http://www.asyura2.com/10/idletalk39/msg/534.html
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http://www.atkmt.net/turibunngaku-koudarohann.html
URLの幸田露伴の紹介は読まないで飛ばしたほうがいいでしょう。
かわりにウィキペディアの幸田露伴でも。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B8%E7%94%B0%E9%9C%B2%E4%BC%B4
あと雑談なので書きますが、渡っぺ昇一、田舎者のイエズス会士が幸田露伴論を書くな(笑)
=転載開始=
『幻談』
このお話の主人公は、お武家さんです。身分は高くないが教養があり、肝も座ったいい男といったタイプです。仕事が良くできて人柄も良かったけれど、それゆえにまわりから妬まれ出世街道からはずされたような人物として描かれています。さりとて暮らし向きには困らず、仕事も暇なので釣りを楽しみにしておりました。
このお話の中には江戸時代の釣りの方法がいくつか紹介されていますが、主人公のお武家さんがたしなんでいるのは鯛、それもクロダイ釣りであります。クロダイの事を当時はケイズと呼び、キスやボラなどの魚名も見られ、昔の釣り方が説明されているところが興味深いです。ケイズは川に入って江戸の町の奥の方の橋の上からも釣れたそうです。
このお武家さんは、船に乗り海に出て竿釣りでケイズを釣っております。ある時、日暮れ間近になっても釣れなくてもう引き上げようかという頃になりました。しかし馴染みの船頭はなんとか釣らせてあげようと、あちこち船を移動させたが結局釣れずじまいでした。
暗くなった海を岸に向けて船が進んで行くと、一本の棒のような物が海から突き出し漂っているのが見えました。船頭が「あれは釣竿です」と言いました。船を近寄せて見ると確かにそれは釣竿、しかもかなり作りの良い立派なものでした。
お武家さんは始め興味を示さなかったのですが、船頭は立派な釣竿だとしつこく言います。そして船を近付け竿を握りますと、水中に竿を握った人影が見えました。つまりは水死体がしっかりと竿を握ったまま波に流されていたのです。
当時は溺れて死ぬ者も珍しくなかったのか、海の男の船頭さん。恐れることもなく「旦那、これは立派な作りの竿ですよ」と握った竿をぐいと引き寄せると、水面下の人物も船に引き寄せられます。
お武家さんは、よしなさい。死人のものを奪ううものではない、と最初は興味を示しませんでした。しかし、自分の方に近づいてきた竿を見るとそれはそうと素晴らしいものでありました。
竿を握って見ると今度はそれが欲しくなり、ぐいと引き上げると一所に水死体も海面近くに上がってきました。 お武家さんは、死体の指を力ずくで折ると竿を奪ってしまいました。
翌日馴染みの船頭が着て夕べの釣竿を見て、改めてそのできの良さをほめ、今日もまた江戸前の海に釣りに出掛けましょうと誘いました。お武家さんも暇なので海に出ることにしました。(うらやましい話だ)
前の日とうって変わり、魚が次々と釣れます。あまりに釣れ続けるのでいつの間にか日暮れ時になりました。もう止そうということで、岸に向けて舟をこぐと、急に当たりが暗くなりました。
船頭が昨日竿を拾った辺りをふと見ますと、全く同じような竹の竿が海中より突き出て漂ってきます。お武家さんもそれに気づきます。
二人とも度胸にはそれなりに自信がありますが、さすがに怖くなり、手元の竿を確認します。
「竿はここにあるじゃありませんか」と船頭は言いましたが、お武家さんは、竿を海に投げ入れ
「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」と念仏を唱えたそうです。
これが「玄談」と言う話のあらすじです。作品の中には江戸時代の様々な釣りの方法が描かれ、魚なども上品な魚、上品な釣り方などが記されています。
このお武家さんは、教養があり趣味も高いので万事に用意が整った「殿様の釣り」を楽しんでいるのです。水死体の指を折り竿を奪う辺りは怖いものがあります。船頭も死体から竿を奪うことを勧めていたぐらいですから、当時は今より人の死体を見る事に馴れていたのでしょうか。
=転載終了=
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