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クリントンおばさんエジプト・チュニジア歴訪、リビア反体制派にも唾つけの旅
2011年03月11日 | 日記 :世相を斬る あいば達也
http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/d9f24ceb93b3d5af4c125f9091d67899
≪クリントン米国務長官、中東歴訪へ
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110311-OYT1T00047.htm
【ワシントン=山口香子】クリントン米国務長官は10日、下院歳出委員会小委員会の公聴会で、エジプトとチュニジアを来週訪問し、両国の指導層と会談すると表明した。
訪問中、リビアの反体制派代表とも会談するという。国務省によると、訪問は15〜17日の予定。 エジプト、チュニジアの政変後、クリントン長官が両国を訪問するのは初めて。長官は「オバマ政権と米国民の強い支持を表明する」と述べた。≫(読売新聞)(2011年3月11日01時09分)
リビアの情勢が混沌としている。今夜はリビアの情勢分析などをしてみようか、と思っていたが、その矢先、上記の報道が目にとまった。現時点で米国国務長官出しゃばって歴訪する割には、エジプト、チュニジアの指導者と会って、何らかの具体的提示をすると云う事ではなさそうだ。
大衆蜂起で親米政権が崩壊した以上、彼等指導者が簡単に親米を容認する時期ではない。 イスラエル・ロビーストから矢の催促を受け、動かざるを得なかった、と見るのが妥当、一種のアリバイ作りの旅なのだろう。まぁ過激ではない指導者とだけ会うだろうから、クリントンおばさんの甘い誘いの話に、頷く程度に貸す耳はあるだろうが、信じる馬鹿も少ないだろうし、何らかの約束をする不注意者もいないだろう。仮に約束事をする指導者が居たら、その約束は反故にされるくらい、クリントンおばさんでも知っている。
チュニジアは正直どうでも良いのだろうが、エジプトに成立するであろう反ムバラク大衆政権は、一定の範囲でナセル時代の国家観を持つだろうから、イスラエルにとって脅威だし、米国にとっても厄介な存在になる。中東のど真ん中で反中東と力み立つイスラエルと云う国家を、欧米が守らなければならないのだから、悩みは深い。
イスラエルはエネルギーをエジプトからの天然ガスパイプラインに依存しており、その安定供給の約束くらい取りつけろ、とミッションがあるだろう。 イランの艦隊が堂々とスエズ運河を何度も行き来する姿を目の当たりにしたイスラエルの苛立ちは最高潮に達している。米国オバマ政権としては、イスラエルの暴挙は、何としても起こさせたくないのだ。しかし、イランの軍艦の航行を許したのはスエズ運河の運航権を持つエジプト現指導者なのは確かだ。ムバラクのような親米で、イスラエルと中東の緩衝国家を望むことは、今後とも無理だろう。
地政学的に、チュニジアとエジプトの間にあるリビアが今内乱に近い状況を呈している。カダフィー政権の独裁が大衆に追い込まれたが、カダフィー大佐は民衆・反体制派軍の区別なく、空爆に継ぐ空爆をしているようだ。カダフィー政権が何処まで持ちこたえるか、現時点で定かではないが、最終的には間違いなく崩壊する。
カダフィー政権が軍事的に有利なのは制空権の問題であり、爆撃機パイロットまでが傭兵の状態が長続きする事はあり得ない。一時内乱が治まったとしても、生温いように見える経済制裁でギブアップするだろう。外人部隊傭兵維持には莫大なキャッシュを提供し続けなければならないのだから。
カダフィー政権は、米国に歯向かうに良いだけ歯向かった政権だが、最近は核兵器開発を放棄、豊富な地下エネルギーを基盤に市場原理を導入、グローバルな開発、交易体制を維持していた。しかし、グローバルな市場主義の導入は、イタリアを中心とする企業の自由競争を激化させ、リビア人に富みの配分がなされない状況を呈していた。(*労働賃金が安い、中国やアフリカの労働者に職が回る仕組みになっていて、リビア人の職場が枯渇していた面もある。)これに異様な食料の高騰が加わり、チュニジア、エジプトに挟まれているリビアに反体制運動が起きるのは必然になっていた。
折角、あのカダフィーを欧米に目を向けさせる政権に変えつつある矢先、大衆革命の波に呑みこまれたのは、カダフィー政権と欧米の石油関連企業と云う事になった。カダフィー政権を打倒しようとしている反体制派勢力がどんな性格を持つものか、実は定かなではない。リビアは社会主義とイスラムの教えと部族間利害の調整役としてカダフィー大佐が君臨する、一口では語れない政治体制であり、それに反旗を翻す勢力側の内実も今ひとつ見えていない。
ただ、リビアがアフリカ大陸最大の産油国であり、その埋蔵量は公な数字の10倍近い量に達するかもしれないという専門家もいる。リビアの国土は農業には一切適さず、ほぼ石油と天然ガスに依存した国なのだが、国土全体が石油の宝庫とも言われているだけに、石油利権が相当のものになるのも判っている。
米国が軍事的な直接関与を躊躇うのは、多くの経済的軍事的事情もあるが、石油利権にダイレクトに繋がる軍事関与はオバマ政権として、言われたくない部分だ。イラクでとことん懲りている。
今後、リビア及びカダフィー政権がどのような状況になるのか、もう少し状況を観察しないことには、テーマとして取り上げるだけの情報がない。国連や欧米を中心に、同国上空に飛行禁止区域を設定が検討されているが、二の足を踏んでいる。リビア関与の落としどころが見つからず、行動に出られないのが現状なのだろう。
朝日新聞が「人道的飛行禁止区域を設定」等という学級委員の考えそうなことを社説で書いていたのが笑わせる。http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1
サルコジ仏大統領がEU首脳会談で提唱した、カダフィー空軍の飛行場限定爆撃と云う案が筆者の聞く限り、最も現実的で経済的で被害を最小限に抑える案に思える。 外国人傭兵が安全地帯で爆撃をするから、民間人の被害が続くわけで、無差別爆撃を抑えれば、後はリビア人同士の間で、自然に落ち着くところに落ち着くのではないだろうか。クリントンおばさんも、そういう手伝をした場合、何らかの国益に繋がるモノがあるかどうか探りに行く目的もあるのかもしれない。
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