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米国では妥協する者はチキン、つまり臆病者という風潮がある。真の米国人ならば闘えという考えがまだ社会に、特に地方へ行くと根強い。今回の財政危機で、デフォルト(債務不履行)を物ともせず主張を貫き国を危機に陥れたのは、連邦議会での「テイーパーテイ(茶会)」運動が支持する議員だった。
デフォルトは回避されたとはいえ、今回の危機は米国の脆弱な経済とワシントンの無能さを国内外に露呈した。またオバマ大統領の支持率は下がり、共和党は内部分裂を示した。その一方、茶会派は、オバマ大統領は簡単に譲歩するということを示すのに成功したようだ。
茶会派議員たちの63%はテキサス、フロリダ、ルイジアナ、ジョージア州などの南部出身。地元で家族が農場、牧場、または小さなビジネスを経営している議員もいるという。
茶会はテイーパーテイというが、党ではなく統治された機関でもない。オバマ政権発足の09年から草の根的に広がり、現在全米で保守主義運動にまで発展している。由来は、1773年マサチューセッツ州ボストンで起こった「ボストン・テイーパーテイ(茶会事件)」。英国の植民地税に憤慨した植民地人グループが、ボストン港に停泊中のイギリス3船に侵入、イギリス東インド会社の船荷の紅茶箱を湾に投げこんだ。後に英国と植民地米国の対立は、米独立戦争へと発展した。以来、米史上で、政治的抗議運動のアイコンとして見なされている。
茶会のメンバーの79%は白人と言われている。地域毎のグループ会員数はさほど大きくなく、数人単位のグループもある。彼らの主張は、小さな政府、財政責任、憲法重視。
現在上下院で構成されている茶会委員会には60人の議員が属する。全員が共和党。2010年7月にミッシェル・バックマン下院議員(ミネソタ州選出)が提唱し設立した。議長を務めるバックマン氏は、2012年の大統領選出馬を表明している。
これらの議員の多くは、たとえ米国を崖っぷちに追いやったとしても、自分たちの信念を貫くという強固な意思があるようだ。増税に真っ向から反対し、歳出削減で財政危機は免れると主張してきた。今回最終的に2、4兆ドルの歳出削減で合意が得られたが、茶会派は4兆ドルを主張していた。オバマ大統領は当初から提唱していた赤字削減・増税という均衡案を、デフォルト危機を前に断念しなければならなかった。
保守派でさえ、今回の茶会派議員たちの言動には批判的だった。保守系フォックス・ニュースのホストのビル・オライリー氏は、「一部共和党内の絶対主義者がこの国をデフォルトの淵へと追いやっている」と非難した。
このように独断的ともいえる茶会派だが、その宗教観も見逃せない。バックマン氏は、議員を目指した動機を「神から告げられた」と話している。下院の中で茶会派の45%は、保守福音派教会に属する。他の共和党議員では13%。
福音派は聖書の言葉を、字義通りに神の言葉ととらえる。茶会派の富裕層への増税拒否は、「富める者も貧しい者も同様にはらうべし」という旧約聖書出エジプト記(30:15)から来ていると指摘する声もある。(「汝らの生命を贖ふためにヱホバに献納物をなすにあたりては富者も牛シケルより多く出すべからず貧者も其より少く出すべからず」)
茶会運動が集会などで、象徴として使うものにガズデン旗がある。18世紀の政治家クリストファー・ガズデン氏がデザインし、初期海兵隊旗ともなった。草むらにいるガラガラ蛇がとぐろを巻き、今にも飛びかかろうとしている。その蛇の下には「Don’t tread on me (私を踏むな)」という文字がある。
ガラガラ蛇は、筆者の住む地域にも多く生息している。ガラガラ蛇を見れば、静かに立ち去るのが一番だが、他の蛇と異なり「じいー」という独特の警告音を発するだけでなく、たちの悪いのは実際に追いかけてくる。
ガズデン旗のガラガラ蛇のように、茶会派と話し合い妥協点を見いだすのは難しいようである。共和党内で孤立しても、より強固な姿勢を増していくように思える。
http://www.newslogusa.com/?p=1376
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