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露下院議員「帰国したら暗殺」米国へ亡命求める 「プーチンに逆らう者は生きていけない」
2011.2.8 09:32 :産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110208/erp11020809360003-n1.htm
ロシアの恐怖政治の闇を想起させるような「事件」がドイツと米国で起きた。10日から世界的な国際映画祭が開催されるベルリンでは先週、ウラジーミル・プーチン露首相(58)の政敵で、横領などの罪で追起訴されて刑期が延長された元石油王(服役中)の裁判に関するドキュメンタリー映画(映画祭で上映予定)のフィルムが盗まれた。ワシントンでは、富豪として知られるロシアの下院議員が米国への亡命を求めていることが分かった。不動産ビジネスをめぐり、プーチン首相に近い人物らとの間で裁判沙汰となり、「帰国したら暗殺される」というのが理由だ。
■盗まれた映画
盗まれた映画は、ドイツの気鋭の映画監督、シリル・ツッヒ氏(42)が制作した「ホドルコフスキー」。ベルリン国際映画祭期間中の14日にプレミア上映される予定だったが、3日夜にツッヒ氏の事務所から完成版が盗まれた。未完成版フィルムのコピーがあるため、これに手を加えて上映にこぎつけたいとしているが、現地からの報道によるとツッヒ氏のスタッフは「許しがたい行為。盗難に国家権力が絡んでいることは明白だ」と話している。
映画の題名になっているロシア元石油大手ユコス(破産)の元社長、ミハイル・ホドルコフスキー被告(47)は、ソ連崩壊後の民営化で、莫(ばく)大(だい)な国有資産を安く手に入れて財を成したオリガルヒ(新興財閥)の代表格。豊富な資金で反プーチン政権の野党に資金援助するなど政治活動を展開し、自身も大統領選出馬に意欲を見せた。しかし、プーチン氏に楯突いたことが伏線となり、2003年に脱税、横領などの疑いで逮捕され、05年に懲役8年の判決を受けて服役中だ。本来なら今年中に出所する予定だったが、昨年12月にロシア当局は一事不再理の原則を犯して追起訴し、懲役の期間を6年延長した。これには「政治的な意図が働いているとの印象はぬぐえず、執行には深刻な疑問を抱く」(アンゲラ・メルケル独首相)などとする非難の声が国際的に上がった。
追起訴の背景について西側外交筋は「ホドルコフスキー氏が収監されている刑務所はシベリアの辺境にあり冬の最低気温はマイナス40度ぐらい。ウラン鉱山が近くにあり放射能汚染もひどく、地元住民の平均寿命は40歳前後。今年まで生きられないとみていたが、健在なため、来年3月の大統領選前に出所されるのを嫌い、追起訴した」と分析。ホドルコフスキー氏の主任弁護士は「最初の逮捕から追起訴・不当判決に至るまで、国家の恥だ」と話している。
■下院議員の亡命
ワシントンで亡命を求めているのは、銀行家出身の露下院議員、アショット・エギザリャン氏(45)。6日、ワシントンでAP通信に、(1)モスクワ中心部の老舗ホテルの改修に関して、プーチン首相に近い政治家、実業家から自分が所有する株(25%)を安値で譲るよう強要された(2)断ると、改修資金を横領しているとして訴えられた(3)昨年12月にロシア南部アストラカンで親族が射殺され、「次はお前だ」と脅しを受けた−などと語った。「今ロシアではプーチン首相に逆らう者は生きていけず、その威を借りてのさばる者もまた、あまたいる」(エギザリャン氏)。これでは無法国家だ。(SANKEI EXPRESS)
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