会」を組織して、ユニテリアンの思想を普及しようとした背後に、草の根民主主義への共鳴があると思うのですが、その辺についての背景を説明してもらえますか。
議会で嘘をつかないという 議会政治の根本原理
平野 そうですな…。実は日本で最も歴史を誇る社交クラブの交詞社から、「ジョン万次郎に学ぶ」と題して話して欲しいと頼まれ、 2009年の初夏に講演したことがあります。交詢社は1880 (明治13)年に出来たわけだが、その頃の交詢社は日本の社会や文化に対して、非常に大きな影響力を与えていた。日本の近代化や改革の中心的な集まりであり、福沢諭吉を囲む財界人が結集していたからです。
藤原 今だって日本の人事興信録の分野においては、交詢社が発行するものが最も権威を持っているし、特に慶応の卒業生を中心にした財界情報では、その詳しい人脈を知る上で最良のデータベースです。 明治時代の日本人は幅広い視野を持っていて、世界に向かって開いた大きな展望を身に着け、文明の流れを理解していた人がとても多かった。ところが、世界と緊密な関係で結びついているのに、現在の財界人の多くは視野狭窄症で金儲け専門だし、自分が直接関係する分野にしか関心を払わずに、文明全体への興味は至って僅かといえます。
平野 明治の日本人には文明開化が何より重要だったから、文明の本質と実態に対して真剣に考えようとしたのです。
藤原 ところが今の日本では大違いであり、知識として世界について知っていても、意識として日本が世界の一員という自覚は希薄だ。しかも、文明の本質について思いをはせる能力を始めとして、問題の本質を掘り下げる人が激減しています。
平野 それは政治の世界についての理解と同じで、明治に較べて現在の政治家の意識がいかに低いかを知れば、愕然とせざるを得ないことですよ。明治の日本の政治家や知識人たちの多くが、議会政治の根っこにキリスト教文化があり、欧米の議会が社会的な教会だと知っていた。 また、教会は心の教会と社会の教会に別れていて、議会は社会の教会として機能していたから、議会では絶対に嘘を言ってはいけないと知っていました。 藤原 現在の国会議員は議会で嘘をつきまくり、上手に嘘をつくことが官僚や政治家の能力だと信じられ、上は首相から下は陣笠議員まで嘘を平気で言う。小泉や麻生のような厚顔無恥な嘘つきに較べて、鳩山は正直すぎて嘘が余りに下手だから、ちょっとした誤魔化しが大きな嘘に見えてしまう。
平野 議会で公人が嘘をつくという行為自体が、神に対して嘘をついたと厳しく追及されるので、欧米では議会で嘘を言わない倫理があり、それに明治の日本人が大いに敬意を払いました。伊藤博文の側近だった金子堅太郎は、ハーバード大学に留学してユニテリアンを知っており、学生仲間として知っていたフェノロサを東大に招いて、エマーソンの思想を東大生に教えたし、福沢諭吉も慶応にユニテリアンの神学部を作ろうとした。また、福沢諭吉の長男の一太郎はボストンにいて、知り合ったナップ宣教師を日本に送り、宣教活動をするのを援助しただけでなく、このナップ宣教師は1888(明治 21)年に交詢社で、ユニテリアンの思想について講演しているのです。 当時の日本人は世界と共に生きることに対して、それほど真面目に取り組もうとしていたことが分かります。 藤原 函館から密航して渡米した新島襄とか、薩摩の密航学生として渡英した森有礼などは、ロンドンでユニテリアンになって渡米している。しかも、森はストロンドベリーの思想を強く受けていて、明治の日本にキリスト教を持ち込んだし、札幌農学校のクラーク博士の役割も重要でしたね。
草の根民主主義と ユニテリアンの博愛思想
平野 要するに、明治の初期の日本は文明開化のために、キリスト教を通じて議会政治を取り込もうとした。そして、ユニテリアンの人類愛の思想に共鳴したせいで、教育勅語にも「博愛衆に及ぼし」とあるように、教育勅語にはユニテリアンの思想が反映しています。
藤原 でも、その割にはキリスト教は日本で伸び悩み、宗教的な普及活動と発展という意味では成功せず、ミッションスクールを除いて大した影響が残らなかった。これは幼稚な質問になりそうだが、その理由はどこにあったのでしょうか。
平野 日露戦争以降に日本では国家主義が強まり、それが政治の表面で支配力を持ったためです。しかし、隣人愛や困った人を救うという意味では、労働者や貧困層を救済するという形を取って、労働運動の中に足場を確立する方向で、早稲田の安部磯雄教授の指導の下に、鈴木文治が友愛会を大正元年に作っています。
藤原 平成無血革命の成果として民主党政権が出来て、鳩山首相はやけに「友愛」という言葉を連発していますよね。だが、「友愛」は18世紀から20世紀の初めに有効でも、情報革命によってより開かれた関係の中で、世界化が進んだ 21世紀には時代遅れであり、むしろ、日本語としては「博愛」という言葉を選ぶべきです。その理由として私が考えるのは、博愛はオープンだが友愛はタコツボ的であり、閉鎖したグループだけにしか有効性を持たず、結社、宗派、政党という狭い利益集団だけに、価値の共有が限られていると思うからです。
平野 その意見に私も賛成です。国禁の鎖国を恐れずに日本に帰ったジョン万次郎は、より、広い開かれた考え方をしていたが故に、英語を学びに来た若者たちにユニテリアンの思想が、宗派ではなく人心の運動だと教えました。そして、世界がいかに広く開放されたものであり、日本が世界の一員として国際社会に参加し、共に利益を分かち合って生きることが、いかに大切であるかを丁寧に教えたので、彼に学んだ若者たちが明治から大正にかけて、日本の各界で活躍することになったのです。
藤原 草の根民主主義が生きていた時代の米国で、ジョン万次郎が基礎教育を受けて人格形成した事実と、明治の日本が彼を受け入れたことは、非常に幸運に恵まれていたことだと思います。だから、明治の日本は文明の手本としての米国に憧れを抱き、自由民権や議会政治に強い関心を示した。そして、プロシア流の強権支配をしようとした政府に対して、民間人が民権と結ぶデモクラシーを求めて闘い、大正デモクラシーを実現することになった。 それに、漂流民のジョン万次郎や坂本龍馬が土佐の生まれであり、自由民権運動は土佐を中心に発展しているが、平野さんが土佐の人間として衣鉢を継ぎ、議会主義とデモクラシーを訴え続けるので、そこに不思議な波動の働きを感じます。
平野 そう言って頂けるのは嬉しいことです。足摺岬に近い土佐の中浜で生まれた万次郎が、貧しい漁民として漂流し九死に一生を得て、アメリカの捕鯨船に救われてボストンの近くで学校に行き、草の根民主主義を全身で味わったのです。そして、捕鯨船の航海士として地球を6周して、発展期のアメリカ文化をマスターして帰国した時が、ペリーの来航と重なったのは実に幸運でした。
戦略的な判断力と リーダーシップ
藤原 しかも、ゴールドラッシュのカリフォルニアに出かけて、フォーティナイナーという砂金探しの仕事まで体験し、帰国の旅費を貯めて日本に戻る計画を実行した。国禁を破った男が故郷に戻る努力をした人生は、それ自体が素晴らしいロマンに満ちたドラマだが、鎖国から開国に転換する時代だったから、彼は実にラッキーな運命にめぐり合わせたわけです。
平野 琉球に上陸して開明派の薩摩藩と接点を持ち、島津斉彬に見出されたのが第一の幸運であり、土佐藩主の山内容堂との出会いが第二の幸運でした。
藤原 だが、それにも増して、徳川幕府の中老に阿部伊勢守正弘が健在で、ジョン万次
郎の能力を評価したのが最大の幸運でした。『さらば暴政』の中に勝海舟の言葉として、「アメリカでは、政府でも民間でも、およそ上に立つものは、皆その地位に応じて怜悧でございます。この点ばかりは、全くわが国と反対のように思います」を引用して置いたが、それは黒船が現れた後の出来事であり、その前段階の幕府には阿部正弘を始め優れた人材がいた。だが、不幸なことに有能な人材が次々と急死して、肝心な時に幕府の人材が払底してしまった。
平野 私もそのエピソードを交詢社の講演で紹介したが、この発想はジョン万次郎が勝に吹き込んだと幕府に誤解され、ジョン万次郎は軍艦訓練所を首になり、それからは教師や通訳をしたとはいえ、より自由な民間人として彼は生きたのです。
藤原 ジョン万次郎はアメリカ人が作った本を始め、いろんな工業製品を日本に持ち帰っているのだが、特に興味深いのはミシンを買った点です。当時のミシンは画期的な産業発明品の代表であり、アメリカではソウイング・マシンと呼ぶのだが、各国の文明度によりマシンの意味が違っている。日本ではミシンがマシーンの代表になったのに対して、イタリアではマキーナは自動車を指しており、フランスではマシャンは俗語で小道具という意味です。また、アメリカではミシンはマシーンの一部を意味するし、自動車はカーやオートモービルという前に、ドライビング・マシーンというのが機械の意味論です。
平野 それは非常に面白い話ですな。国によりマシーンという言葉の意味する内容が、全く違っていると知るのは有意義です。それが理解できていたから、福沢諭吉もジョン万次郎も字引に関心を持ち、ウェブスターの英語辞典を一緒に買ってきたのだし、二人とも文明開化に対して貢献しています。
藤原 言論活動がデモクラシーの基礎だと考えたので、新聞を発行することに明治の先覚者たちは情熱を傾けたが、現在の日本にはそれだけの人物がいない。新聞が中生代の末期の恐竜と同じ状態で、絶滅しかけている現在の言論界は、生命力を喪失してまともに機能しないが故に、政治の異常を診断する能力を失いました。
平野 そこに今の不甲斐ない亡国現象の原因と、人材枯渇という致命的な欠陥が浮き彫りになっているが、それを嘆いても社会は良くなりません。 これまでの自民体制による暴政は実に酷かったが、それに代わるべき民主党に人材がおらず、代議士の多くが未熟で経験不足に加えて、自分が実力不足だという自覚すらもない。鳩山首相の周辺を官僚出身の代議士が取り巻き、役所で係長が課長補佐をやったくらいで、官僚生活に見切りをつけて議員になった者も多い。 あるいは、松下政経塾あたりで政治教育を受けて、即席で政治運営の知識を覚え込んだだけで、小手先の政治活動をした程度で議員バッチをつけても、若手の役人や塾生程度の知識と経験では、国政の舵を取るだけの力量や判断力はない。だから、彼らが頼りにするのは肩書きとしての地位だけだから、出世して肩書を得ることに熱中するのです。
藤原 大臣になったことで偉くなったと誤解し、不適切なことまで得意になって喋りまくって、実力のなさを露呈して嘲笑されている。今の日本の閣僚は本当に実力が無い人が多いですね。
実力の伴わない大臣や 首相補佐官の跋扈
平野 その典型が単なるマニフェストにこだわってしまい、マニフェストを憲法以上に重要だと誤解して、マニフェストに書いてあるから断固やると発言し、政治家としての資質を疑われた大臣が目立つ。マニフェストに中止と書いてあるから、八ツ場ダムは中止だと大臣が発言したのでは、政治のダイナミズムのイロハも知らないわけで、政治が話し合いの場であることも分からずに、マニフェストに振り回されているだけでは困ります。政治を担当する責任者に必要なことは、行政を処理するという役人的な能力ではなく、戦略的に物事を識別して取り扱う能力であり、これは判断力に基づく指導性に関わっています。
藤原 政治の指導体制がお粗末だという点では、自民党政治の末期は誰の目にも亡国だと分かったが、そのことは『さらば暴政』で指摘しました。最悪なのは安倍内閣における主要人事だったが、大臣から首相補佐官に至る全員が支離滅裂で、世界から物笑いになっただけではなく、日本の信用は丸潰れで恥ずかしい限りでした。
平野 大臣が自殺したり絆創膏を張ったりして、正に国会が漫才劇場になった感じだった。また、小池百合子や世耕弘成などについて、首相補佐官になった人事への藤原さんのコメントは、お粗末さの指摘としてズバリ的中だった。それに中国の古典から引用した文章の持つ威力は、問題の核心をついていて実にお見事でした。
藤原 『戦国策』にある人材抜擢の序列によれば、「礼を尽くせば自分の百倍も優れた人材が、敬意を表せば十倍優れた人材が集まって来る。対等に振舞えば同じ程度の人間が、怒鳴りつければ下僕が集まるだけだ」というのだが、これを下僕をかき集めた自民党政権だけではなくて、鳩山内閣の人事にも有効な名言ですよ。
平野 怒鳴りつけなくても尻尾を振って集まる、無能な上に意地の汚い連中が実にたくさんおりますな。
藤原 鳩山は首相補佐官に代議士を任命しているが、部下の代議士なら必要に応じて考えを問えばよく、部下にいない大局観を持つ優れた人物は、「三顧の礼」を以って招く必要があるのです。ところが、専門知識も経験も無いない議員を抜擢して、そんな人物に補佐の仕事を託したのだから、狂気の沙汰と言うしかないと思いました。しかも、有能な人材は厳選して選ぶのが鉄則であり、補佐官の数を増やせば「枯れ木も山の賑わい」で、「船頭多くして船が山に登る」だけですよ。(笑い)
平野 私は外部から優秀な人を厳選して招き、政治家が持ち合わせない能力を活用するために、またとないチャンスを逸したと思いました。ジョン万次郎の例からして優れた日本人は国外にもいて、誰が真に優れた人材かを普段から知っていれば、必要な時には選ぶことが出来るはずです。 藤原 ところが、日本人は事大主義とタコ壷発想のために、高所から広い展望に立って人材を選ばないで、有名人か身の周りにいる人間の中から、使いやすい人間を拾い上げるという傾向がある。本当に有能な人は気軽に引き受けないし、必ず条件を出して責任と権限を要求する。カネや肩書きには釣られないから、「三顧の礼」を以ってする処遇が不可欠で、真の人材を迎えるのは難しい仕事です。
憲法感覚の重要性と その見落とし
平野 代議士が人気で選ばれているために、日本ではタレント候補がもて唯されているが、「出たい人より出したい人」というように、本当に優れた人は喜んで尻尾を振らないものです。私は国会議員を辞め現役から身を引いたが、民主党員である立場から発言するならば、国政を託せるだけの議員は余りいない。それでも、平成無血革命を成功に導くためには、再びかつての暴政を蘇らせることなく、議会制民主政治を実現することが肝要です。だが鳩山政権が抱える問題点として心配なのは、憲法感覚が欠如していることであり、国家の運営は単なる行政行為ではなくて、憲法との関わりを考える必要があるのです。その点で憲法を軽視する態度は厳禁だし、議員立法の禁止は議会制度のために許されるべきでなく、国会は国権の最高機関だから立法権の拘束はいけません。 藤原 賛成です。それと共に、議論の場としての国会の質を高めることで、世界で一流として活躍している人材たちが、議論に参加するだけの魅力を持つように、体質改善と大掃除が必要だと痛感します。現在の国会に世界的な人材が参加しても、こんな低劣なレベルの中で仕事をすれば、世界の一流が一ケ月もしないうちに、世界の四流に成り果てる危険がある。今の日本はそれほど酷いのに気づいていない。
平野 これは厳しい評価ですな。
藤原 日本では大学生でも本を読まなくなってしまい、劇画やマンガ程度のものしか読めなくなってしまった。また、大衆レベルでは世界でも最低のお笑い番組が、テレビでのべつ幕なしに放映されており、そこで人気を集めた電波芸人たちが選ばれて、知事や国会議員になっているために、政治のレベルが最低である原因を作っている。だが、日本人はこの事実に気づいておらず、世界で物笑いになっていることも自覚せずに、自国が没落しているとは夢にも思わない。しかも、かつては世界一だった児童の学力レベルが、毎年のように低下して行くのを放置したので、今では先進国の中で二十番ちかくになり、それが国力の低下を加速させているし、産業界は中国や韓国に追い抜かれかけていて、それが日本の混迷の原因になっています。
平野 困ったことだがそれが現実だとしたら、早急にその問題に取り組む必要があり、高校の授業料の無料化という細事ではなく、日本全体のレベル向上というより重要な問題に、真剣に取り組むことが政治の課題です。 ジョン万次郎がアメリカで学んできた大切なことは、幅広い視野と教養の重要性にあった。また、それは草の根民主主義の基盤になるものであるし、そこに時代を導くリーダーシップがある以上は、日本の将来を決定付ける決め手になるのです。 (完)
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