http://www.asyura2.com/10/kokusai5/msg/579.html
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遅れてきた民主化の激流〜アフリカの現在と未来/竹内進一・JICA研究所上級研究員(朝日夕刊 H23.3.4)から抜粋
・1990年代初頭、冷戦終結後の数年間に、サハラ以南の国々は一党支配から複数政党制へと雪崩を打って移行した。
今日の中東・アフリカの動きは、「遅れてきた民主化」である。この地域の独裁政権は、豊富な石油収入のせいもあって、統治の制度的基盤が比較的堅牢で、(先進国からの)援助への依存度も低い。そのため、冷戦終結を機に世界的に強まった「リベラル・デモクラシー」の影響がすぐには波及しなかった。それが劇的に変わりつつあるのが、現在の状況である。
急速に民主的制度を導入したサハラ以南アフリカ諸国の歩みは、概ね三つのパターンに分かれた。
第一に、武力紛争に陥ったケース。ルワンダはその典型例。
第二に、形式的な民主主義の導入によって既存の体制が政治的危機を乗り切ったケース。ガボンやトーゴでは、民主的制度を導入しながらも従来の支配層が権益の確保に成功した。今日のサハラ以南アフリカ諸国で最も多いタイプ。
第三に、数は多くないが、90年代初頭の政治的変化を機に、民主主義を実質的に深化させた国々がある。ガーナやベナンでは、軍事政権や共産主義政権が平和的裏に民主化を果たし、定期的に選挙を繰り返すなかで政権交代も起きた。
中東・北アフリカにおいても…今日の革命的状況がどこに向かうのかを判断するためには、時間をかけた観察が必要だ。
〔臭うぞう〜〕
過冷却の水はちょっとした振動などの刺激で急激に氷結する。その反対に純水などをフラスコに入れ加熱していくと百度に達した過熱状態でも沸騰しないことがある。これにもちょっとした刺激を加えると、突然、爆発的に沸騰する。これを「突沸」といって化学の実験でも見せられた。
今回の北アフリカの現象はこの「突沸」(カタストロフィー)が起こったのではないかと見る。
竹内氏の言に従えば、冷戦後、アフリカ全土の民意は向上し、サハラ以南では非常に中途半端ながら、政治改革が行われてきた。だが、北アフリカ・中東では、豊かな石油資源と堅牢な政治体制で、民意のはけ口は抑えられてきた。それが突然チャニジアの蓋が飛んでしまた。これが刺激となって「突沸」現象が次々と連鎖していった。
このような歴史現象として、生起した事柄を吟味していく必要があるのではないかと思う。
そもそもこれらの地域の石油資源は、セブンシスターズの時代は彼等の独占状態で、富の大半は吸い上げられていたのではないか。その後セブンシスターズが退き、各産油国が利権を主張し始めてからは、世界権力に簒奪されていた富も産油国に徐々に還元されるようになってきた、というのが大きな歴史の流れではないだろうか。
つまり、これらの地域の歴史を顧みても世界権力にやられっぱなしになってきたのではない、ということ。
(参考)
http://www.asyura2.com/10/kokusai5/msg/487.html#c2
・中東・北アフリカで燎原の火のごとく広がった「民衆蜂起」は歴史の必然と見る。これらの地域の21世紀の幕開けを告げる素晴しい(現象である)
http://www.asyura2.com/10/kokusai5/msg/459.html
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