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2007年4月23日 琉球新報
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23208-storytopic-11.html
夏の参院選の前哨戦とされた参院沖縄、福島両選挙区の補欠選挙が投開票され、沖縄は無所属新人で元那覇市議の島尻安伊子氏が初当選した。「台所から政治を変える」と訴えた島尻氏は自民、公明両党の推薦を受け、25万5000票余を獲得。社民、社大、共産、民主、国民新の野党5党が推薦した前連合沖縄会長の狩俣吉正氏、会社代表金城宏幸氏を破った。
一方、福島は民主党の元衆院議員が自民党の元県会議長ら2人を破った。党首クラスを入れて激しい選挙戦を展開した統一補選の与野党対決は、一勝一敗の痛み分けとなった。夏に決着を持ち越し、予断を許さない状況だ。
「現実」路線を選択
沖縄に関して言えば、有権者は昨年11月の県知事選に続く全県選挙で、「反基地・平和」を鮮明にして政府と対立する野党共闘よりも、安倍政権と協調しつつ負担軽減と経済振興策を引き出す「現実対応」路線を選択した形だ。
沖縄の保守系では初の女性国会議員となる島尻氏には、若さや政治経験の短さ、市議会所属会派のくら替え経緯などを懸念する声もあるが、県民の負託に応え、選挙戦で訴えた「生活者の視点」を崩すことなく、国政に新しい風を吹かせてほしい。基地負担の軽減、格差社会の解消、少子化社会への対応、政治とカネの問題一掃など難題が待ち構えるが、敢然と立ち向かい、沖縄の主体性を発揮すれば存在感を示せるはずだ。
島尻氏は選挙戦で、基地か経済かの二者択一を迫る旧来選挙に疑問を呈し「教育、医療、福祉、子育てなど家庭での身近な諸問題が置き去りにされてきた」と指摘した。政策チラシにもエプロン姿で登場し「妻として、母として、働く女性として、子育て真っ最中の体験を生かす」と力説した。
政策目標では個性・特質を生かす教育、子育て環境の整備、基地内の医療施設活用、総合的な中小企業対策などを掲げ、家庭と政治の懸け橋をアピール。こうしたイメージ戦略が有権者に「政治は身近なもの」として映り、政党支持者に加え、無党派層をも取り込んだとみられる。庶民感覚は政治家に欠かせない資質の一つだ。
ただ、政府は与党勝利を受け、米軍基地問題で一段と攻勢に出るだろう。この間、地元自治体の頭越しに移設計画を推進してきた経緯もあり、警戒しなければいけない。過重な基地負担は格差社会の典型ともいえる。
島尻氏は、県内への新基地建設に反対した野党の狩俣氏が負けたとはいえ22万8000票余を集めたことや、宜野湾市長選で米軍普天間飛行場のグアムなど米国移転を主張した伊波洋一氏が再選を果たしたことも、念頭に置く必要がある。政府の言いなりではなく、民意を踏まえて「是々非々」の対応をしてもらいたい。
投票率は過去最低
台所の知恵を絞りつつ、沖縄の基地問題についても政府任せでなく、国民注視という名の“まな板”に載せてうまく“料理”するくらいの積極的な姿勢を求めたい。
今年最大の政治決戦となる7月の参院選は昨年9月に就任した安倍晋三首相が推し進める「美しい国」づくり政策に国民の審判が下る。格差社会を解消する抜本策、教育や社会保障など各種改革に加え、憲法改正の是非も争点になる可能性がある。
国民的論議になっていない憲法問題を争点とすることには異論もあるが、国民投票法を成立させたい安倍政権が改憲の是非を国民に問う可能性は強い。
政治とカネの問題も避けて通れない。不祥事、疑惑続きの閣僚らを抱えたまま選挙戦に臨み、どう政治への信頼を取り戻すというのか。政権側は明確な説明を迫られるだろう。
そんな中で、沖縄補選の投票率の低さは気になる。本紙などが告示後に実施した電話世論調査では有権者の8割近くが選挙に関心を示し、投票に「必ず行く」「たぶん行く」と答えた人は9割を超えていた。ところが実際の投票率は47%台と初めて50%を割り、過去最低となった。これでは民主主義もおぼつかない。
両陣営とも有権者への訴えが足りず、高い関心を投票行動に結び付けられなかった責任は重い。夏の本選では、政策論争を活発化させ、有権者の政治参加ムードを高めたい。それが国民の暮らしを向上させ、沖縄の難題にも道筋を付けることにつながるからだ。