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http://mainichi.jp/select/world/news/20110223k0000e030034000c.html
国境を越えると、解放区だった。
リビアで最高指導者カダフィ大佐の41年にわたる独裁支配に反発した住民らが蜂起、支配権を確保した同国北東部の町イムサードに22日夜(日本時間23日未明)入った。自動小銃を肩に警備にあたる若者たちは、人生で初の「自由」に満面の笑みを見せながら「国民を殺したカダフィは許せない。すぐに去るべきだ」と語った。
◇「自由なリビアへようこそ」
「向こうは無政府状態だよ」。エジプト側国境の職員に送り出されてリビア側にたどり着いたのは宵闇も迫るころ。武装した男たちの一群が出迎えた。
「どこから来た」と問われ「日本だ」と答えると、「自由なリビアへようこそ」と歓迎された。パスポートを出すとチェックしただけで返してくれた。正式の入管手続きを行う職員の姿は見えない。男たちの身なりもばらばら。地元の住民がボランティアで警備などにあたっているようだ。
男たちは「これを見てくれ」と黒いアラビア文字が書き付けられた壁を指してみせた。「1月25日革命の息子たちよ、安全と共にあれ」。民衆蜂起でムバラク独裁政権を打倒した隣国エジプトの人々へのエールだ。
赤いベレー帽に緑の制服姿でAK47自動小銃を右肩から下げた国境警備隊員だというアティヤさん(30)が「外国人の雇い兵を投入し、女性や子供まで殺害したカダフィは許せない。すぐに権力の座を去るべきだ」と激しい口調で語った。
アティヤさんは、15日にリビア東部の同国第2の都市ベンガジで反体制デモが発生した後、重火器まで使用した政府の容赦ない弾圧で親族を失ったという。「国民を殺す指導者にはついていけない」とはき捨てるように言った。
イムサードに住む自営業、ムスタファさん(23)は「40年以上も貧困が続き、自由を語る人は国外に追い出された」とカダフィ体制に怒りをぶつけた。
通りを行く車はさかんにクラクションを鳴らし、銃を上空に向けて発砲する人もいる。道端に集まる男たちにカメラを向けると、独裁体制から解放された喜びからか、熱狂的なダンスも始まった。
リビア東部地域の主要都市は反体制派住民の支配下に入った模様だ。だが、カダフィ氏は22日の演説でも辞任を断固拒否している。
リビア西部は今もカダフィ氏側につく軍が残り、反政府デモへの容赦ない弾圧が続く。ベンガジや首都トリポリでは負傷者用の医薬品不足の情報も出ており、治安も不安定だ。アティヤさんは「国連は医薬品や食料を供給してほしい」と訴えた。【イムサード(リビア北東部)和田浩明】
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