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リビヤでの反体制派による市民革命の背後にあるもの
今回の文章は前半はある程度一般的に言われていることのおさらいであり、後半は一応自分独自の分析のつもり。ですから、忙しい方は前半を読み飛ばして後半をきちんと読んでいただけたらと思います。 (*ここから後半)とあるところからが後半です。
リビアでカダフィ政権がほぼその実質的な支配基盤を失ってしまった様子だ。表向き、カダフィ大佐による独裁政治に一般市民が立ち上がり、独裁者でかつ一般市民の富を横取りしていたカダフィ一家を革命によって追放したと言う形をとっている。しかし、現実にはかなり違うようだ。そもそも、カダフィ大佐はかなりまともな政治をやっていた。国有化した石油企業の利益を使って、医療や教育はほぼ無料にしていたし、住宅も国が作って国民にほぼ支給という形を取っていたのだ。砂漠の国での屋外での建設作業は苦しい労働だ。そして、それをやるために、多くの外国人がリビヤに入っていた。市民革命が起こった直後、そういった外国人が大勢リビヤから国外に脱出するために空港で待機する場面が報道されたことがあるが、もしカダフィ大佐が圧政をしいていたら、そもそも大量の外国人を雇い入れることはしない。
リビヤの場合、もともと、部族社会で、カダフィ大佐の出身部族は少数部族だった。そのために、人数が多い有力部族をけしかけて反目させ、今よりもっといい生活ができるぞとそそのかしてやらせたのが今回の市民革命だった。もちろん、背後で操っていたのは主にアメリカの軍産複合体・資本家階級の連中だ。(*ここまで前半)
(*ここから後半)ただ、単に経済的利益を餌にそそのかしただけではないはずだ。そこにはシステム詐欺と同様な綿密な仕掛けがあったはずなのだ。
まず大きな仕掛けは二通りあったはずだ。一つは現実の利害関係を作りだし、それによって人々を動かすこと。例えばある人の弱みを握ってそれによって脅すとか、金を握らせて買収するとかだ。もう一つは、一般的に自分たちは不公平な仕打ちを受けていて、カダフィ一家が不当に儲けているという幻想を作り出すことだ。
もう少し具体的に仕組みを考えてみよう。多分、こういった工作は同時多発的にある程度重要な、影響力のある、又は権限を持っている少数の人物を狙って、彼らをコントロールできるようにすることから始まる。これはターゲットが少数なので、狙った相手別にシナリオを作って行われるはずだ。
最初は相手の観察から始まる。経済状態や家族関係、異性との関係や友人関係、どんな望みを持っているか、どんなことに興味を持っているかなどだ。経済的に困窮していたり、酒好きだったり、異性関係で問題があったりするとまずそこをつかれるはずだ。
そういった隙がない相手の時は、次に隙を作り出そうとするようだ。家族の誰かを怪我させたり、または、家族や兄弟の経済状況を困窮させたり、または、仕事上のミスを誘うとか邪魔をするとかだ。仕事仲間を買収してわざと仕事でミスをさせるなどもやるはずだ。相手にいろいろな形で圧力を加え、自暴自棄になるように誘うわけだ。または、そうやって自暴自棄になったところをわざわざ援助してまず信用をかい、その上で弱みを握ったりコントロールしたりするような方法もとられることがあると思う。多分どれにも共通しているのは一時的にでも相手をその仲間から引きはがし、孤立した状態で罠にかけることだ。仕事でストレスが溜まり、帰宅途中一人で歩いているときなどが狙われるわけだ。
そうやってある程度の人数をコントロール下に置いたら、次の段階が始まる。彼らは広いフィールドに打ち込まれた杭というイメージだ。今度はそれらの杭の間に網をかけ渡して、もっと大規模に組織的に罠をしかけることをやる。
例えば株だ。宴会などで株がの見通しを大声で話し、一緒に株を買おうと持ちかける。あらかじめ打ち合わせしてあった人物がそれに同調する。そうやってある程度の人数を集めたら、小さい会社の株を買わせて、次にその会社の株を誰かが故意に高値で買い集めることをやるのだ。そうやって上昇相場を作りだし儲けさせるのだ。相手が夢中になったらしめたもの。その後は幾らでも料理ができる。
対象になる社会のある程度の人数がコントロールできるようになったら、次にやるのは一般的な情報操作だ。日本で戦後原爆による放射能障害がほとんど表面化せず、原子力発電所は安全だと言う幻想が作られたのと同じように、社会の一定の範囲の人々に対して偏った情報を流して幻想を信じ込ませるのだ。
リビアでは、多くの部族で、部族の中心人物がまず罠にかけられ、次にその人物を使って部族内にウソの情報が流されたはずだ。例えば、カダフィが国の富を横取りして外国の銀行に巨額の貯金を蓄えているとか、カダフィの息子が乱暴狼藉を働き、幾人もの他部族の娘をレイプしたとかだ。
ここまでは多分、第二次世界大戦前から使われていた手法のはずだ。今回のリビアでの事件は多分もう一つ仕掛けがあったはずだ。それはインターネットやテレビ放送を使った情報操作で、こちらも二つの側面があったはずだと思う。
一つは一般的に偽の情報や偏った情報を流したり、不都合な情報を流さなかったりすることだ。もう一つはサブリミナル効果を使った暗示によるマインドコントロールだ。
サブリミナル効果を使った暗示にはやはり二つの側面があって、一つは積極的にある種の行動を起こさせるものだ。もう一つは一定の行動に対して消極的になるように仕向けることがある。武器を持ってカダフィ政権側と戦えと言うのは前者の暗示だし、カダフィ側の人間と一切話をしたらいけないというのが後者の暗示だ。多分どちらかと言ったら、大規模になればなるほど消極的な暗示のほうがかけやすいのだと思う。
実際のやり方は、カダフィ大佐の出身部族以外の人々に、カダフィ大佐側の人間と話したりするなという暗示をまずかけて置いて、その次に、カダフィ一族はずるをして儲けていると偽りの情報を流し、その上で武器を取って戦うのだと言う暗示をかけると言ったところだろう。
つまり、サブリミナル効果を使った暗示は、多くの場合、攻撃対象になる相手と対話をするなという消極的暗示が使われると言うことだ。そうしないと、次の段階の積極的な暗示をかけた時に、それがばれてしまうことがあるからだ。
積極的な暗示がかけられる時には当然偽の見本が見せられていく。誰かがカダフィ側に化けて攻撃をし、そこに果敢に戦いを挑み命を落としたように仮装して、人々に行動を起こさせるのだ。
仮に今回のリビアでの市民革命がうまく行ってカダフィ大佐側が完全に降参したとしたら、その後、リビア社会はうまく行くだろうか?当然、うまくは行かない。仮想敵を作ってそれを倒すために社会が一致団結していただけだから、仮想敵がいなくなれば、今度は一人一人が隣人を次なる敵として自己の利益を図るようになってしまうからだ。この時には社会全体が混乱してしまっているから、幾らでも外部から手出しができる。リビアはその内、フランスやイタリアの軍隊が駐留して彼らが支配するようになって行くだろう。
日本でもリビア同様な動きは常にある。原発と地震の関係から言ったら、リビヤよりもよっぽど深刻な事態に日本社会は直面していると言ってもいいかもしれない。情報操作やマインドコントロールに対処するには、まずは原理原則に立ち返ることだと思う。肝心な情報は直接自分で確かめることだ。そして、自分が置かれている状況がどんなものかを理解して、どんなマインドコントロールがされつつあるのかを事前に察知することだと思う。
どんな時代でも支配層に抵抗する側の人間はかなり困難に直面するしかない。特に現代は、ある意味、心理的な圧迫というか、絶望を抱かざるを得ないような状況になることがよくあるのだと思う。しかしだからと言って気持ちを折ってしまったらいけないと思う。何が正しくて何が間違っているのか、自分は本来何をしたいのか、自分の生きている意味は本当は何にあるのか、じっと自らの中の声を聴くしかない。
カダフィ大佐は多分今回の戦いの中で死んでいかれるのだろう。彼の子供たちも命を落とすかもしれない。今回の事件の経過の中で、当初カダフィ大佐は反政府勢力に対してかなり対話をしようとし、説得を試みたはずだ。そして、それがうまく行かず問答無用の武力攻撃が始まり、一定の反撃をするしかなくなって行った。そして今、ロケット砲などの本格的な武器を使って、同じリビアの国民を攻撃するしかなくなっている。
カダフィ大佐とその家族は、今、どんな思いでいるのだろうと考える。1988年のパンアメリカン航空103便爆破事件。あの事件の濡れ衣をあえて被ってリビアの石油の輸出を果たし、そうやって得た富でリビア社会の建設をやってきたカダフィ一家。彼らのやってきたことの評価を少なくとも日本社会はきちんとするべきだろう。
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<649>>
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