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【ドバイ=松尾博文】最高指導者カダフィ大佐に対する抗議デモが続くリビアでは、反体制派が首都トリポリ周辺にも支配地域を広げつつあり、首都を巡る攻防も迫ってきた。大佐は徹底抗戦の構えを崩していないが、頼みの軍は離反が続き、デモ弾圧に加わる外国人雇い兵への市民の反感も強まっている。事態を収拾できる受け皿もなく、リビア情勢は混迷を深めている。
AP通信によると、23日までに反体制派が制圧した第3の都市ミスラタでは、市内のモスクがスピーカーを通じてカダフィ体制打倒の“聖戦”への参加を訴えている。抗議デモの起点となった第2の都市ベンガジでも、トリポリへの進軍を呼びかける動きがある。
反体制派が掌握した東部地域では、住民や部族、離反した軍などによる委員会が組織され、秩序回復に向けた動きが始まった。これらの地域ではカダフィ大佐らの1969年の無血クーデターで打倒された王国時代の旗が結集のシンボルとなりつつある。
首都トリポリは依然、政権側が掌握している。ここ数日大きな衝突は起きていないが、軍や大佐支持者による銃を使った威嚇が続き、市民は表に出ることができない状態だ。大佐の住居や放送局周辺は軍の厳重な警戒下にある。
大佐は22日の演説で「殉教者となるまでこの地にとどまる」と徹底抗戦を掲げた。周囲を忠誠度の高い軍部隊で固めているとみられる。しかし、首都で反体制派の本格蜂起が始まった場合、もはや一枚岩でない軍がどこまでもちこたえられるかは不透明だ。
軍の離反を加速し、市民の反感を増幅させたのが、アフリカ中南部出身の外国人雇い兵だ。全体の数は不明だが、トリポリやベンガジなどでデモ弾圧の前線に投入されたとの目撃証言がある。ロイター通信によると、ベンガジの反体制派はチャドやニジェール、スーダンなどの出身者36人を拘束したと述べた。
1日2000ドル(約16万4000円)の報酬で集められたとの情報もあり、銃を使った無差別弾圧への加担に市民は反発している。AP通信によると、反体制派が制圧した西部のズワラ市民は「大佐が(アフリカ中南部から)兵士を連れてこなければならないほど孤立しているということだ」と述べた。
カダフィ大佐は90年代から「アラブの団結」から「アフリカの統一」に情熱を傾けるようになり、石油収入を元手とする多額の経済援助をアフリカ諸国に与えてきた。アフリカ出身の兵士を養成、隣国チャドとの紛争などにも利用してきたともいわれる。
包囲網が狭まる中でカダフィ一族は結束を演出している。次男のセイフイスラム氏は23日「生活は正常だ。空港も港も機能している」と語り、国外へ脱出したとの情報が流れた娘は国営テレビで脱出を否定した。しかし、22日に大佐の暗殺未遂事件が発生したとの未確認情報もある。
政権が末期的な状況にある中で事態をおさめられる組織はもはや存在せず、首都攻防に突入すれば一段の流血の事態も避けられない。
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