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【ドバイ=松尾博文】リビアの最高指導者カダフィ大佐の退陣を求める反体制デモの高まりを受け、カダフィ政権内部で離反の動きが加速している。独裁体制の要である軍に亀裂が広がり、イスラム教聖職者や有力部族らリビア社会を支える勢力も反旗を翻し始めた。カダフィ氏は徹底抗戦を掲げるが、同氏に権限が集中する統治構造に不満が爆発、内部崩壊が進んでいる。
デモ隊への無差別攻撃を始めた軍内部では、指揮系統に乱れが生じている。21日夕には空爆命令を拒否した空軍機2機がマルタに亡命した。一部の将校らは国民に決起を呼びかけている。反体制派が事実上制圧した第2の都市ベンガジでは軍から離反した部隊が政府軍と戦った。
インドや中国、インドネシアなど各地のリビア大使や外交官が抗議の辞任を表明、アウジャリ駐米大使は米AP通信に「カダフィ大佐はやめるべきだ」と言い切った。内閣の一員であるアブドルジャリル司法書記(法相)もデモ隊への無差別攻撃を理由に辞任するなど、カダフィ体制を支えるテクノクラートにも離反が広がっている。
リビアは1977年、カダフィ大佐の革命理論を具体化させた直接民主制に移行した。代議制を否定し、18歳以上の国民が参加する地方会議の代表が集まる全人民会議(国会に相当)とその付設機関である全人民委員会(内閣に相当)が政策の立案と実行にあたる。
しかし、直接民主制は機能しているとはいえず、軍や治安機関を指揮下におさめるカダフィ氏にすべての権限が集中する強力な独裁体制を築きあげてきた。重火器や航空機を投入しての無差別攻撃もカダフィ大佐の指示に基づくとみられる。
カダフィ体制下ではイスラム原理主義組織や軍の反乱分子など多数の反体制派だけでなく、体制内部のライバルも多数粛正してきた。カダフィ氏が権力維持に過剰な弾圧も辞さない姿勢を示したことで、豊かな石油収入の分配と弾圧の恐怖でつなぎとめてきた軍や政権内部にも、見切りをつける動きが広がっている。
リビアも他のアラブ諸国と同様、部族の結束が社会を構成する重要な要素だ。中東の衛星テレビ局アルジャズィーラによると、リビア最大の部族が政府に従わないことを決めた。東部を地盤とする別の有力部族も反体制派についた。
リビアでは国民のほとんどがイスラム教徒。イスラム聖職者の団体はカダフィ体制の打倒はイスラム教徒の義務だとする声明を出した。1969 年にカダフィ氏らに打倒されたイドリース前国王はリビアを地盤とするイスラム教団の指導者でもあった。政権末期ともいえる状況の下で部族やイスラム教勢力も本音をさらけ出しつつある。
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