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2009.5.9 18:00 産経
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/090509/erp0905091801003-n1.htm
「世紀のツナミ」と呼ばれる金融危機が世界最北の島国アイスランドを直撃した昨年10月、女性歌手ビョークさんは新曲「ナチュラ(自然)」をネットで発表し、祖国の壮大な自然をパワフルな声で歌い上げた。経済再興のために環境破壊が進む恐れを世界に向けて訴えるためだった。
今回の危機で与党・独立党の実力者で前中央銀行総裁、オッドソン氏が推進した「金融立国」の夢は無残に砕け散り、国内大手3行は国有化され、国際通貨基金(IMF)などに100億ドル(約9900億円)の緊急融資を仰いだ。
残された産業は水産業、観光業、豊富な水力発電や地熱発電を利用したアルミニウムの精錬だ。アルミ精錬工場は現在、2工場が稼働しており、1工場が建設中で、さらに2工場の建設計画が持ち上がっている。
政府は借入金を返済するため、精錬工場の建設を加速させるとの見方が有力だった。アイスランド大経済研究所のヨハネソン氏によると、大手アルミメーカーの投資意欲は景気後退で減退しているが、重工業と発電所に投資し失業問題を解消する必要があると考える国民は少なくないという。
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/090509/erp0905091801003-n2.htm
ビョークさんは「小さな国土に5つの精錬工場は多すぎる」と、同国の女性実業家2人の協力を得て昨年末に「ビョーク・ファンド」を立ち上げた。祖国の経済再興と環境保護を両立させるため、再生可能エネルギーや海洋・水資源を活用する同国のベンチャー企業に投資するのが狙いだ。最大5000万ユーロ(約65億円)を目標に出資を募っている。
ファンドマネジャーのヘルガソン氏は「ビョークの投資戦略は、自然資源や人材に恵まれた祖国には危機から脱する底力があるという信念に基づいている。ビョークと聞けば、どういうファンドなのか誰でも瞬時に理解できる」という。
アイスランドでは金融危機をきっかけに、シグルザルドッティル首相が誕生するなど政財界で女性の進出が目立つ。女性は高潔さ、率直さ、協調性、独立心などの面で男性より優れているとの声も聞かれる。
先の議会選挙では社会民主同盟と左翼環境運動の連立与党が、左派系政党として1944年の独立以来、初めて過半数を獲得した。首相は「われわれの社会は強欲で個人主義に走っていた。価値観を変える必要がある」と言う。危機にひんした島国の命運は今、女性たちの手に委ねられている。
(ロンドン 木村正人)