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政情不安の発生は食料価格の高騰と関係しており、近年の北アフリカや中東等で見られた政変は、さらに大規模な混乱の前触れを示す可能性があるとする研究結果が発表された。
食料価格と政情不安に関する最新分析によると、2008年に世界各地で起こった食糧をめぐる暴動(日本語版記事)や、現在進行中の「アラブの春」は、今後発生するさらに大規模な出来事の前触れかもしれないという。
「食料価格が高騰するとき、必ずこのような暴動が発生する。しかし、そうした価格高騰の根底にある、その背景で進行している傾向を見ると、これもまた、非常に急速な高まりを示している」と、ニューイングランド複雑系研究所のヤニーア・バー=ヤム所長は話す。「背景で進行しているこの傾向は、あと1〜2年のうちに、大きな混乱を引き起こすレベルに達するだろう」
バー=ヤム所長らのチームは、市場動向(日本語版記事)や経済の変化、民族間抗争、ハリウッド映画といった社会的データの中から、「数学的サイン」を見つけ出す研究を行っている。
8月11日付でプレプリント・サーバー[学術雑誌に掲載される前の論文の公開に使用されるサーバー]『arXiv』に公開された、バー=ヤム所長らの最新の論文によると、2008年の食糧をめぐる暴動、および現在の「アラブの春」は、いずれも基礎的な食料品価格が1年にわたって高騰を続けた末に起こっている。
「アラブの春」を引き起こす上で食料価格が果たした役割については、すでに広く指摘されている。バー=ヤム所長らの研究が革新的なのは、国連食糧農業機関(FAO)の食料価格指数から、名目価格にして約215ポイント、インフレ調整後の価格で190ポイントという、2つの数値を特定したことだ。
2004〜2011年の食料価格および社会不安の動向を示したグラフでは、食料価格指数がこれらの数値に達したときに、暴動が勃発している。グラフを見ると、2008年の食料高騰時の価格指数は、これらの数値を上回っているが、バー=ヤム所長らが着目しているのは、その背景において着実に増大しつつある価格上昇傾向だ。主に商品投機、農作物の燃料への転用、および肥料と石油の価格上昇がもたらしているこの傾向は、2012〜2013年の間に、問題の数値を超えるとみられる。
「そのレベルに到達してしまえば、価格の急騰はもはや問題ではない。問題はこの傾向のほうだ。そして傾向を軌道修正するほうが、より困難だ」とバー=ヤム所長は述べる。このレベルに到達したとき、北アフリカや中東より安定した国々でも、広範囲に及ぶ政情不安や社会不安が発生するおそれがあるという。
{この翻訳は抄訳です}
TEXT BY Brandon Keim
TRANSLATION BY ガリレオ -高橋朋子
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