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毎日新聞 より
http://mainichi.jp/select/world/news/20110521ddm002030133000c.html
オバマ米大統領:中東新政策 「アラブの春」反米化懸念
【ワシントン海保真人、エルサレム花岡洋二】オバマ米大統領は19日の演説でイスラエル・パレスチナ和平交渉について
「(イスラエルがヨルダン川西岸を占領する第3次中東戦争以前の)1967年の境界線に基づき双方の境界を定めるべきだ」
と主張、
イスラエルに領土面での譲歩を求めた。
中東の民主化要求運動「アラブの春」で和平交渉の仲介役だったエジプトのムバラク大統領が退場する中、
同盟関係にあるイスラエルに気兼ねしてパレスチナ和平問題で手をこまねいていては、
アラブ民衆の反米感情を強めかねないとの判断があったとみられる。
オバマ大統領は20日、イスラエルのネタニヤフ首相と会談したが、
首相は反発しており、交渉再開への道のりは厳しい。
「イスラエルとアラブの紛争は中東に影を投げかけてきた」。
オバマ大統領はアラブ諸国が民主化で「過去の重荷から脱却している」時期だからこそ、
中東の緊張要因となってきたパレスチナ問題の決着が「これまで以上に緊急を要する」と主張した。
打開策として突き付けたのは、イスラエルがヨルダン川西岸、ガザ地区などを占領した第3次中東戦争以前の境界までの撤退だ。
パレスチナ自治政府は「67年境界」をイスラエルとの将来的な国境に想定しており、パレスチナ側の主張を取り込んだ提案と言える。
イスラエルは「占領地」へのユダヤ人の入植(移住)政策を進めてきた。
ガザ地区からは05年に入植者が引き揚げたが、
依然、ヨルダン川西岸には約120カ所の入植地に約30万人が暮らしており、
ネタニヤフ政権は入植地を手放すつもりはない。
オバマ大統領がこのタイミングで、イスラエルに強く出た背景には「アラブの春」後の中東情勢の激変がある。
パレスチナ和平の仲介役と期待されながら、イスラエルから譲歩を引き出せなかったムバラク政権が反政府デモで崩壊。
パレスチナ自治区にも反イスラエルデモの形で民衆蜂起が波及し、新たな不安定要因となっている。
オバマ大統領は今春、ムバラク大統領に見切りをつけ、中東民主化支援へかじを切った。
演説で、民主化で政権が交代したチュニジアとエジプトへの経済支援を約束したのは、「民主国家」のひとり立ちを手助けする狙いがある。
目指すのは中東の早期安定だ。
パレスチナ和平交渉の停滞にアラブ世論は「米国を後ろ盾とするイスラエルによる入植地拡大が原因」と不満を募らせており、
各国に広がる民主化のうねりはいつ何時、反米に向かうか分からない。
主要調査機関の世論調査では、アラブ・イスラム諸国における反米感情は根強い。
オバマ大統領は就任以来、中東和平達成の理念は説いてもイスラエルへの配慮から具体的な指針を示せずにいたが、
今回、アラブ諸国が賛同する「67年境界」を持ち出した。
一方、パレスチナには9月の国連総会で国家承認決議の採択を求めないよう戒め、双方に歩み寄りを促した。
◇イスラエル猛反発、パレスチナも慎重
19日のオバマ演説に対し、ネタニヤフ首相は早々と声明で「(国土を)防衛できない」と強く反発した。
一方、オバマ演説は、ユダヤ人入植活動の即時凍結に言及しておらず、
パレスチナ側にも慎重姿勢がある。
オバマ演説がすぐに交渉再開に結びつくのは極めて難しい情勢だ。
オバマ大統領の提案は、一部の領土の交換を念頭に置いており、
イスラエルの過去の政権も原則として受け入れた経緯がある。
しかし、ユダヤ人入植活動を継続している右派ネタニヤフ政権にとって、オバマ大統領が主張する国境案の受け入れは難しい。
ネタニヤフ首相は安全保障などの観点から、ヨルダン川西岸に築いた大規模入植地をすべてイスラエル領として残す国境線を引きたい考えだ。
実際、イスラエル内務省は19日、東エルサレムで新規の入植住宅1550戸の建設を許可したばかりで、入植活動継続の意思を鮮明にしている。
パレスチナ側も、オバマ大統領の提案を慎重に検討する必要がありそうだ。
国境の「67年案」は、これまでの自治政府が要求してきたものでもあり、演説内容は歓迎できる。
しかし、昨年9月に交渉が中断する原因となったユダヤ人の新規入植活動について、オバマ大統領は明確な指針を示さず、
パレスチナ難民の帰還権やエルサレムの帰属については先送りしている。
大統領が今回、国境に言及した点だけをとって、アッバス議長が交渉再開を決断できるかどうかは不明だ。
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◇米大統領の中東演説骨子
・この半年、中東と北アフリカで大きな変化を目撃した。
この地域の未来は米国の未来と不可分だ。
・米国は言論の自由、集会の自由、信教の自由、リーダーを選ぶ権利などの普遍的権利を支持する。
・経済発展を進める努力を通して政治改革を支援する。
・イスラエルの生存権を否定すれば、パレスチナ国家は実現しない。
イスラエルも和平達成のため大胆な行動を取るべきだ。
イスラエルとパレスチナの国境線は、1967年の境界線に基づくべきだ。
・パレスチナ自治政府の主流派ファタハとイスラム原理主義ハマスがイスラエルの生存権を否定したままではイスラエルは交渉に臨めない。【ワシントン共同】
毎日新聞 2011年5月21日 東京朝刊
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【私のコメント】
私はIMFのストロスカーン氏がアメリカによって逮捕されたのを見て、
これはアメリカ金融界が動いていると思った。
いうまでもなくアメリカ金融の中心地ウォール街を動かしているのは多くのユダヤ人である。
アメリカの金融は今やユダヤ人によって動かされている。
サダムフセイン殺害、ビンラディン殺害、ストロスカーン逮捕と続く一連のアメリカの暴走に反発を覚える人は多い。
こうしたあとに、唐突にオバマがイスラエルというユダヤ人国家と対立し、アラブというイスラム勢力が有利になるように働きかけるというのは、これが単なる政治的パフォーマンスであることを示している。
明らかにアメリカはやりすぎているのだ。これから反米感情が高まるのは必至だ。
それを見越してのアラブ懐柔策が今回のオバマ声明だ。
ユダヤ人に金融の中枢を握られているアメリカにとって、本気でユダヤ人を敵にまわすことはオバマ政権にとっての命取りになる。
そんなことをするわけがない。
これはアラブ諸国で反米感情が高まらないようにするための、単なる政治的パフォーマンスである。
これによって反米感情を抑えたいだけだ。
それはアメリカの危機感の裏返しでもある。
今反米感情が急速に高まっている。
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