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今年のアメリカ中間選挙におけるオバマ民主党の歴史的敗北については、既に多くの論評が発表されている。
8000億ドルを超える公的資金の投入という景気刺激策にもかかわらず、失業率が10%近く高止まりしている米経済の現状に、有権者はさじを投げたというのがおおかたの分析である。
しかし2年前、あれほど「みんなでアメリカを変えよう」と叫んで、オバマ大統領を実現させた人々はどこへ行ってしまったのだろうか。
彼らはいなくなったわけではないが、オバマ大統領が試みた改革の成果が短期間で実を結ばなかったことは事実だろう。
しかし問題は、反オバマのティーパーティーに象徴される保守派のバックラッシュにオバマ理想主義が敗れたことにある。その背景にはアメリカ社会の反知性主義がある。
アメリカは自由と民主主義の先進国で、知性が尊ばれる国であることは自明の理であると受け止められてきた。しかしニューヨークやロサンゼルスに象徴される都市部のアメリカと田舎のアメリカ(中西部、西部、南部)の間には大きなねじれがある。
簡単に言うと前者は知性とリベラルの国であり、後者は反知性と保守の国だ。両者とも自由と民主主義が第一原理である。前者の自由と民主は文字通りの意味だが、後者はいわゆるリバタリアンの「俺のことはほっといてくれ、勝手にやらせてくれ」という自由である。
彼らは、ヒトはサルと共通の先祖から生まれたというダーウィンの進化論が大嫌いで、アダムとイブから人類が生まれたという旧約聖書の神話を信じる。だから自分たちの子弟が学ぶ学校で進化論を教えないように、進化論反対の人を町や村の教育委員に選ぶよう選挙活動をする。これこそ原初アメリカの民主主義である。現にアメリカの田舎には進化論を教えてはならない学校が少なくない。
彼らは都市部アメリカが許容する同性結婚や妊娠中絶が許せない。こうした草の根の人々が結集したのがティーパーティー運動だ。今年の中間選挙は彼らが勝利したが、2年後の大統領選挙で彼らが勝つ保証はない。
(JCJ機関紙「ジャーナリスト」2010年11月25日号より)
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