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http://mainichi.jp/select/world/news/20110212k0000m030118000c.html
【カイロ伊藤智永】エジプトのムバラク大統領(82)は11日、家族とともに首都カイロの大統領宮殿を離れ、同国東部の保養地シャルムエルシェイクに空路で到着した模様だ。AFP通信など複数のメディアが伝えた。ムバラク氏はこれに先立ち10日深夜(日本時間11日早朝)に国営テレビで演説し、9月の次期大統領選まで大統領職にとどまりつつ、スレイマン副大統領に大統領権限を移譲する考えを示していた。スレイマン氏に権力移行の実務を任せ、自身は国政の第一線から事実上退くものとみられる。
ムバラク氏は10日夜の演説で、政権内にも広がっていた即時退陣論を拒否し、9月の次期大統領選で平和的な権力移行を実現するまで大統領職にとどまると表明。次期大統領選への不出馬を確認した上で、「外国の圧力には屈しない」と即時退陣論を退け、憲法改正や情勢安定後の非常事態宣言解除など権力移行のための民主化に向けた努力を強調した。
また、ムバラク氏は「市民の要求は正当だ」とも語り、デモでの犠牲者と遺族に哀悼の意を表明。「私はこの国で生まれ、この国で死ぬ」と国外脱出の可能性を否定した。
直後にスレイマン副大統領も演説。「変革は始まった」として権力移行を主導すると表明。「対話の扉は開かれている」と野党勢力との協議継続を約束し、デモの参加者に「帰宅して職場に復帰しよう」と呼び掛けた。
10日夜にムバラク氏の緊急演説が予告されると、首都カイロのタハリール広場には、深夜にもかかわらず家族連れや女性だけのグループなどこれまでより幅広い層の市民が集結。退陣表明を期待して広場に集まった過去最多とみられる数十万人の市民は、ムバラク氏の演説が終わると「辞めろ、辞めろ」などと怒りの声を上げた。
11日に再開された金曜礼拝後のデモでは即時退陣要求が一層激しさを増し、AFP通信によると全土で100万人以上が参加。即時退陣を求めるデモはタハリール広場のみならずカイロ市内の大統領宮殿周辺にまで広がった。
ムバラク氏の演説を受け、動向が注目されていた軍は11日午前、最高評議会を開催。終了後に声明を発表し、副大統領への権限移譲や憲法改正といったムバラク氏の取り組みを支持する方針を明らかにした。「現在の状態が終わること」を条件に、30年前に発令されたままの非常事態宣言の解除も約束した。
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