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http://jp.wsj.com/US/Politics/node_155461
米国の外交公電など機密文書を内部告発ウェブサイト「ウィキリークス」が入手し。公開した問題は、米国では以前の同サイト関連の問題に比べると、格段に大きな扱いと注目を受けている。なぜだろうか。
ウィキリークスは今年7月、「アフガン・ウォー・ダイアリー」として、アフガニスタン駐留米軍の機密文書約9万2000点を公表した。それに先立つ今年4月には、「巻き添え殺人」と題するショッキングなビデオを公開。これは、イラク駐留の米軍ヘリが2007年、ロイター通信のカメラマンを含む民間人を銃撃、殺害したという内容の米軍の内部告発ビデオだ。具体的には、民間人と談話しながら歩くカメラマンのカメラを武器と断定し、計12人を掃射したというものだった。
この2件について、米陸軍元情報アナリストのブラッドリー・マニング上等兵が、同ビデオを流出させたとして、逮捕・拘束されたままとなっている。
しかし、この2回の告発資料とビデオの話題は、米国では比較的すぐに下火になった。2回の告発が暴いたのは、米軍が駐留するイラクとアフガニスタンでは、報道機関の関係者や子供、高齢者も含め、想像を超える多くの民間人が犠牲になっているという、いわば米国が目を背けたい事実だ。
これに対し、今回の外交機密文書は、ウォール・ストリート・ジャーナルが伝えるように米国ばかりでなく、各国首脳や外交官の忌憚ない、時には不適当とも思える発言や、外交官のスパイ的な活動が明らかにされた。そして、公表後数日経っても報道が続いている。
なぜ、今回の告発がこんなに注目を受けているのか。
米国人を代表した見方はこうだ。つまり、「機密文書漏洩はオバマ大統領とヒラリー・クリントン国務長官のヘマだ」というもので、外交問題というよりは国内の政治問題にすり替えている。
確かにウィキリークスの手に渡ったのは25万点の米国務省の文書。クリントン国務長官は文書公表の直後、「非常に遺憾に思う」との見解を発表。オバマ政権は、国務省だけでなく、各政府機関の機密情報の扱いについて、全面的な調査を指示。また、将来の機密情報の保護について、「特別措置」を採るとしている。
しかし、米市民、特に保守派の見方は異なる。つまり、「オバマ大統領とクリントン国務長官は、少なくとも米市民を守るための最低限の安全保障上の努力をしていると思っていた。しかし、同盟国や友好国、海外駐留の米軍兵を危険にさらすような文書が流出したのは、政権として失点」という見方だ。
これに呼応するのが、11月30日付ニューヨーク・ポストの一面。クリントン国務長官の顔写真と「アメリカの赤っ恥」という大見出しだ。本文では、「ホワイトハウスと米外交官にとって、堪え難いほどに恥ずべきこと」と指摘する。
また、同紙によると、保守強硬派で有名な共和党下院議員ピーター・キング氏は、「政府は、ウィキリークスをテロリスト・グループとして訴追し、資産を差し押さえにするべきだ」と主張している。
同時に、オンライン・ショッピングサイトのアマゾンは、ウィキリークスに提供していたサーバーのホスティング・サービスを打ち切ったとウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。ジョー・リーバーマン上院議員のプレスリリースに基づいたもので、同議員は「ウィキリークスをホストしないというアマゾンの決定は、正しい決断であり、ほかの企業にとって基準となるはずだ」と述べている。
こうなると、ウィキリークスの文書公表は、米市民にとっては、米政府の「失点」であり、政治家や企業はウィキリークスをボイコットし、「犯人探し」をすることが、有権者や顧客にアピールする行為だとしているのがよく分かる。 ウィキリークスの機密文書公開は、外交のあり方や機密情報の扱いに疑問を投げ掛けるべき本筋よりも、米国内の政治に利用され始めている。これが、ウィキリークスに対する注目が、前回よりも長続きしている理由だろう。
米政治家の間では、米政府がウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジ氏を逮捕すべきだという声が高まっている。アサンジ氏は、コンピューター・プログラミングを独学した元ハッカーで、現在はウィキリークスが「重要なジャーナリズムの手段」になるとしているが、オーストラリア人。また、ウィキリークスのサーバーも米国外にあるため、起訴に持ち込むのは困難とみられる。
一方で、国際刑事警察機構(ICPO)がアサンジ氏の国際指名手配を発表。しかし、これはスウェーデンに同氏が旅行した際に会った女性に対する性犯罪容疑による。この容疑以外に裏がありそうだと思うのは私だけであろうか。
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津山恵子(つやま・けいこ) フリージャーナリスト
東京生まれ。共同通信社経済部記者として、通信、ハイテク、メディア業界を中心に取材。2003年、ビジネスニュース特派員として、ニューヨーク勤務。 06年、ニューヨークを拠点にフリーランスに転向。08年米大統領選挙で、オバマ大統領候補を予備選挙から大統領就任まで取材し、AERAに執筆した。米 国の経済、政治について「AERA」「週刊ダイヤモンド」「文藝春秋」などに執筆。著書に「カナダ・デジタル不思議大国の秘密」(現代書館、カナダ首相出版賞審査員特別賞受賞)など
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