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革命後の国民は本当に幸福になれるのか?リビアの富を奪うために欧米諸国が仕掛けたカダフィ打倒
http://www.asyura2.com/10/kokusai5/msg/858.html
投稿者 尚林寺 日時 2011 年 8 月 26 日 10:22:44: JaTjL5JPya4go
 

http://diamond.jp/articles/-/13752?page=4

今年の2月に始まり半年にも及ぶ内戦の結果、リビアのカダフィ体制はほぼ崩壊したかに見える。世界のマスコミはこの勇気あるリビア国民の革命蜂起と成果を称賛する一方で、かつてアメリカのレーガン大統領が彼に浴びせかけた『狂犬』以上の罵倒をカダフィ大佐に浴びせかけ、独裁者、血ぬられた男、国民の大虐殺に踏み切った男と評した。
実際にカダフィ体制下のリビアが西側諸国や革命派が主張するように、非民主的で非自由社会で非統一の国家だったか否かは、もう少し時間が経過しなければ分からない。革命派はこれらの諸問題の解決を標榜するが、実はリビアの将来には幾つもの難問と不安が待ち受けているのだ。

** 石油輸出の停滞とインフラの復旧遅れが3年は続く
まず、リビア人に限らず利己主義的な感覚が強いアラブ人に共通する最重要課題は個人所得だが、リビアのこれまでのGDPは一人当たり1万4000ドルであった。リビア国民の個人的な経済状態が今までよりも良くなるか否かが、最も重要な社会安定の要素なのだが、悪くなると予測する方が正しいのではないか。
その理由は当分の間(一部の専門家の予測では3年以上)、リビアの石油輸出が革命以前のレベルに戻れないからだ。95%以上の外貨収入を石油輸出に依存しているリビアにとっては、この石油輸出が遅滞することは、大きな痛手となる。
そして今回の内戦で破壊された、インフラの再構築に膨大な費用が必要になろう。そのことが国民の生活に与える影響は、小さくあるまい。
今回のリビア革命を、最初の段階から支援してきたイギリスとフランス、そしてアメリカは、当然のこととして新生リビア政府に対し対価を求めよう。もちろん、最初の段階ではこれらの国々はリビアに対し経済支援をするのであろうが、結果的には、これらの国々によって膨大なリビアの富が持ち去られるということを忘れてはならない。
そもそもイギリスとフランスがリビアに乗り込んで行ったのは、自国経済が破たん寸前だったからではないのか。リビアの富と石油を支配することによって自国の経済を復興させようとしたのであろう。
こうなると新生リビア政府は、カダフィ大佐が大金を投入して築き上げたインフラの多くを、修復できないままで放置せざるを得なくなる。
その中で一番問題になるのは、カダフィ大佐が造り上げたGMR(人間が作った偉大な川)だ。GMRとはリビア南部の地下水を汲み上げ、地中海沿岸地域に運び、農業用そして飲料として使うというものだ。このGMRの補修・手入れができなくなれば、人口が集中しているトリポリ市やベンガジ市は、一気に水が無い死の世界に変貌する危険性がある。

** 解決されていないイスラム宗派間の対立
リビアの今後で不安なのは、今回の革命で主導権を握ったメンバーの中には外国逃亡組が多数いるということだ。彼らはよく言えば穏健なイスラム教徒、きつい言い方をすれば欧米かぶれの世俗派である。
リビアには元々サヌーシー派(サヌーシー教団とも呼ばれていた)という、イスラム原理主義の宗派の人たちが少なくなく、特に東部地域ではそうだ。それに加えエジプトと隣接していることもあり、ムスリム同胞団のメンバーも多いのだ。
そうなると近い将来、欧米帰りの世俗派とイスラム原理主義者が衝突する場面が想定される。リビアの国内の対立衝突因子は部族間に限ったことばかりではないのだ。
もちろん、そもそも今回の革命が始まった原因は、部族間に所得格差が生じたことによる、とされてきていた。それならば当然のことながら、今後新政府が結成されていく段階では部族間の富の配分バランスをどう調整するか、という大きな問題が解決されなければならない。

** 革命の火を放ったのはだれか
今回のリビアの革命で、忘れてはならない疑問点がある。今後の不安材料に繋がっていくのだが、そもそも誰が最初に今回の革命の火を放ったのかということだ。
単純に言えば、リビアの民主化を求めた国民、ということになろうが、そんな単純なものではない。実は反体制の動きが起こった当初の段階で、パキスタンの情報部が、イギリス、フランス、アメリカが軍事顧問をベンガジに送り込んだ、という情報を伝えていた。
カダフィ大佐に嫌われ、チャドに長い間派兵されていたハリーファ・ヘフタル大佐がチャドから他のアフリカの国に移動した後、彼と彼の部隊をアメリカが受け入れ20年もの間バージニアに匿っていた。そのハリーファ・ヘフタル大佐も内戦勃発と同時期にリビアのベンガジ市に戻っている。しかし不思議なことに彼の名は、いまだ全くリビアから聞こえてきていない。
イギリス、フランスは反政府派が軍事行動を起こし始めると、彼らの軍事行動への具体的な支援を始め、飛行禁止区域の設定に加え、空爆、武器の供与が行われた。それにアメリカが後発で加わる。アメリカは無人機を多数送り込み、空爆を実行した。もちろん偵察衛星や偵察機で集めたカダフィ大佐側の軍の動きも逐一、反体制側に送られていたものと思われる。
そして最終的には、カダフィ大佐側が追い込まれ、彼の住居とされていたバーブ・アジージーヤも反政府側によって落とされた。
これで一件落着と言いたいところだが、そうは行かない。カダフィ大佐側が拠点を移して反攻に出る可能性が否定できない。彼にはいまだに、多数の武器と莫大な資金がある。
だからと言ってカダフィ大佐にもこの革命の流れを変えることはできなかったはずだ。それは時代の変化ということに加え、リビアで起こっている革命戦争に欧米が全面的に介入しているからだ。ここまできて反政府側がカダフィ大佐側によって敗北させられたのでは、欧米の面子が丸つぶれになるばかりではなく、戦争に費やした費用が回収できなくなるからだ。欧米はなんとしても、カダフィ体制を打倒しリビアの富とエネルギー資源を、手中に収めようと考えている。

** 植民地と化すリビア
こうした欧米側の考えを裏付けているのが反体制側の要人たちの発言だ。現在反体制側の代表者となっている、ムスタファ・アブドッジャリール氏は「リビアに居住していたユダヤ人に帰ってきて欲しい」と呼びかけ、彼らがリビアの政治活動に参加することを期待している。彼以外にも、王制時代の閣僚の子息である、アハマド・シェイバーニ氏は「イスラエルとの協力関係が重要だ」と語っている。彼に言わせれば、イスラエルの持つ国際的な影響力を通じて、新生リビアが国際的認知を受けていく必要があるからだというのだ。
何のことは無い、イギリスやフランスに加え、最初の段階からイスラエルやユダヤ人がリビアの革命に深く関係していた、ということではないのか。つまり、今回のリビアの革命騒ぎは、欧米諸国やイスラエルなどが、こぞってリビアの富を奪うために仕掛けたものだったということであろう。
そのことをカダフィ大佐ははじめから分かっていたのであろう。だからこそ欧米に支援される革命派に対し、徹底抗戦を叫び続けたのだと思われる。結果的に彼は妥協するタイミングを失い、敗北していくことになった。この結果、リビアは欧米の新しい形の植民地支配下に置かれることになった。(笹川平和財団・佐々木良昭)

 

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コメント
 
01. 2011年9月04日 00:10:31: StnhJjyMPw
リビアは世界一良質の原油を産する。硫黄分が世界一少ないのだ。このため精製のコストが安い。これは年々厳しくなる自動車排気ガス規制をクリアする上で絶対不可欠の条件だ。欧州では軽油を燃料とするディーゼル乗用車が多いが、これを可能にしているのがリビアの原油だ。日本が大量に輸入しているペルシャ湾岸の原油は、硫黄分が多い。このため精製にコストが掛かり、しかも良質ではない。これがディーゼル乗用車の普及を阻んでしまった。

欧州、中でもフランスは新車で販売される乗用車の8割近くがディーゼル乗用車である。ここからも世界一良質なリビアの原油の重要性がわかる。彼らはリビアの石油資源を収奪したい。だからサルコジはリビアへの軍事侵略に血眼になったのだ。そして自国の石油資本であるトタル・フィナが膨大な権益を獲得することを望んでいる。明らかに卑劣な植民地侵略である。これはイタリアの石油資本も同じだ。民主主義とか、奇麗事を言っていても、実態は帝国主義者丸出しだ。ベトナムもカンボジアも、奴らに収奪されてきた。だからホーチミン氏も、ベトナム独立のために立ち上がった。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%B3

リビアが民主主義でないと欧米帝国主義者は言う。だとすれば、ベトナムはどうなのか。ベトナムは一党独裁ですよ。こちらを問題にしないのはなぜ ? と言うことになるよね。ここからも、欧米帝国主義者の独善的なダブル・スタンダード的発想が証明されたことになるのだ。あいつらの二枚舌に決して騙されてはならない。それ以前に、人間として恥ずかしいとは思わないのか。

さて話をリビアに戻すが、当方はカダフィ大佐の個人崇拝などしていないし、そう言う発想もない。彼も人間だ。やっていることは完全ではない。当方が見て、彼の失敗は「リビアの工業化に失敗したこと」だと思う。

実は「カダフィ正伝」と言う本に、1980年代のリビアは石油経済への依存を減らすために、工業化を進めて、世界の工場になることをカダフィ大佐が計画していたことが書かれていた。石油収入に頼らない、自立した経済社会を建設しようと考えたのである。そして、具体的にその計画は進められた。カダフィ大佐も自動車が好きだ。1970年代末期、対岸のイタリアの大手自動車メーカー、フィアットが日本車の流入に悩み、経営不振にあえいでいた。このフィアットに資本参加し、巨額の投資を行なったのである。この目的は、フィアットから自動車技術を移転してもらい、アフリカ諸国に適した小型車をリビアで生産することにあった。

だがリビアは暑い。労働環境として工場は過酷だ。それとイスラム教徒に義務付けられているラマダン。これが安定した工場操業を不可能にした。毎年、時期がずれていく。欧州各国のバカンスは夏の時期に固定している。条件がまったく違うのだ。このため、カダフィ大佐は何とか工業化を達成しようと努力するも、無理だったようだ。1990年代に入ると、一大工業新興国として、東南アジアが発展してきた。もう対抗するのは無理だ。これがカダフィ大佐の失敗である。

結局、リビアは石油に依存した経済から脱却することはできなかった。そのことが、欧米帝国主義者の侵略目標にされる理由となったのである。このことはカダフィ大佐自身が最もよく知っていた。だからこそ、侵略しても「何もならないよ」と分からせるために、工業国への転換を最後まで諦めなかったのである。

さてフランスが執拗に狙うリビアの石油だが、彼らは表面上は否定しているものの、福島第一原発の大事故に衝撃を受けていたようだ。フランスでは地震の心配は、あまりない。だが、原発は老朽化する。これに伴う事故の発生が予測される。このため口では強気を装っているものの、原子力発電の依存度を段階的に下げて、石油火力発電所を再び建設する方向を打ち出したようだ。このために輸入原油が再び増加することが見込まれ、これをリビアの原油で賄う意向なのだ。さすが二枚舌外交である。

リビア戦争は3月に始まったが、フランスの姿勢を見ると、当時より遥かに深入りしている。これは明らかに福島第一原発事故の影響(原発依存度を下げ、石油火力発電に転換する)がうかがえる。フランスはかつて、アルジェリアを植民地としていた。ここは石油を産することから最後まで独立をめぐってもめたが、当時のドゴール大統領が独立を認めて1962年に独立した。独立を認める代わりにネフランスの石油の権益を守ることが条件だったが、1966年の軍事クーデターでベン・ベラ政権が樹立すると、あっさりと国有化してしまった。フランスは、一杯食わされたのだ。この失敗を繰り返したくない。

これが、リビアの石油権益を必至に確保しようとするフランスの方針である。そのためには、カダフィ大佐を悪者に仕立て上げる必要があった。だったらベトナムにも、一党独裁をやめろとか、民主主義を導入せよと、旧宗主国として外交圧力をかけろ。サルコジよ、それくらいやってみろ !


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