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まず、イスラエルとアメリカの関係をつたない知識で整理してみる。
「イスラエル・ロビー」という二冊本がある。著者はハーバード大とシカゴ大の二人の教授。内容は、イスラエル・ロビーがアメリカ議会や全米で幅広く活動していることを細かく追跡していて、読むのもうんざりするほどのもの。
で、主旨はこの活発なロビー活動で、アメリカはあまりにもイスラエルに肩入れし過ぎてアメリカの国益を損なうまでになっている、だから肩入れもそこそこにするべきだ、という内容だったと思う(著作の出版は世界権力の承認も得ているとみる)。
だから今は、アメリカの国益を損なわないぐらいの、昔日の「二重基準(ダブル・スタンダード)」に立ち返っていると見る。
一方では、イスラエルとアメリカは基本的に対立関係にある、やイスラエルという国家の存続自体が危うい(田中サイトか?)という議論もあるようだが、筆者は疑問に思っている。欧米(バックに世界権力)がこの地に打ちこんだクサビとしてのイスラエルの戦略的価値が、今日は激減しているという理由は見当たらない。その価値は昔日とそう変わってはいないと見ている。
以下はこの前提を踏まえた推論になる。
この立場でみれば、ムバラク政権の崩壊は元々アメリカが望ところではなかったはず、ということになる。民衆蜂起でムバラクはもはやもたない、と判断せざるを得なくなって退陣を要求したと見る。新政権が親米になる可能性は少なく、むしろ反米色になる可能性が高いのではないか。
さらに北アフリカ・中東のドミノ倒しは、裕福なはずのバーレーンにまで及びアメリカは苦慮しているが報じられている。このことにも嘘はないと思う。このドミノ倒しをアメリカが画策したものとすれば、この計算違いはどこからきたのか、辻褄が合わなくなる。
次にリビアとイスラエルの怪しい関係について。イスラエルの軍事会社がカダフィにアフリカ人の傭兵を供給しているという。外観は非常に奇妙で裏でなにかつながっているように見える。
筆者はこの傭兵の供給は2003年、カダフィがアメリカに核開発で屈服してから以降ではないかと考える(調べ未)。3月7日のNクロ現でも、2003年、イラクのフセインがアメリカに葬られてから自分もこのままでは同じ運命に会うと考えて屈服したのであった。以降イギリスの当時のブレア首相がカダフィとの交渉(MI6を使って極秘裏に行った)にあたった。石油利権の確保が目的だった。2004年以降、イギリスの石油資本がリビアに進出、以降も続々と欧州各国のの資本が入っていった。それまではリビアの石油資源の7割は眠ったままであった。
イギリスは軍事協力・支援も行った。2006年には防衛協力協定を締結した。英特殊部隊SASがリビア軍への軍事訓練を行っていたとも報じられた。また、デモ隊に使われた高圧放水砲やスタンガン催涙弾がイギリス製と見られることが英議会で問題になっている。
このような文脈で考えると西側諸国の一員と考えられるイスラエルが傭兵を供給するという現象もそんなに怪しい関係ではなくなる。イスラエルは西側諸国の一員として軍事協力に轡(くつわ)を並べていたと考えれば異様でもなんでもなくなる。
Nクロ現にゲスト出演した東大の准教授も、2003年を境にカダフィはまったく様変わりしたと証言している。2003年を境にもはやカダフィ(の内実)は反米でも反イスラエルでもなくなっていったとみる。西側諸国にすでに屈服している男を欧米が積極的に仕掛けて潰しに行く必然性はあるであろうか。カダフィ自身も反乱を仕掛けたのは「アルカイダ」だと言っていることにも注目すべきではないかと思う。
(付記)
進行中の現代史の陰ではさまざまな秘密工作・作戦が行われているだろう。それを事前や直後に探り切るのはとてもではないだろう。これら無数の秘密作戦やその他の多くの事象が積分されてマクロの政治現象となって表舞台に現出してくる。この現象こそわれわれが確実に把握(認識)できるものだ。この現象を合理的に説明できる道筋は何か、という観点で思考し関連情報を探っていくという従来の古典的方法論を大切にすべきだと思う。(コメント欄に続く)
・イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策
http://www.doi-toshikuni.net/j/column/20080322.html
・攻防リビア カダフィ体制のゆくえ/Nクロ現 H23.3.7
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=3013
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