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http://huzi.blog.ocn.ne.jp/darkness/2011/08/post_8b65.html
いま、「大リビア・アラブ社会主義人民ジャマーヒリーヤ国」(日本外務省による呼称)、英語では The Great Socialist People’s Libyan Arab Jamahiriya という一つの国が、私たちの目の前から、姿を消そうと、いや、抹殺されようとしています。「ジャマーヒリーヤ」はカダフィが作った合成語で「大衆による国」といった意味だそうです。私たちがこの国について殆ど何も知らないままに、歴史の一頁がめくられようとしています。しかし、この地域の人たちが、今からアメリカと西欧の傀儡政権の下で味わう事になるに違いないと思われる悪性の変化を予測するに充分な基本的事実の幾つかが明らかになっています。石油産業、治水事業、通信事業などが国営で、原則として私企業にコントロールを許さなかったことが最も重要な事実でしょう。つまり、WB(世界銀行)もIMF (国際通貨基金)も好き勝手に切り込めなかった国であったことが、米欧の軍事介入による政権打倒が強行された理由です。社会的インフラ整備、教育、医療,生活保障などに注がれていた国家収入は、外国企業と米欧の操り人形であるリビア支配階級の懐に流れて、一般市民のための福祉的出費は大幅に削減されるのは、避けられますまい。カダフィの息子たちに限らず、これまでのジャマーヒリーヤ風の政策を続行しようとする政治家は、オバマ大統領が早くも約束している“民主的選挙”の立候補者リストから、あらゆる手段で排除しなければなりません。前回のブログで指摘したように、ハイチやルワンダがその典型的な例を提供しています。暗殺も極めて有力な手段の一つです。
反カダフィ軍のトリポリ制覇のニュースに接して、私の想いは、過去に逍遙します。チトーのユーゴースラヴィア、サンカラのブルキナ・ファッソ、ルムンバのコンゴ、・・・・・、その土地の人々がせっかく何とかまとまって平和に生きようとした試みを米欧の悪の力は一つ一つと地表から消し去って来ました。現在に戻って、ムガベのジンバブエ、イサイアスのエリトリア、・・・、こうして考えを巡らして行くと、カストロのキューバがどんなに奇跡的な歴史の例外であるか、あったかが、痛切に胸を打ちます。
テレビのスクリーンで、「カダフィは倒れた。自由を取り戻した」と、新品らしい自動小銃を天に向かって発砲しながら叫び躍る若者たちにとって本当に大切な自由とは何でしょうか。空腹からの自由、失業からの自由、医療費の心配からの自由、教育費からの自由、・・・、これらを失って、いわゆる言論の自由という何の腹の足しにもならないものを手にいれることで彼らは新政権下の“民主主義的自由”を謳歌しつづけることが出来るでしょうか。考えてみると、ここに数え上げた四つの基本的自由はアメリカ本国の数千万の下層階級の人々には与えられていません。自国の民草にも与えない自由をアメリカが、“人道主義的立場”から、自腹を切ってリビア国民に与えるだろうと信じる人は世界に一人もいないでしょう。最近の米国内の状況を見ていると、パトリオット条令の下で、言論の自由も消えつつあると思われます。
この「リビアの春」は本当の春ではありません。北アフリカの青年たちはもう一度立ち上がらなければなりません。そう言えば、トリポリで火器を乱射しながら自由獲得を謳歌している人たちの中に、アフリカ黒人らしい黒い肌の人たちがほとんど見当たらないのも気になります。(藤永 茂)
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