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優秀な人材を消耗して成長する韓国経済
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5857
2011.04.13(Wed) 野口 透アジア
ノーベル賞級科学者の輩出を目指したエリート科学大学で知られるKAIST(カイスト=韓国科学技術院=Korea Advanced Institute of Science and Technology)で、今年に入って学生や教授が相次いで自殺するという悲劇が起きている。
わずか3カ月で4人の学生と教授が相次ぎ自殺
自殺防止のために転落防止柵を設けたソウルの地下鉄。地下鉄への飛び込み自殺は減ったが漢江への飛び込み自殺は増えている〔AFPBB News〕
全国から科学分野のエリート学生を集めて厳しい教育をすることで有名な大学だが、その一方で学生は想像もできないストレスを抱えていたようで、韓国の猛烈競争社会の犠牲者となってしまった。
韓国も日本と並んで自殺者の多い国だが、最高のエリート科学大学で、年初からわずか3カ月強の間に学生4人と教授が相次いで自殺をしたというのは異常事態だ。
自殺した学生は、韓国の科学分野での英才教育の拠点校である韓国科学英才高出身者や、高校時代にロボットコンテストで活躍した経歴があるなど秀才ばかり。
このうち2人は学業のストレスなどからうつ病などの診断を受け、自殺直前に休学届けを出していた。
KAISTとは一体どんな大学か。韓国の教育熱の高さは広く知られている。ひと昔前ならソウル大学を頂点に延世大学や高麗大学が並ぶというのが「大学ランキング」だったが、10年以上前から理工系で圧倒的なトップに名を連ねているのが、国立であるこのKAISTだ。
科学系の「虎の穴」
全国から優秀な学生をソウルから離れた大田直轄市郊外のキャンパスに集め、学生同士で猛烈に競争させながら鍛え上げる。科学系の「虎の穴」のような教育機関だ。
多くの卒業生が、KAISTの大学院や海外の有名大学の大学院に留学して博士号を取得する。その後、学者生活に入るか、サムスン電子など一流企業で研究を続ける。これら大企業の社長級幹部にもKAIST出身者が多く、理工系学生の憧れの大学であることは間違いない。
1学年の定員は1000人弱。全国の成績上位者だけが受験するのは当然だが、それ以外に特に科学分野で突出した能力を示した場合、「高2修了」時点で飛び級で入学させる。
在学生の親によると、「飛び級入学者の数は、以前は入学者の8割ほどに達していた。今も半数近くになる」というから驚きだ。
KAISTの教授に「飛び級」の狙いを聞いたところ、「韓国は受験競争が激しく、高3になると受験勉強一色になる。優秀な高校生を受験漬けにするのはムダ」という答えが返ってきた。これだけ聞くと、なるほどと思うが、現実はそうはいかない。
優秀な学生を徹底的にしごき抜く
カイストの徐南杓(ソ・ナムピョ)総長〔AFPBB News〕
教育熱心な親の間では、「理工系の秀才は、韓国科学英才高に進むか、ほかの高校を経てKAISTに飛び級入学する」という考えが浸透し、そのために猛烈な受験勉強をする高校生が多く、「受験勉強からの解放」という当初の狙い通りになっているかは疑問だ。
これ以外に、全国の中学から選抜して全寮制で「特殊教育」をする国立の韓国科学英才高も2年前に「付属高校」となり、優先入学をさせる。
こんな秀才ばかり集めたのだから、放っておいてもしっかり勉強しそうだが、KAISTはそうではない。選りすぐりの秀才をさらに厳しい環境に置いている。
「ノーベル賞級の研究者の輩出」が目標だからか、ほとんどの講義が英語による。もともと科学系科目で突出した学業成績を修めた学生の中には、英語が苦手という例も少なくない。こういうことには全く配慮がないのだ。
だからKAISTでは、2008年にノーベル物理学賞を受賞した「英語が苦手な」益川敏英・京大名誉教授のような人材は絶対に出てこない。
成績が悪いと授業料が増えるシステムまで導入
さらに、2006年に現在の総長が就任してからは、学業成績と授業料を連動させる制度を導入。これも学生に大きなストレスとなっている。
KAISTの授業料は年間600万ウォン(1円=13ウォン)。従来は全額免除だったが、今は、4.3満点の学業絶対評価で3.0以上の学生だけが学費無料だ。2.0未満の場合、全額負担だ。
この中間の2.0〜3.0の場合、3.0点から0.01点下がるたびに6万ウォンを負担するという制度。絶対評価とはいえ、学生を「点取り虫」にするための制度と言えなくもない。
ある在学生にKAISTの「成績学費連動性」について聞いてみた。
この学生は飛び級ではないが、上位の成績で入学しただけに「3.0点を取るのがそれほど難しいわけではない」と言うが、「この大学に来て、成績が下位になったら悲惨だと思う」
寮と教室、研究室を往復するだけの毎日
韓国では芸能人の自殺も多い。写真はスーパーモデルだったキム・ダウルさん〔AFPBB News〕
「周りの学生がみんな優秀で気を抜かずに勉強するから、浮上できない。何しろ科目や課題が多く、毎日追いまくられているようだ。
寮と教室、研究室の往復だけの毎日で、週末も課題に追われる。こんな生活でいいのかと考える余裕もない。ソウルの普通の大学に行けばよかったと思っている学生も多い」と話す。
KAISTは、もともとはこんな「がり勉マシン養成所」ではなかった。前身は大学院大学で、設立は1971年のこと。
「漢江の奇跡」と呼ばれた高度経済成長を実現させた朴正熙政権は、「科学技術立国」を掲げて、産学協同も見据えた理工系の大学院設置を決めた。
当時の朴政権が、単なる教育機関ではない理工系大学院の青写真作成を託したのが、米スタンフォード大学教授を退任したばかりのフレデリック・ターマン博士だった。
始祖はヒューレットとパッカードを育てたターマン博士
ターマン博士と聞いてぴんとくる読者は、シリコンバレーの歴史に詳しい方だ。このターマン博士こそ、スタンフォード大教授時代に教え子2人に研究を続けながら企業を設立することを勧め、その後も産学協同プロジェクトを数多く主導した人物だ。
この2人の学生が設立した企業は、ヒューレット・パッカード(HP)。シリコンバレーの先駆的ハイテク企業である。
スタンフォード大学はシリコンバレーの企業群とともに発展し、東部のアイビーリーグの大学と並ぶ名門大学になった。
1960年代末の「ターマン報告書」を基本に、KAISTは大学院大学として設立された。企業の研究開発を支援し、さらに、将来、企業の研究開発の中核になる人材を育成するというのが目標で、その後大学も設立し、大きな貢献をした。
しかし、韓国も韓国の大企業も急成長し、高等教育の機会は多様化した。海外の有名大学に留学する機会が飛躍的に増えたほか、国内でもポスコが設立したポステック(浦項工科大)などKAISTをしのぐ科学系の教育機関ができた。
IMF危機で激変した韓国の教育環境
大企業も自前で研究開発や人材育成に力を入れるようになり、次第にKAISTの当初の設立目的である産学協同の意味合いが曖昧になってきた。
1990年代末のIMF(国際通貨基金)危機で、韓国社会は大きく変化した。新自由主義的な考えが蔓延し、教育界でも競争がさらに過熱した。
KAISTも名門大学の地位を維持するために猛烈教育に拍車をかける。KAIST総長が「ノーベル賞級学者を輩出する」と言い出したのもこの頃だ。
今の総長も猛烈な競争主義者で鳴らす。学内で自殺者が出た後も、持論の「消防車論」を繰り返して問題になった。
「自分もMIT(マサチューセッツ工科大)に留学していた時、消防車のホースを口に入れて放水するように、無理やりにでも知識を詰め込まなければならないほど勉強すべき量が多かった」
この総長はさらに「米国の有名大学の自殺率はもっと高い」とまで言い放ったという。
女子プロゴルファーが短命なのも教育システムの問題
韓国の女子プロゴルファー申智愛(シン・ジエ)〔AFPBB News〕
KAISTは、今のところ、学業成績と学費との連動性を廃止するつもりはないという。だが、行き過ぎた英才教育は何らかの修正を迫られるのは間違いない。
英才教育といえば、最近、韓国の新聞に興味深い記事が載った。
「韓国の女子プロゴルファーの選手寿命は、どうしてこんなに短いのか」という分析記事だった。海外のツアーで、韓国女子選手の活躍ぶりは凄まじ い。しかし、活躍しているほぼ全員が25歳以下で、欧米の選手のように40歳近くになっても活躍する選手がほとんどいないという内容だった。
この記事で、その理由の1つを、幼い頃から技量偏重の猛烈英才教育を受けてきたため、一度スランプに陥ると克服できないと分析していた。
特に、韓国の場合、親がつきっきりで幼い頃からゴルフ漬け教育をされた選手が多く、「親離れ」する20代中盤に選手寿命が終わる例が多いという。
KAISTもこれと同じではないか。ゆとり教育への批判が強い日本では到底考えられない、猛烈教育が生んだ悲劇である。
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