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【国家緊急権】(主権者が圧倒的支持を与えた政権に、行政機関が従わぬ時は、機動隊の出動が必要かもしれません) http://www.asyura2.com/10/lunchbreak34/msg/253.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E7%B7%8A%E6%80%A5%E6%A8%A9 目次 [編集] 概説 憲法の枠組みでは対応できない非常時が起こり憲法の停止・制限の必要がある事態を想定した場合、憲法の下位の法令で憲法を停止・制限することは法理論的にできない。このため、憲法の停止・制限を可能とする国家緊急権は「国家が本来的に持つ、憲法の枠越組みを超えた権能」と考えるべきである。しかし、「憲法の枠越組みを超えた権能」の概念は憲法の否定につながりかねないため、国家緊急権の概念を認めない立場もあり、国家緊急権の概念を認めるにしてもその議論・行使は慎重になされるべきである。特に、憲法手続きによらないクーデターで成立した政権が自己を正当化するための理論として利用しかねない概念であり、憲法を尊重する立場からは国家緊急権の概念を認めることに否定的である。 多くの議論では「国家緊急権が『憲法を越える権能』の概念である。」ことを明確にしないまま憲法や法令と同レベルの「国家の権利・権能」として論じているため混乱が生じ、「限定的な条件をつければ有事における法令で憲法を停止・制限できる」かのような間違った結論に至ることが多い。 また、国会図書館の報告書など、国家緊急権と有事法制を混同した記述も見られることがある。 わが国日本においては「国家には本来的に急迫・不正の侵害等に対し自国を守るために武力を行使する権利つまり『国家緊急権』があるため、戦争放棄を謳う日本国憲法は不完全である。」とし、「急迫・不正の侵害等が発生した場合、政府は『国家緊急権』により日本国憲法を停止し武力を行使すべきである。」という議論が一部にある。しかしながら、『国家緊急権』の概念自体を国民の多くが知らない状況であり、このような主張は現在のところ少数意見であろう。多数意見であるとするならば、日本国憲法に定められた改憲の手続きにより国家緊急権の内容を憲法に反映するのが正道である。「急迫・不正の侵害等が発生した場合、政府は『国家緊急権』により憲法を停止し武力を行使すべきである。」と主張する人々にも、「国家緊急権が憲法を越えた概念であること」を知らず「戒厳令など法律・命令で『国家緊急権』を制定すれば、憲法を停止できる。」という法理論を無視した議論を行う人が散見される。 一方、軍備・交戦権を認める憲法の国々では『国家緊急権』がすでに憲法に反映されていると理解されるため、『国家緊急権』の議論は実際上あまり意味を持たない。 国家緊急権の行使は国家が戦争や内乱、あるいは大規模な災害などの非常事態に直面した際に、議会を承認を経ずして戒厳令または非常事態宣言を発令して憲法の一部を停止または制限することによって行われる。憲法の一部を停止または制限をかける手続きにおいて議会の事前承認を基本とする場合は、非常事態権(非常措置権とも)とし、国家緊急権と区別する場合もある。大日本帝国においては「非常大権」と呼称した。 [編集] 国家緊急権の持つ潜在的危険性 実際に、国家緊急権が行使された例としては、2007年11月3日、パキスタンではパルヴェーズ・ムシャラフ大統領によって戒厳令が出されている。これは、ムシャラフ大統領が陸軍参謀長を兼務したまま大統領選挙に立候補したことの不当性を審理していた最高裁判所の判決を妨害する意図であったといわれ、政治権力の維持のために国家緊急権を行使した事例として知られる。 現在のロシア憲法では「国外での軍事行為には上院の承認を要する」とされているが、「緊急時には国外での軍事行為に上院の承認は不要とする」ように上院が決定しようとしている。これは、一部の論者が主張する「国家緊急権を法律で認める」実例である。しかしながら、憲法手続きによらす憲法を事実上改正することであり、憲法違反である。 こうした事例にもみられるように、国家緊急権とは国家を覆う危険性の排除のための権能としての側面と濫用による国家転覆の危険性を有するという側面を有するものである。故に国家緊急権とは、より高度にして洗練された民主主義国家においてのみ、健全な機能を果たすものといえよう。即ち、国家緊急権をめぐる議論は憲法論議において最も注意を払う問題のひとつであるといえる。 [編集] 非常事態における緊急権の類型 イギリスやアメリカの法体系いわゆる英米法は、ヨーロッパ大陸の法体系いわゆる大陸法と違う法体系である(日本は大陸法の法体系である)。イギリスでは成文憲法はなく、緊急時の対応もコモン・ロー(慣習法)に従う。アメリカ合衆国においては有事に際しても「憲法を停止する」という考え方はなく、有事における大統領の権限の行使も司法の審査の対象となる。 また、日本においては「憲法の停止・制限」の規定は憲法にない。このため、有事のための法令を制定するにしても、憲法の枠組みの範囲内で法令を制定することになる。 まとめると、軍備・交戦権を認めている憲法を持つ諸外国においては「国家緊急権」の概念の必要性は見られない。「国家緊急権」の概念が必要とされるのはクーデターの正当化のためくらいである。日本においては、戦争放棄の条文を不満とする人々の改憲の根拠として「国家緊急権」が使われている。 [編集] 統帥権と非常大権 [編集] 国家緊急権をめぐる議論 憲法を停止するということは、国家権力が「憲法以下の制定法」のコントロールを全く受けないということである。つまり、法律上何のコントロールも受けない独裁権力が現出するということである。憲法を持つ民主主義国家が「独裁権力」を予め想定するということはありえない。 王権の横暴を封じるために市民が王と交わした約束から発展してきたものが憲法である。憲法は民主主義の思想を成文化したものだといえる。憲法を停止するということは、民主主義を停止するということである。だから、民主主義国家では憲法を停止することは想定されていない。 政府が「憲法が想定しない権力の発動」をとる場合、その権力の発動を正当化するために憲法を越えた国家緊急権の概念が必要とされるのである。 憲法と国家権力について考える場合、憲法の手続きによらず成立したクーデター政権や革命政権、天皇の大権が憲法の上に存在する大日本帝国、憲法が最高法規とされる民主国家を混同して論じた主張が多く見られる。大日本帝国など実態は主権が天皇や国王にある国でも「民主主義を成文化したものと考えられる憲法」を制定すれば民主主義国家に見える。その場合、主権は天皇・王にあるため、憲法・民主主義は天皇の大権・王権で停止できるのである。これを「国家緊急権による憲法停止」と混同した議論も見られる。 憲法が最高法規とされる民主国家では憲法の停止は想定されていないのである。憲法で「有事と平時とで人権の保障内容や国家制度が違うこと」が決められている場合でも、有事法制の妥当性を論じればよく、安易に「国家緊急権」の概念を持ち出すことは憲法軽視に陥りやすい。 国家緊急権は、特例措置にかこつけて、政府の大権を常態化させ、民主主義を変質または破壊させる危険性を懸念し、国家緊急権の賛否を越えて、国家緊急権の取扱には慎重たるべきであるという点では一応において共通した認識であるとされる。 反面、憲法にも法律にも非常事態に対する何らかの措置をも予定しない国は、表面的には立憲主義の原則に忠実であるかもしれないが、実際には民主主義の法秩序の原理原則のみにとらわれ、「現実の危機」に対する秩序を自ら崩壊させる欠陥を含むとも反論できる。 国家緊急権を肯定し、かつ民主主義の堅持のために注意が必要であという論調の中には、緊急権が恒久化せぬ措置や、国家の平和と独立において緊急権によってとるべき措置を越えて、あるいは緊急事態に該当する状況を越えて発動されないという担保、さらには緊急権の終結時期を明示することの必要性を説く指摘もある。 [編集] 日本における有事法制と国家緊急権 有事法制において問題とされるのは弾道ミサイルが発射される危機に際して、いわゆる国会承認を経てからでは手遅れであるという、緊急性ある危機への対応の不充分さにある。憲法に定める国会と緊急事態との関係としては、参議院の緊急集会を開催することなどが想定されているが、こうした緊迫した事態を想定する場合において、国家緊急権を含まない有事法制がどこまで対応できるか、懸念されている。また、国家緊急権のみならず、そもそも有事法制への反対意見も強く、こうした議論には一層の国民的議論が必要とされることであろう。 2001年9月11日、それまでの国家間対立のような伝統的安全保障課題に加え、アメリカ同時多発テロ事件など、テロリストなど非国家主体による脅威がアメリカをはじめとする国際社会に広がり、特にテロ行為に際して核兵器や生物兵器、化学兵器などの大量破壊兵器の使用も危惧されたことから政府による危機管理上の権能強化がしばしば議論された。 日本においても2005年以降、国家や社会をりとまく多様化する危機、即ちマルチハザード型の危機に対応するための法体系の統合運用に向けた緊急事態基本法の整備に向けた自由民主党、公明党、民主党の3党合意がなされ、さらに安全保障基本法の議論もなされているところである。これら有事法制や安全保障の法体系の中では憲法改正論議を通して、日本国憲法第9条を改正し、さらに国家緊急権をもりこむかどうかという点が、究極的な課題となると思われる。 [編集] エピソード
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