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http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20100123ASDK2300D23012010.html
社説1 事情聴取の次に小沢氏がなすべきは(1/24)
小沢一郎・民主党幹事長が東京地検の任意の事情聴取を受けた。
検事とのやりとりを小沢氏は記者会見を開いて公表したが、これだけでは国民への説明にならない。国会審議や、さらなる記者会見などで、今回の事件の経緯にとどまらず政治とカネの問題で国民が抱く疑問に丁寧に答えなければならない。
事件は、小沢氏の資金管理団体「陸山会」による秘書寮用地の購入が発端だ。小沢氏が提供した4億円をつかい約3億5千万円で2004年に購入した、そのありのままを収支報告書に記入しなかったのが政治資金規正法違反にあたるとして、検察は、当時の会計担当だった石川知裕・現衆院議員ら3人を逮捕した。
検察が抱くのは、4億円に公共工事の受注を狙うゼネコンからのヤミ献金が含まれていて、虚偽記入は、やましいカネを隠す悪質な工作だったとの疑いだ。収支報告書の作成に小沢氏がどの程度かかわっていたかも捜査の対象である。
小沢氏によれば、聴取でヤミ献金の存在も報告書作成への関与も明確に否定したという。
検察には真相究明と公平厳正な刑事責任追及の使命があり、政治家には、とりわけ政治活動にまつわる事件にあっては、真相究明に進んで協力する義務がある。
それなのに現状は、おかしい。
民主党は自ら事実を調べる動きを見せないどころか、捜査の進展を伝える報道を「検察による情報操作」と言い募る。鳩山由紀夫首相は、小沢氏に「(検察と)戦ってください」「(石川容疑者が)起訴されないことを望む」と、検察への圧力と受けとられかねない発言を重ね、釈明、前言撤回を余儀なくされた。
鳩山首相自身、母親からの政治資金提供で秘書らが規正法違反に問われた事実を考えるとき、この政権は、政治とカネの問題に向ける国民の不信を真剣に受け止めていないと言わざるを得ない。
検察にも首をかしげさせるところがある。昨年3月に小沢氏の公設第1秘書を別の規正法違反で逮捕して以来の一連の捜査は、政治家がらみの事件を手掛ける際に恣意(しい)的と見られないよう、また政局に極力影響を与えないよう配慮をしてきた従来の検察のあり方からは、かなり異なる。
検察は「規正法は議会制民主主義の根幹をなす法律で、虚偽記入は国民を欺く犯罪」と位置づけるのだから、“被害者”たる国民に、捜査・刑事処分の背景と検察の判断をよく説明する必要がある。