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膨れ上がる国防費に悩むロシアでは今、ある格安の新兵器が注目されている。モスクワ支局・片野弘一記者が取材した。
第二次世界大戦後、アメリカと並ぶ軍事大国として世界に君臨したソビエト。スターリンからフルシチョフ、ブレジネフと続いた共産党体制のもと、核兵器が次々と生み出されていった。ソビエト崩壊後、その軍事力を引き継いだロシア。しかし、かつての戦略兵器はすっかり老朽化して、その維持費や解体費用が国防費を圧迫しているという。こうした中、注目を集めているのが安くて、しかも効果絶大という最新鋭兵器だ。
ロシア軍のT−80型戦車、核施設防衛のため、イランが売却を求めているS−300地対空ミサイル。実はこれらの兵器、すべて本物ではない。本物そっくりのレプリカだ。この戦車は気球を作っているメーカーが開発したもので、わずか3〜4分で膨らみ、100メートルも離れればもう本物と見分けがつかないという。本物のT−80型戦車は、小型軽量のガスタービンエンジンを搭載し、運動性能の良さが特徴。パキスタンや韓国などにも輸出され、現在、5か国で4000両が運用されている。一方、S−300地対空ミサイルは首都モスクワの周辺や国境地帯に配備されている。敵の大陸間弾道ミサイルにも対応できる...といわれているが、詳しい性能は謎に包まれている。
精巧なレプリカ...とはいっても近くで見るとやはり本物とは質感が全く違う。しかしそこは、ロシア国防省が出資して開発したものなので、様々な部分に「なるほど」というような工夫が施されている。ルースバル社広報部長のビクトル・タラノフさんは「レーダーに本物らしく映るように、金属繊維を織り込んであります」と語る。金属繊維に反応して、レーダーには本物と同じように映るという。さらにエンジンやミサイル発射台の部分にホースで熱い空気を送り込めば、赤外線による偵察でも見破るのは難しいという。
ロシア政治軍事研究所部長のアナトリー・ツガノフさんは「ロシアはたくさんの武器を持っていますが、(更新する)お金がなく、政府も無策です」と語る。ロシアの今年の国防予算は、公式発表によると約3兆7000億円。日本の4兆8000億円を下回っている。ロシアの場合、実際の軍事関連費用はその2倍と言われているが、古い兵器の保守や処分に追われていて厳しい経済環境であることは間違いない。こうした中、ロシア国防省は、1995年からルースバル社のレプリカ購入に踏み切った。本物の1%以下というその値段が、やはり魅力的だったようだ。レプリカ兵器は、モスクワ郊外の縫製工場で作られている。ロシア国防産業の一翼を担う...というイメージとはちょっと違う雰囲気だが、アルバイトの奥さんたちの手で次々と新兵器が産み出されていく。
レプリカ兵器の生産量や配備先は、もちろん、軍の機密事項。ただ、本物と一緒に配備され予算や状況に応じて本物と入れ替えていくケースが多いという。ロシア以外でも、例えばイスラエル軍は本物5に対して、レプリカ1の割合で軍を構成しているとされ、アメリカや中国でもレプリカの存在が確認されている。
お手軽で簡単なレプリカ兵器...しかし、もしかするとこれからの世界の防衛戦略上、重要な役割を果たすようになっていくのかもしれない。(11/24 15:01)
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